村上和雄先生の「こころと遺伝子」に学ぶ「新たな進化遺伝学」の可能性を探ろう!?

Pocket

村上和雄先生といえば「サムシング・グレート!!」

一見すると、米国の「インテリジェンス・デザイン論」

日本版のように誤解されているようですが、さにあらず・・・

歴とした分子生物学者です。

ただ、今日の「進化論」について

もはや「ダーウィン的進化論」のみでは、説明のつかない

事象が多々生じてきている、ということだそうです。

今回は、昨日の今西錦司先生と同様「新たな進化論」を

考えていこうと、この本をご紹介します。

「こころと遺伝子~エナジーシグナルが遺伝子を変える 思いが人生を創出する~」(村上和雄著、実業之日本社、2010年)

村上和雄先生(以下、著者)は、分子生物学者で筑波大学名誉教授です。

1983年に高血圧の原因である酵素「レニン」の遺伝子解読に成功

されて、世界の注目を浴びることになります。

一方、奈良県天理市で生まれ育ったことから「天理教」の教えにも

深い影響を受けておられるようです。

現代の「進化論」の最前線は、19世紀のダーウィンの時代とは

大きく異なってきました。

ダーウィンの生きた時代には、まだ「遺伝学」の知見も少なく

晩年に「遺伝学の父」であるメンデルが生まれましたが、

彼自身は、メンデルの法則などに細かく触れることなく終わりました。

その後、メンデル派の遺伝学研究が進み「進化と遺伝の関係」も徐々に

明らかになりつつありましたが、ダーウィンの「自然選択説」

ならびにダーウィン死後の「突然変異説」の影響を受けた学説が

主流となっていきました。

その後、「進化と環境との関係」の研究も進み、ダーウィンの積み残した

課題に昨日ご紹介した今西錦司先生や「集団遺伝学」を研究されている

木村資生先生の研究などから、この主流説にも大きな難点があることが

問題提起されていきました。

「生物の進化は、遺伝子なのか環境によるものか?」

このことが、以来「遺伝学」の主要テーマとなっていきました。

そうした流れの中で、量子物理学の影響を受けた「分子生物学」

「遺伝子工学」が生まれ、「ミクロな世界」における進化過程も

追究されるようになりました。

ですので、今日ではダーウィン進化論は完全に間違っているということ

ではありませんが、これは「マクロな世界」におけるテーマだという

ことが判明してきているようです。

もっとも、個々の解釈を巡っては様々な学者が論争を積み重ねていますが・・・

どうやら、21世紀初頭の「生物学(遺伝子学・進化論含む)」の分野では

20世紀初頭の「物理学の世界」で起こったマクロとミクロの論争が

本格的に始まったようなのです。

ところで、生物学の分野でも「物質(細胞膜)+エネルギー(遺伝子)」

という視点での研究も始まっているようですね。

特に、「遺伝子情報の解読」は「ヒトゲノムの解読作業」が完了した

ことにより「一段落」したと思いきや、

「遺伝子情報とは何を意味しているのか?」

については、やっと緒についたばかりのようです。

そこで、今回はその最先端の研究情報を著者に学びながら、

「新たな進化遺伝学」を考えていきたいと

この本を取り上げさせて頂きました。

遺伝子のオン・オフのスイッチとは??

著者は、最近の細胞生物学の知見から「遺伝子の切り換え」

について語っています。

「遺伝子は単なる生物の設計図にすぎず、意識や環境が

細胞をコントロールし、遺伝子の振る舞いを変える」という

米国の細胞生物学者ブルース・リプトンの仮説を紹介して

「遺伝子スイッチのオン・オフ」というたとえで表現されています。

これまでのところは、「遺伝子情報そのものよりも遺伝子の構造」

が主に研究されていたようです。

ゲノム研究もその一環です。

つまり、「遺伝子の構造解析研究」ということです。

ところが、「情報そのもの」に関しては未知のようで

「これが何を意味しているのか?」については

将来の研究課題だそうです。

ですので、著者の見解も現時点における仮説として

以下考察を進めたいと思います。

物理学の世界でも、現在は「物質(粒子)から波動エネルギーの研究」

へと進化し続けているそうですが、「遺伝学」においても同じような

課題に直面しているのが現状のようですね。

遺伝学では、物質単位としての「獲得形質の遺伝」については

今日否定されているようですが、

リチャード・ドーキンスの「利己的遺伝子」に対して

「文化的遺伝子(ミーム)」ということも話題にされています。

この「文化的遺伝子」は「文化的」という名称から「遺伝子の

エネルギー的側面」をたとえたものなのでしょうか?

いずれにせよ、次世代にどのような形で「遺伝子情報」が

継承されていくのかについては、興味ある論点でもあります。

すべての人間には、可能性がある!!

著者は、最近の日本の教育についても問題提起されています。

いうまでもなく、現代の「学校教育」は平均値重視路線であり、

全員が全分野に渡って満遍なく能力を身につけるものになっています。

これでは、「もっと勉強したいという者」にも「行き詰まってある分野で

落ちこぼれてしまった者」にとっても悲惨な未来を招き寄せてしまいます。

21世紀は、「脱工業・産業化社会」とも想定されているように

各人の持てる能力を活かした「情報化社会」となっていくでしょう。

著者もこの本で語っているように、「教育とは本来、各人に眠れる能力を

引き出す(エデュース)こと」です。

生きている限り、誰でも「潜在的可能性」はあるのです。

これまでの、「遺伝学・進化論」では

優生学(唯物的な物質優位)的な見方が中心を占めていました。

「医学・生理学分野」でもそのような見方が多数でした。

しかし、この「新たな遺伝子学」の流れは「環境重視路線」の

ようです。

そうしたことから、人の成長過程にも環境の影響が

考慮されなければなりません。

もっとも、日々痛ましい事件が起こっている原因について、

すべてを環境のせいにすることは出来ないかもしれません。

何らかの「先天的な障害」を抱えてしまったことも

原因の一つかもしれません。

それでも、この見方なら人間の新たな可能性を積極的に引き出す

ことになると思われるので、「新たな進化遺伝学」の可能性・

方向性として、応援していきたいと思います。

その意味でも、今後の日本の教育現場を始めとして

あらゆる分野で環境に適応する方法論を、

各自練っていく必要があるでしょう。

著者の仮説とともに、今西錦司先生の「棲み分け理論」などを

土台として、あらたな「環境生態学としての進化遺伝学」を

考案して頂きたいものですね。

そういう視点から、著者のますますのご活躍をお祈りして

筆を擱くことにします。

最後までお読み頂きありがとうございました。

sponsored link


 

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

サブコンテンツ

このページの先頭へ

Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.