クリストファー・ヒッチンス氏の「トマス・ペインの『人間の権利』」自由と独立に対する侵害から立ち上がれ!!

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「トマス・ペインの『人間の権利』」

イギリス出身のジャーナリストである

クリストファー・ヒッチンス氏が、

アメリカ独立革命に影響を与えた行動的思想家

トマス・ペインの『人間の権利』について

わかりやすく解説されています。

あらゆる組織権力による圧政への抵抗は、

人類史の一側面でありました。

本書は、個人的独立志向から強力な自治を生み出す

原動力となった名著です。

今回は、この本をご紹介します。

「トマス・ペインの『人間の権利』」(クリストファー・ヒッチンス著、中山元訳、ポプラ社、2007年)

クリストファー・ヒッチンス氏(以下、著者)は、イギリス出身の

ジャーナリスト兼文芸評論家として著名な方であります。

邦訳書には、『アメリカの陰謀とヘンリー・キッシンジャー』

あります。

また、2016年現在、未邦訳であるようですが、

アメリカでは、『宣教師の立場』なる著書で、

マザー・テレサの慈善活動を否定的に評価するなど、

物議を醸した人物でもあるようです。

そのあたりは、「信仰の自由」に関わるシビアな論点で

ありますので、ここでは触れないことにしますが、

一般的な評価とは異なる視点を持った批評家のようです。

さて、今回の記事のタイトルは、あえて刺激的な表現に

させて頂きました。

「自由と独立に対する侵害から立ち上がれ!!」

きわめて上から目線の「命令口調」の表現になっていますが、

何も、煽ることが主目的ではありません。

ただ、現代社会思想の原点にある近代啓蒙主義思想から

独立発展していったアメリカ独立革命など、近現代思想の土台を

打ち固めた人物と名著をご紹介させて頂くための大前提として、

この切迫したリアリティー感を、皆さんにも共有して頂きたかったのです。

ですから、くれぐれも、「煽り言論」ではありませんので、

ご了承願います。

そのアメリカ独立革命に多大なる影響を与え、現代社会にまで

諸国民の独立機運を高めていった人物こそ、トマス・ペインでした。

学生時代に、世界史を選択された方であれば、ご存じかもしれませんが、

アメリカ独立革命戦争時に、独立派を勇気づけ奮い立たせるための

政治的パンフレット『コモン・センス(常識)』で有名な行動的思想家です。

もともとが、このように、きわめて政治色の濃い人物であり、

書物でもありましたので、上記のような刺激的なタイトルに

あえてさせて頂いた次第です。

この延長上にある思想書こそが、今回ご紹介させて頂く『人間の権利』ですが、

この思想書が、現代のアメリカ合衆国憲法にまで影響を与えたとされ、さらに、

日本国憲法思想の一部をも構成してきたとされるだけに、日本人にとっても

無視し得ない書物となります。

この『人間の権利』には、超現代的な「先駆性(革新性)」も込められています。

特に、現代資本主義先進諸国では、軒並み質が低下してきている社会福祉制度の

根底を見つめ直させる思想「ベーシック・インカム論」もあります。

また、イギリスの政治思想家ジョン・ロックの「抵抗権」に関する派生論点や

国民的自治論(政府の正当性論)など、考えさせられる論考も満載です。

本書の面白い点は、アメリカ独立革命思想が、イギリス本国の「本来の自由」を

回復させるための理論的根拠を与えた点や、後のフランス革命思想にも

絶大なる影響を与えている点にあります。

現代政治思想は、未だに近代的「右翼」「左翼」思想により区分され、

無意味な相互対立の温床となっていますが、この「党派的対立」自体が、

フランス革命時の国民議会における議席の分配によって色分けされた

「政治的言葉」です。

本書の出版されたアメリカ独立革命時には、まだフランス革命政府も

存在せずに、近代啓蒙主義思想に楽観的希望が見出されていた時期でした。

そのために、今日のような「左右」を超えた良質な議論も活発になされていた

のです。

そういうこともあり、上記のようなリベラル思想もバランスが取れていたようです。

その後、なぜ「アメリカ独立革命思想」と「フランス革命思想」に

大きな分離が生じていったのでしょうか?

そのあたりも、「近代保守思想の元祖」エドマンド・バーク

『フランス革命についての諸省察』との対比で、わかりやすく説明されています。

後に触れますように、エドマンド・バーク自身もトマス・ペインの良き理解者でも

ありましたが、エドマンド・バークは「イギリス本国側の野党」の立場から、

トマス・ペインは、「アメリカ独立革命派」の立場というような、

明確な思想的対立というよりも、個人的事情の立ち位置の違いから

意見の食い違いがあったようです。

現代では、近代啓蒙主義思想にも否定的な「批判理論」も数多く提出

されていますが、混迷状態で危機的な時代だからこそ、再度、原点に立ち返って

ともに考察する価値があるようです。

その議論の共通的価値観こそ、「未来志向の独立自尊精神」にあります。

また、これまでの極端な「分離対立の回避思考」としても、

本書が議論のたたき台となってくれることでしょう。

ということで、もう一度「振り出し」に戻り、未来志向の良質な議論を

諸国民の間で巻き起こし、あらたな人類の共有価値観を探究していこうとの視点で、

この本を取り上げさせて頂きました。

イギリス本国政府内対立とアメリカ独立革命派の複雑な利害衝突

さて、このようなアメリカ独立革命思想の原点にある

トマス・ペインでしたが、この思想背景にも、当時の英米間や

ヨーロッパ諸国家の複雑な利害対立がありました。

このあたりの世界史的解説を始めると、本題から乖離し過ぎていきますので、

最小限に抑えつつ、論考の関係する程度の解説でとどめさせて頂きます。

本書の主舞台は、もちろんアメリカですが、

イギリスとフランスとの関係は、本書でも大きな論点になってきますので、

その限りで解説していきたいと思います。

アメリカ独立革命時の、1700年代(つまり、18世紀)は、

世界史的観点から見れば、イギリス由来の「産業革命」と「重商主義政策」の

諸国民・国家への影響力をはずすことは出来ません。

また、その間の、ヨーロッパ大陸におけるイギリスを中心とした

諸国家間戦争の影響も見逃すことは出来ません。

これから見ていく「アメリカ独立革命」も、一瞬で終結した訳ではありません。

1776年のトマス・ジェファソンらの起草した「アメリカ独立宣言」を

頂点として、前後の壮大な序曲がありました。

実は、現代のアメリカ合衆国も「独立革命思想」が絶えず「実験」されています。

その意味でも、本年におけるアメリカ大統領選挙の行方は、見逃せません。

まず、「アメリカ独立」ですが、もちろん「イギリス本国からの独立」で

あります。

21世紀現在では、イギリスの影も、20世紀におけるアメリカの勃興で

薄くなっていますが、それでも、イギリスのEU諸国との絶妙な立ち位置を

考慮すると、依然として「光栄ある孤立」を保持しているかのようです。

第二次世界大戦などでは、「英米一体化路線」が表面的な政治舞台では

続いてきたように見えるために、英米以外の諸国家からは、

その「英米間対立の内情」も見えにくくなっています。

アメリカ国家は、人類史上初の「実験的人工国家」ともみなされているだけに、

現代日本人にとっては、興味関心もない時事問題に見えますが、

世界の「注目の的」でもあります。

そんな歴史的経緯もあるために、いずこの国も「アメリカの出方」を

注視している訳であります。

皮肉なことに、現代アメリカ人ですら、「アメリカ独立革命理念」を

忘れつつあるようです。

とはいえ、現在も共和党と民主党の路線対立に見られるように、

「州権独立派」と「連邦統合派」に複雑に入り組んでいるようです。

アメリカ政治史から判断しても、一概に「民主党=連邦支持派集団」、

「共和党=州権独立派集団」とも言えないようです。

なぜなら、アメリカ独立革命時点とは異なり、南北戦争前後で

「連邦派(ハミルトン派)」は衰退し、「反連邦派(ジェファソン派)」が

優勢となり、ジャクソン派の「民主共和党(現:民主党)」とアダムズ派の

「国民共和党(現:共和党)」へと分化発展してきた経緯もあるからです。

もっとも、現在優勢とされる共和党は、アメリカ建国時への原点回帰のようで、

トランプ氏と超保守的なティーパーティー派出身のテッド・クルーズ氏などの間にも

政策細部の違いはありますが、「独立回帰路線」である点では共通しているようです。

そういうこともあり、アメリカ人以外の私たち日本人にとっても、

本書を今の時期に読み進めておくことは、今後の日米関係を占ううえでも

時宜にかなった課題であります。

ニュースだけ聞いていても、大本の「アメリカ独立思想」を知ると知らないでは、

まったく理解度が違ってきます。

残念ながら、わが国のリーダー層も、「アメリカ独立革命思想」の延長線上に

位置づけられている「日本国憲法の理念」についても、

左右ともに十二分に理解されているとは言い難いようです。

これは、メディア事情でも同様であります。

もちろん、日本国憲法は、大本のアメリカ合衆国憲法の理念とも食い違った

「特殊的歴史事情」の過程で創出されてきた「憲法」であります。

ですので、必ずしも「アメリカ独立革命思想」だけに限定された「憲法」でも

ありません。

ここでは、「憲法論」は論じませんが、世界で稀に見る「ユニークさ」という点

では、「賛否両論」問わず、確認されているところです。

そうした観点から言えば、「人類史の最前線」にあるかもしれませんが、

現状では、危機に瀕していることでは、どのような政治的立場を取るにせよ、

共通しているようです。

ここでは、そうした政治的当否は問いませんが、トマス・ペインの

『人間の権利』の特徴は、どのような志向性を持てば、

人間と社会(主として、政府などの組織権力)との間に、バランスの取れた

距離感を取り結ぶことが叶うのかというところにあります。

本書は、フランス革命思想にも影響を与えながらも、理解者でもあった

エドマンド・バークの『フランス革命についての諸省察』に対する応答文書でも

あるようです。

トマス・ペインも、アメリカ独立革命後は、フランス革命を援護するための

活動を、アメリカ独立革命の過程で行動を伴にしたラファイエットとするのですが、

後年、フランス革命の「急進化」とともに「保守的な考え」も持つようになった

良識派のようです。

一方で、イギリス本国から眺めていた「思索家」としてのエドマンド・バークと

実際にフランス革命政府の現場から考察していた「行動家」トマス・ペインとの

間で、フランス革命の現状認識に関しては、大いなる見解の相違も生じました。

「保守的な平衡感覚」とはいえ、それは個人的な「現場感覚の違い」でもあったと

いうことです。

管理人も、学生時代からエドマンド・バークの「近代的保守思想」の叡智に

学ばせて頂いてきましたが、日本の「保守派」の先生方の解釈には、

どうもしっくりしないものを感じ続けていたのです。

今回、たまたまトマス・ペインの『人間の権利』を著者の解説とともに

読み進める過程で、そうした長年の疑問も氷解したようです。

ですので、「保守派」の立場の方も、逆の立場から考察された本書から

学ぶこと「大」だと思われますので、頭の体操と思って、

是非ご一読下さればと思います。

このように、皆さんも、誰かの意見や解釈に拘束されることなく、

自由に「問い」を立て、疑問点は納得いくまで考え続けて下さいね。

昨日のテーマとも関連しますが、現代のような「検索時代」だからこそ、

読書の重要性と「問い続ける力」、安易な「答え」に満足しない力こそ

必要とされています。

そのことは、各自の「独立革命」にもつながってきます。

そういう視点も含めて、本書をお薦めさせて頂いています。

トマス・ペインとエドマンド・バークの思想的解釈の違いなどは、

本書をお読み頂くとして、ここでは、当時の英米内外の複雑な利害対立が

交錯していたことを確認しておきましょう。

エドマンド・バークは、近代的保守主義の元祖」だとみなされていますが、

巷間イメージされているような、イギリス「王党派(トーリー党)」の代弁者では

ありません。

確かに、後年のフランス革命の「急進化」に憂慮を抱いていたのですが、

それは、トマス・ペインとて同じでした。

「イギリス王党派(トーリー党)」とは、その名のとおり、

当時のイギリス国王ジョージ3世擁護派であります。

それに対して、イギリス議会内で対立していたのが、

野党の「ホイッグ党」であり、こちらが、アメリカ独立革命支持派でも

ありました。

何を求めた対立だったのかと問われるなら、「植民地政策」を巡るものです。

この「植民地政策」も行き過ぎていたために、様々な歪みをイギリス社会に

もたらしていたのです。

前にも考察したことがありますが、「重商主義(グローバリズム)」と

「重農主義(国民経済重視=ナショナリズム)」の衝突であります。

つまり、「アメリカ独立革命」の承認問題は、イギリス社会における

「自由を巡る闘争」でもあったのです。

その視点を持たなければ、この時代の英米両国内外の思想対立も

理解出来ません。

当時のイギリス国内事情は、

現代の「グレート=ブリテン=(北部)アイルランド連合王国成立」に

至るための「地ならしの場」であったことも関係しています。

エドマンド・バークの立ち位置もこの視点を持たなければ理解され得ません。

エドマンド・バークは、「アイルランド」のホイッグ党員にして、

「隠れ」カトリック信者でもあるという「特殊的立場」にいました。

その点で、イギリス本国政府の批判勢力でもあったことが、

アメリカ独立革命の支援者としての立場を持つことになったようです。

ところが、「自由思想」に関する熟度(理解度)が、トマス・ペインとも

相違していたことが、後の激しい対立となって現れたのです。

まとめますと、本書『人間の権利』は、

エドマンド・バークの『フランス革命についての諸省察』に対する

トマス・ペインからの「回答書」だということです

そして、彼らは以後、盟友関係に支障を来して別々の人生を歩んでいきますが、

互いに「自由を愛する愛国的同志」として、一定の評価をしていたようです。

本書の解説によると、エドマンド・バークは、イギリス名誉革命をもって

「自由のための闘争」については「歴史の終焉説」を取っていたようで、

ある種の「貴族的」自由主義者でもあったようです。

「保守主義者(コンサバティブ)」と「自由主義者(リバタリアン=右派/

リベラリスト=左派)」、「全体主義者(左右問わず、極端な<共同体主義者??>)」

など、政治的立場にも多様な立場がありますが、このトマス・ペインにとっては、

「庶民的」自由主義者であったようです。

それも、現代のような「リバタリアン=右派/リベラリスト=左派」のような

厳格な対立を、自身の精神的内部に持ち込まずに、自立(自律)した

「独立自尊感覚」を保持し続けていたようです。

この人生観も、エドマンド・バークのように政府からの「終身年金生活」に依存する

こともなく、晩年を「貧窮の内」に過ごしたとされるトマス・ペインの自尊心の

現れでもあったようです。

念のため、管理人の分際からエドマンド・バーク的生き方が「悪い」と

評価している訳ではありません。

「革命的思想家」としての「筋の通し方」の問題だということです。

それにしても、「革命家」の人生ってつらいですね・・・

管理人には、とても無理な生き方です。

だからこそ、尊敬もする訳ですが・・・

そんな「独立革命思想」と「人生観」が、見事に一致した生涯だったようですね。

だからこそ、不安やおそれを誰よりも「体認・体得」していたのでしょうか?

それが、政治的姿勢を問わず「ベーシックインカム(最小限生活保障)」という

思想にも発展していったようです。

そのことが、『人間の権利』第二部に表現されています。

決意と覚悟が厳しく問われ続ける「自由と独立」と日本人のための「独立自尊精神」原論!?

さて、日本では、エドマンド・バーク以上に知られていない

トマス・ペインですが、

彼の人生には魅力を感じさせられたのではないでしょうか?

その人間評価は、読者の皆さんの評価にお任せします。

ところで、彼の人生を通した「思想的実践行動」を観察してみると、

本当に「自由と独立を追求する姿勢」には、絶えず厳しさが

つきまとうことも見えてきます。

日本国憲法は、「護憲論」であれ、「改憲論」であれ、

相互に「尊重」されなければなりませんが、このところ「改憲派」の

人びとも、「解釈改憲」など安易な「お茶を濁す」姿勢であるかのようです。

このあたりは、学生時代から「法の精神=立憲主義」を学び取ってきた

「改憲派」の管理人でさえ、将来が不安になるところです。

かの「安全保障政策論」でも、「社会保障政策論」、「エネルギー政策論」・・・

その他「重要法案審議」は、十二分に尽くされただろうか?

そう有権者の一人である管理人も深い憂慮の念を抱いています。

最近の政治家の質も全体的に低下しているとともに、それは同時に

私たち一人ひとりの有権者の質の低下の問題でもあります。

決して、この「アメリカ独立革命思想」を学ぶことも、他人事ではないのです。

確かに、私たちのような一般庶民にとっては、日々の生計に追われ、

大変厳しい人生を過ごすことになる訳ですが、「自由と幸福追求」は、

突如「天から降って湧き出てくる」ものではありません。

「平和」も

「最低限度の生活保障??(最大限の誤字ではないかと思うのですが・・・)」も、

「条文」さえ整備されていれば、「万事良し!!」という訳にはいきません。

こうした「当然の道理」にも、あらためて気付かせてくれたのが、

トマス・ペインの『人間の権利』でした。

常に、自らの人生の厳しい道のりの過程で、「追究」していくものだと

思われます。

今、「追究」と表記しましたが、「追求」ではないことにもご注意願いたいのです。

「追求」だと、どこまでも「欲望が肥大化」していって、さらなる「苦難の道のり」が

待ち受けているからです。

最初のタイトルで、やや刺激的に「自由と独立に対する侵害から立ち上がれ!!」

と掲げさせて頂きましたが、これは「圧政への抵抗論」をも呼び覚ます言葉です。

まさしく、「独立革命思想」です。

日本では、「自由や平和その他もろもろは、タダ!!」だと思われてきたフシも

ありますが、ことに「自由と平和」に関しては、江戸時代まで「武士の仕事」、

明治以後も、「軍隊や警察などの特殊職業人の仕事」とされて、

一般庶民の身元安全管理からは、ほど遠い感覚に慣らされていますが、

こうした「アメリカ独立革命思想」のためのパンフレット文書を

読み進めてくると、「安全保障を他人任せにして大丈夫かいな??」とも

実感されてきます。

もっとも、日本社会は、アメリカ社会のような「独立自衛権」を

個人でも負担する「闘争」文化には属していません。

そのあたりは、「個別的人生観」の違いもありますので、

「圧政への抵抗」(例えば、デモ行進など)について、強要など出来ませんが、

本書を読むと、様々な連想が湧き出てきます。

そこで、この「圧政への抵抗(権)論」ですが、日本の法学部では、

「完全無視」のことが多いようです。

授業で触れられても、「文言解釈」だけで、それ以上「奥の院」にまで

立ち入ろうとしません。

これが、アメリカの大学教育ではどうなのか、「留学(遊学)」したことが

ありませんので、その「アメリカ法学部教育事情」がいかなるレベルのものか

存じ上げませんが、興味深いことではあります。

そのこともあって、「圧政への抵抗論」には実感が伴わないのです。

日本でも、教科書的には初等教育から、ほんのさわり(無難な箇所のみ)は

教えられますが、本当に深く自らの人生観(生命観=世界観)かけて学べば、

大変な変化が、この日本社会にも出てくることでしょう。

ベーシックインカム論」とて同じです。

「曲学阿世の徒」という言葉はあっても、真性の「自由と独立の使徒」という

言葉は、この日本社会にはないようです。

だからこそ、想像力のないリーダー(私たち一般国民の反省点でもありますが・・・)

任せになり、心配の種ばかりが続出するのではないでしょうか?

幕末から明治にかけて、日本には福澤諭吉という教育者がおられました。

その方の言葉「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず(天賦人権論)」

「一身独立して、一国独立する(独立自尊論)」がありますが、

この言葉ほど、日本教育からほど遠いものもないようです。

「教育は私学から」という意味も、まともに考えられた形跡が見当たりません。

そうしたことも、「私学助成金違憲論」まで持ち出されてくる結末になっています。

こうして日米を比較してみれば、日本にもトマス・ペインに匹敵する人物が

いました。

「第二維新論」を展開していった西郷隆盛などの、

「日本独立革命思想派(日本の州権<地方>独立論者)」もいます。

このような角度から、明治以後の「日米比較史」を学び直してみるのも

一興であります。

どこかの時点で、日米双方の「独立革命思想」に食い違いが

生じていったがために、その後の「日米悲劇史」が始まってしまったようです。

今後とも、日米関係を維持発展していくための叡智としても、

本書をご一読されることをお薦めいたします。

それにしても驚いたのは、トマス・ペインは「社会主義者」ではないものの、

「社会主義者」サン・シモンもラファイエットの指揮下で、

「アメリカ独立革命」に参加していたことです。

壮大な「社会実験」が、18世紀の「新世界」で展開されていたのだとすると、

私たちは、彼らの犠牲の下に、現代の暮らしが保持し得ていると考えると、

深い哀悼と感謝の頭を垂れなくてはなりません。

「歴史とは、壮絶な皮肉の連続」だともいいます。

また、本書では、トマス・ペインの現地人であるネイティブ・アメリカンに

対する彼自身の考えについても触れることが出来ます。

さらに、トマス・ペインは、「クエーカー教信者」に近い立ち位置にいたようですが、

「良心的兵役拒否」の伝統にもとらわれない「独立自衛心」も保持していたようです。

この「クエーカー教」から学ぶべき点は、多々あるようです。

「良心的兵役拒否」のみならず、「良心的納税拒否」、「良心的労働拒否」などなど、

深く根底からの哲学的思索も誘発してくれるからです。

現代社会は、ついに「魂の精神的闘争の時代」にも突入しつつあるようです。

決して、「宗教的対立」の中に入っていってはなりませんが、

こうした優れた「宗教的感覚」からも学ぶ柔軟さを持ちたいものです。

その後の「アメリカ独立革命史」は、前にもご紹介させて頂きましたが、

「明白なる天命(マニフェスト・デスティニー)」による「西へ、西へ・・・」の

西漸運動で、日本にまで到達し、現代は中国からさらにユーラシア大陸一周??の

「独立革命史」を進展させているかのようです。

「地球儀を一周すれば、どこに到着するのでしょうか?」

それは、分かりませんが、是非とも「世界平和の道筋」にはしたいものです。

そのために、全「地球人」は協力しなくてはなりません。

本書は、そんな壮大な<序曲>を生み出していった「独立革命物語」です。

トマス・ペインやエドマンド・バークなどの「人生観」からも、なにがしか

貴重な「人生訓」が得られるものと確信していますので、

是非皆さんにもお読み頂くようお薦めさせて頂きます。

最後に、「自由と独立は、日々の<忍耐>と<寛容>から・・・」

という言葉とともに、

『我に自由を与えよ。しからずんば死を与えよ。』(パトリック・ヘンリー)という

言葉は、かなり過激でお勧めは出来ませんが、

アメリカ独立革命の原点である印紙税法反対運動から創出されてきた言葉

『代表なくして課税なし』は、しっかりと脳裏に刷り込んでおきましょうね。

この後、有名なティーパーティー運動の原点「ボストン茶会事件」も生起しています。

この背景事情も、昨今の「グローバリズムとナショナリズムの接点」での行く末を

予測していくうえでも、重要な着眼点となってきますので、ご記憶しておいて

下されば、何かの判断にお役に立つことでしょう。

「賢明な判断は、歴史的分析考察と連想にかかっています!!」

今回は、トマス・ペインの革命的著書であるだけに、

結局は、冒頭の「お約束」を守りきれずに「煽り調」になってしまいましたが、

他意はありませんので、皆さんにとっての「自由と独立」を考えて頂くための

貴重な1冊としてご紹介させて頂いたまでです。

まだまだ寒暖の差も激しい季節の変わり目ではありますが、

読者の皆さんにおかれましても、お体をご自愛なされるとともに、

「春爛漫の一日」を「過ぎ越される」ことをお祈り申し上げます。

なお、トマス・ペインの「コモン・センス」については、

「コモン・センス 完全版~アメリカを生んだ「過激な聖書」~」

(トマス・ペイン著、佐藤健志訳、PHP研究所、2014年)

トマス・ペインの「理性の時代」については、

「理性の時代」

(トマス・ペイン著、渋谷一郎訳、泰流社、1982年)

また、エドマンド・バークの著書については、

「フランス革命の省察~新訳「保守主義の父」かく語りき~」

(エドマンド・バーク著、佐藤健志訳、PHP研究所、2011年)

「フランス革命の省察 新装」

(同上、半澤孝麿訳、みすず書房、1997年)

「崇高と美の観念の起原」

(同上、中野好之訳、みすず書房、1999年)

をご紹介しておきます。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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3 Responses to “クリストファー・ヒッチンス氏の「トマス・ペインの『人間の権利』」自由と独立に対する侵害から立ち上がれ!!”

G.K.チェスタトンの「求む、有能でないひと」価値観の揺らぐ時代に<精神的平衡>を保持する叡智<ユーモア感覚>を磨こう!! | 双龍天翔 へ返信する

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