人の思いはいつか必ず届く!!井上靖「天平の甍」から鑑真来日伝を読む!!

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生きていると、誰しも自分の取り組んでいる

「仕事」に自信を失う瞬間ってありますよね?

「こんな仕事やってて何の意味があるの?」

「仕事やっても全く報われないなぁ」など・・・

時間が経ってみないことには、人の思いが

伝わっているのかどうかも確認できないようです。

そんな時には、どんな心構えで「仕事」に望むと

前に進むことができるのか?

今回は、この本をご紹介しながらともに考えていきましょう。

「天平の甍」(井上靖著、新潮文庫、2014年 109刷版)

著者は、「しろばんば」や「風林火山」など

数々の名作を出した芥川賞作家です。

人間の限界や心理描写に定評のある作品を

描いています。

今回、ご紹介する「天平の甍」は

「鑑真」が何度もの「遭難」を経て来日した

経緯について、それを支えた様々な人々の思いを

中心にして描かれた小説です。

奈良の「唐招提寺」

このお寺にゆかりのあるお坊さんといったら

若い人にも伝わるかもしれませんね。

修学旅行で奈良に行ったことのある方なら、

だいたい「薬師寺」と一緒に回るお寺です。

簡単に時代背景を説明します。

奈良時代初期で、ちょうど東大寺の大仏さんが

出来た頃ですが、すでに仏教は伝わっていました。

しかし、正式に「受戒」といってお坊さんになるための

「資格制度」が確立していなかったのです。

そのため、「形」だけお坊さんになって「税金逃れ」を

したりする人がたくさんいたのです。

もちろん民衆の側にも言い分はあるのですが、その話は

ちょっと脇に置いておきますね。

要するに、そのように「お坊さん」の姿で逃げることは

社会放棄になりますから、「社会不安の原因」になります。

そこで、国はお坊さんになるための正式な資格制度として

「戒律を授けてくれる」お坊さんが必要になったのです。

当時の日本にはいませんでしたから、先進国であった

唐(中国)まで遣唐使を派遣して迎えに行ったのです。

その過程は、教科書でご存知かもしれませんが

海の荒波で何度も船が転覆遭難して「行き帰り」は

まさに「命がけ」だったのです。

現代のように、航海技術が発達していなかったのですね。

以上の背景事情をふまえて、今回は「仕事の尊さ」や

「仕事を支える人々の思い」などについて学んでいきたいと、

この本をお届けします。

思いは各人バラバラ孤独だが・・・

「仕事」を支える人々の思いは、「孤独」です。

なかなか「自分の思い」が伝わらない。

なすべき仕事の方向性は、同じだけど

それぞれの思いは微妙にずれていく。

しかも、その仕事が時間のかかる難しい仕事ならば・・・

だんだんと、当初の「仕事の目的」を放棄したくなる

嫌な感情が溜まっていきます。

ましてや、「お金にならない仕事」だったら・・・

特に、現代社会は「貨幣経済」なので

「仕事の評価=金銭」が徹底しています。

そのため、「仕事の重み」が昔に比べて軽くなってきた

ようです。

仕事そのものが、お金を稼ぐことだけに限定

されていけばいくほど、「仕事の質」は低下していきます。

そうすると、社会も殺伐として「仕事の楽しさ・尊さ」が

失われていきます。

そのような時代だからこそ、あらためて「仕事の原点」を

問うてみたいのです。

昔の人が、「命をかけてまで」なしとげた仕事とは?

自分のため(生計を立てるため、贅沢など欲を満たすため)

だけでは、到底なしとげることのできない仕事・・・

そのような「自分の領域」を超えてまで、なしとげる必要の

ある仕事を大切にしていきたいのです。

「やっつけ仕事」では、すぐにその成果は消えていきます。

仕事が自分の手元から離れた後でも、残るもの・・・

そのような仕事でないと、充実感は得られませんし

苦しくなる一方で、面白くもなんともありません。

「仕事そのものは、孤独な作業」です。

むしろ、一人でなしとげなければならない仕事の方が

多いことでしょう。

自分のなした仕事が評価されるかどうかも保証されないのです。

そのような状態にあるのが、ほとんどだと思うのです。

そんな時には、「信じる」しかありません。

それぞれの仕事は、「孤独」であっても

この「仕事」にかけた思いはいつか必ず伝わると・・・

思いの力の強さが、奇蹟を呼ぶ!!

この作品に戻ると、「鑑真」という一人のお坊さんが

無事日本にたどり着くことや、様々な文物を送り届ける

背景には多くの人間の「思い」があるということです。

誰一人欠けてもなしとげることのできなかった奇蹟です。

つくづく思うのですが、最初に考えついた人の思いが

この世で実現されるまでには、いくつもの「関門」を

通り抜ける必要があるということです。

特に、「仕事」は一人だけでは完結しないということです。

是が非でも「なしとげねばならない!!」

そんな強い意志がなければ、実現できません。

また、単に意志が強いだけでも実現できません。

様々な偶然や縁が重なって、時には「時空を超えて」

実現していくのが「通常」です。

ですから、皆さんも「孤独な仕事」で誰も評価してくれない時こそ、

「目に見えない」領域から多くの人々が見守ってくれている

という「真実」を信じてみて下さいね。

「成果が出るのを待つのも仕事のうち!!」

「必ず、結果は後からついてきます!!」

最後までお読み頂きありがとうございました。

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One Response to “人の思いはいつか必ず届く!!井上靖「天平の甍」から鑑真来日伝を読む!!”

佐々木閑先生の「出家的人生のすすめ」やりたいことを生涯追求するにも、<律>に従った生き方が必要だ!! | 双龍天翔 へ返信する

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