ロジャー・ペンローズの「心は量子で語れるか!?」物質から心(意識)は生まれるのか??

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えっ、心って脳(物質だけ)から生まれるの?

英国の数理物理学者「ロジャー・ペンローズ」は、

「宇宙物理学」の分野では、あの車椅子の物理学者

「スティーブン・ホーキング」と共同作業して輝かしい

業績を上げてきました。

そのロジャー・ペンローズが、「心の科学」に挑戦!!

果たして、その成果は誰もが納得できる「仮説」なのか?

大きく世界観が変わってくるだけに興味津々です。

今回は、この本をご紹介しながら考えていきます。

「心は量子で語れるか~21世紀物理の進むべき道をさぐる~」(ロジャー・ペンローズ著、中村和幸訳、講談社ブルーバックス、1999年)

ロジャー・ペンローズ(以下、著者)は、現在世界で最も注目されている

数理物理学者です。

「宇宙物理学」の分野では、あの「車椅子の物理学者」スティーブン・ホーキングとの

共同作業でそれまでの「宇宙観」を大きく変えたことでも知られています。

いわゆる「宇宙の創生論争」において、今でも「ブラックホールの特異点」など

決着はついていません。

もっとも、「仮説・理論」は「事実・真実」を必ずしも

証明するわけではないのですが、

説明の仕方にはロマンを掻き立てるものがあるため、注目の的です。

さて、今回は「心の科学」に焦点を絞ります。

「果たして、脳(物質のみ)から心(意識・記憶)は生まれるのか?」

著者は、物理学者の立場から大胆な問題提起をしていきます。

「物理」だけ、あるいは「唯物的な脳科学」だけで私たちを

完全に納得させることが出来るのか?

「学問の世界」でも、「物理学者と心理学者の大論争の的」と

なってきただけに難しい作業と思われています。

日本でも、映画「リング」のモデルとなった貞子さんの念写実験・・・

その実験過程や結論に関しては、今もって世界中で論争中ですが、

このテーマも今回の論争に関連してくるだけに、大変面白い議論が

展開されていくと思われます。

悲しいことに、念写の事実の件については、

しばし横に置くとしても、日本のアカデミズムでは、

なぜか今もって「触らぬ神にたたりなし!!」を決め込んでいるようです。

これこそ、非科学的です。

明治の念写事件は、映画「リング」にも一部描写がありましたが、東京帝国大学の

「物理学者・白虎隊総長」こと山川健次郎博士と「心理学者」福来友吉博士との間で

白熱した議論が展開されるかと思いきや、一大スキャンダル!!

これ以来、誰もまともに研究しなくなったことは

日本にとっても世界にとっても、誠に不幸なことであります。

その点、英米の学会は自由のようですね。

著者も、年末のテレビに出てくる学者先生のように「硬直的」ではありません。

著者は、従来の「物理学の大きな修正」を容認します。

これこそ、科学です。

この本を読むと「意識(心の起源)」が「物理学・生物学・心理学・哲学の狭間」に

あるため、これからの学問の発展に大いに期待が持てそうです。

そんな世界の最先端の論争状況を、日本でも活かして頂きたいと思い、

今回この本を取り上げさせて頂きました。

果たして、物(脳だけ)から心(意識)は生み出されるのか?

と、まぁ~

この「タイトルの付け方」だけでイメージすると語弊を招きかねないので、

もう少し厳密に考えていきたいと思います。

その前に管理人は「量子物理学の専門家」ではないので、詳細については

理解不十分であり、時に間違った論理展開をするかもしれませんので、

その点はあらかじめご了承下さいませ。

あくまで、このブログの趣旨(優れた書籍の紹介と未来志向)ということですので、

ご寛恕願います。

では、始めます。

著者の論理展開は、「人の心(意識)は脳という物質から生まれる」ということを

大前提にしているため、そのことは「物理」学で解明出来るのではないか?

という視点になっています。

著者は、「数理物理学者」のため「数学的世界観と量子物理学」に信頼を置いています。

言葉(理論)以前のイメージ図(著者は、これをプラトン的イデアとする)のうち

直感で得られる像を「数学的直感」と表現しています。

ちなみに、著者は、幾何学的思考(美的思考)に優れているためイメージ豊かなようです。

そのことが、あの「大宇宙理論のイメージ図」になったのでしょう。

その「数学的直感によって導かれた像」を「物質的世界に映し出し」(日常の言葉に代えて

数学的言語で表現)た後に、それが「精神的世界に影響を与える」(物が心に影響を

与える)、その結果として最終的に得られたイメージ像が「細かい点が捨象された後の

具体的世界像」だと認識しておられるようです。

相互に関連しながら、一方的に偏らない「立体展開図」のように・・・

細かい「物理的世界観」についての著者の説明は、この本をお読み頂くとしましょう。

結論的には、一部生物学の知見を参考にしたうえで得た

「脳から心が生み出されるイメージ図」が、微小管(神経管の一部か?)を通じて

生まれるというものです。

このことを念頭にして、著者は「従来の物理学」による理論構成を修正していく

必要性を提案されています。

ここで大切なのは、「理論を事実にあわせて修正させる」ということです。

事実を理論にあわせるために「事実を解釈によって歪曲」するものではない

ということです。

これが、「科学的発想」ですので強調しておきたいと思います。

皆さんは、著者の説明に納得出来ましたか?

管理人は、著者の「問題提起」にはエールを送りたいと思います。

しかし、やはり「物理」学者の限界があると思うのです。

「物理学的説明(世界観)の内部」についての修正については、これから

「物理学者間」で大いに論争して頂ければよいでしょう。

この本の末尾でも、スティーブン・ホーキング以外の専門外の学者が

反論されたことの方が重要だと思うのです。

生物学の知見からいっても、物質から直接生命(いのち、こころ、意識)が

生まれてくる過程は判明していないようです。

哲学・心理学的にも、まだまだ説明の余地(特に認識論の限界)がありそうです。

また、一番重要なのは「宇宙の特異点=生命の誕生(と、仮にしておきます。)」

というビッグテーマにつき、「偶然なのか必然なのか?」という大論争も未解決です。

おそらく、管理人の見立てでは「脳(微小管=物質)そのもの」から

直接「心(意識)」を導きだそうとした点に無理があるのではないか?

ということです。

つまり、著者は「物から心を生み出す」物理的プロセスと「こころ(意識)の定義そのもの」

との間で、ひょっとしたら「論理の飛躍」をされているのかもしれません。

「なりたち(起源)とプロセス(システム構造)の違いの混同」ということです。

物理学でも、「光の性質=粒子(物質)+波動(エネルギー)」という見解が

有力なのですから、

今後は、粒子(物質)の側面からではなく、波動(エネルギー)の側面から

説明して頂きたいと思います。

この後者こそ、「意識」か?

あくまで「物理」的には、そうとしか説明できないでしょう。

問題は、「エネルギー体(志向クオークと定義付けされる方もいます)」に、

あらかじめ「生きようとする意志・記憶」が組み込まれているのではないか?

そんな「仮説」も生物学者(例:村上和雄先生など)の間ではあるようですね。

それでも、謙虚に各分野の研究者が共同作業しておられるのは素晴らしいことです。

是非、この「心(意識)・生命の起源」を解明して頂きたいと思います。

あらゆる学問の統合化に向けてひとこと・・・

冒頭でも少し語らせて頂きましたが、「学問論争をスキャンダラス化」するという

我が国にとっての悪癖は、やめて頂きたいということです。

最近の「理研騒動」もそうです。

そうしているうちに、世界の大勢から見放されてしまいます。

唯心的にも唯物的にも偏らない公平な「科学的姿勢」で研究を望みます。

その「理想像」として、著者のこの本は最適だと思われます。

また、「科学と擬似科学の境目は微妙」というのが、心ある方の

ご認識だと思われます。

この問題は、ただただ「倫理・道徳」の判断能力にかかっています。

その意味でも、単純に(直接的)に脳(物)から心(意識)を導いて

しまっている点は、いささか残念であります。

この本は、その意味で好著でもありますので「探求心旺盛な」方は、

是非ご一読下さいませ。

なお、著者について知りたい方へ、

「皇帝の新しい心(コンピュータ・心・物理法則)」

(林一訳、みすず書房、1994年)

「ペンローズの<量子脳>理論~心と意識の科学的基礎をもとめて~」

(竹内薫訳、2006年)

また、「念写」と「こころ(生命・意識)の起源」について

「革命 脳科学~物から心は永久に生まれない~」

(山本健造・山本貴美子共著、福来出版、2007年)

こちらの書籍は、一般書店では手に入りにくい書籍ですが好著です。

お求めは、福来出版のこちらのサイトからお願いします。

管理人も実際に購入したところ良心的な対応だったのでお薦め出来ます。

学会から追放された福来友吉先生の復権活動もなさっています。

「超心理学」を科学的に真面目に研究されていこうとする方には、

必読文献が揃っていてお役に立つかと思います。

また、「福来出版」とは違う形態で活躍されている

財団法人「福来心理学研究所」は、こちらのサイトからお願いします。

をご紹介しておきます。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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12 Responses to “ロジャー・ペンローズの「心は量子で語れるか!?」物質から心(意識)は生まれるのか??”

    • 臼井勝一 より:

      最近読んだ本の感想をブログに載せています。コンノケンイチ「ユングは知っていた」です。私の考えと私に起きていることを書いています是非ご覧下さいきっと面白いと思いますので!!
      私の処に外部から意識が侵入してTさんに話をしていく事が、動画や録音でも数多くありますK&T「 神様や霊達との交信の記録」です。

      • がっきー より:

        拝啓 臼井勝一様
        返信遅くなりまして申し訳ありません。
        私もコンノケンイチさんの著作には触れさせて頂いたことが
        ありますが、科学的な観点の検証については、門外漢なので
        正直言って、その「真偽」については不明なのです。
        私としては、文系と理系の接点(いわば、<中間場>)から
        統合的志向を目指した探究をしていますが、
        現在のアカデミズムの閉塞状況では、
        こうした学際研究も難しいようですね。
        神霊界の諸現象についても、
        私自身「信仰心」は持ち合わせていて、
        自分なりの「質感(クオリア)」はあれど、
        それを他人様に「実証」し得る手だてなど
        到底、持ち合わせておりません。
        やはり、「信」の問題は、自身の「内在神(良心)」との対話だけの
        世界になってしまいます。
        とはいえ、人類史における宗教現象を観察していると、
        類似現象も頻繁に生起していたようなので、
        存在することは確かでしょう。
        ただ、いかんせん、その実証手段に残された課題があるようですね。
        私としては、純粋な学問として、科学と宗教の接点(ニュートン時代には
        意外にも当然の話題だった!?)を慎重に模索していきたいと
        願いながら、「科学とニセ科学(オカルトや精神世界)」を
        厳密に区別しながら、個人的検証を積み重ねていきたいと思っています。
        (念のため、精神世界がすべて狂信的なウソ物語だと言っているわけでは
        ないですよ・・・)
        どうやら、宗教界の良識ある見解でも、
        「神は、いつでも、ただちに、どこでも、奇跡を起こされるわけではない!!」
        そうですね。
        こればかりは、現代学問(つまりは、現代人の精神度数!?)の限界であるようです。
        もっとも、「見える人には、見える」
        「わかる人には、わかる」のかもしれませんが・・・
        何はともあれ、貴重な時間を割いて、コメントして頂きありがとうございました。
        私としても勉強になり、語録として勇気づけられました。
        方法論は違えど、世の中をより良くしていこうとの志向性は同じですね。
        今後とも、K&T様のご活躍をお祈り申し上げます。
        なにとぞ、お体をご自愛なされますとともに、
        心より篤く御礼申し上げます。
        双龍天翔ブログ管理人こと、<浪速仙人>より愛を込めて・・・ 敬具

  1. […] 前回のブログでも取り上げた「物質としての脳から心(意識)は生まれるか?」は、 […]

  2. 1729 akayama より:

     大澤真幸先生は、古典百名山で、
      ≪哲学の特徴は「Xとは何か」という問いにある。≫
      ≪一つのものとしてある、のがイデアの本性だ。≫
          と記している。
      数学・算数の【1】を≪徹底的に鍛え直そう≫と、この【1】のフィロソフィア(愛知)に迫って観る。

     「投影された宇宙」 ホログラフィック・ユニヴァースへの招待 
    マイケル・タルボット著 川瀬勝訳から、
     ≪ホログラムの数学言語≫を≪内在秩序≫と≪外在秩序≫そして≪量子ポテンシャル≫や≪非局在性≫らからアンリ・コルバンの≪「想在的」(imaginal)≫に観てみる。
     ボームの
     ≪「過去は、一種の[内在秩序]として現在の中に生きつづけている」≫
     ロイの、
     ≪…ひとつのホログラムから別のホログラムに跳びうつっているのである。…「ホロリープ」とよび、これこそが、私たちに本来そなわった洞察力、そして自由になる力を与えてくれるものだと感じている。≫
     
     ≪…時間も空間もない[内在秩序]の海には、このようなホログラフィックな存在がたくさん漂っていて、多数のアメーバのように互いに押し合いながら泳ぎ回っているのである。≫

     この中の用語をお借りして、
    数学の【数そのモノ】は、≪ホログラフィックな存在がたくさん漂っていて≫に当てはめ、【数(1)】は、≪多数のアメーバのように互いに押し合いながら泳ぎ回っている≫に当てはめて、≪「想在的」(imaginal)≫に観てみる。

     プリブラムとボームの理論から、
     ≪私たちの脳は、つきつめてしまえば他の次元 ― 時間と空間を超えた深いレベルに存在する秩序 ― からの投影される波動を解釈し、客観的現実なるものを数学的に構築しているのである。すなわち、脳はホログラフィック宇宙に包み込まれたひとつのホログラムなのだ。≫

     ≪人間の気場≫の項に、
     インドの≪プラーナ≫ 中国の≪気≫ ユダヤ教の≪ネフィーシュ≫
    宇宙と人間の交信の≪チャクラ≫に七層あり、そして≪魂≫ ≪高次元の霊的な機能≫をホイットンは、≪良心がきわめて強いこの精神状態を「超意識」(metaconsciousness)とよんでいる。
     ≪ふたたび光について≫の項に、
     シュリ・オーロビンドは言う、
     ≪物理的現実・・・「安定した光の集合体」であるだけなのだ。≫
     
     「叡智の海・宇宙」アーヴィン・ラズロ著 吉田三知世訳に、
    ≪量子真空(量子的零点エネルギー場)は宇宙の記憶であるホログラフィックな場を生み出す。≫   

     「フィールド 響き合う生命・意識・宇宙」リン・マクタガード著 野中浩一訳に、
      ≪直感的な飛躍と言う現象は、もしかすると突然にゼロ・ポイントフィールドとコヒーレンスが一致しただけなのかもしれない。意識とは、コヒーレントな光である。≫

    これらから、「投影された宇宙」のライプニッツの言及に、
     ≪宇宙は、それぞれが宇宙全体の反映を内蔵している「モナド」という基礎的存在… ここで意義深いのは、世界に積分法をもたらしたということであり、まさにこの積分法があったからこそ、デニス・ガボーアはホログラムを発明できたのである。≫

     ≪「想在的」(imaginal)≫に【数そのモノ】を観ると、
      「モナド」 ➡  『自然比矩形』
      【数(1)】 ➡ 『創発エネルギー』(≪量子ポテンシャル≫)
             ➡  積分法の【1】 
             ➡ (『創発エネルギー』)×(『ホログラフィック係数』) 
             ➡ [形態空間]  
     
    [形態空間]は、≪全体が部分を規定≫している。

     【数そのモノ】の≪内在秩序≫は,カオスのヒエラルキー構造である。
     【数そのモノ】の≪外在秩序≫は,コスモスの『縮約(縮退)自然数』である。

     【数そのモノ】は、ホログラム(静的)でなくホロムーヴメント(動的)に泳げるモノと観える。 

  3. 言葉の量化と数の言葉の量化 より:

     【強い力、弱い力、電磁気力および重力】の物理用語を、
    ベンローズの ≪…量子重力理論が完成すれば、自由意志の源がわかる…≫の≪…自由意志…≫を『創発円筒体』に潜像させたい。

     【強い力】を円の半径の結合、
     【弱い力】を半円周の結合、
     【電磁気力】を円周の構成要件、
     【重力】を『極微化値』と『巨大化値』の[積』での構成要件
     に[夢想』する。

     『創発エネルギー』(eー1)が、重力場からの数の言葉(自然数)の成り立ちと観えそうだ。

      

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