クリスマスに送る祝福の書!!リルケの「神さまの話」を読んで、孤独から愛を学ぼう!!

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メリー・クリスマス!!

言うまでもなく、本日は

イエス・キリストの生誕日です。

今回は、そんな聖夜にふさわしい

リルケの「神さまの話」を

皆さんにお届けします。

リルケは、「孤独を愛するすべての方」に

力強い勇気を授けてくれる偉大な作家・詩人です。

日本でも、幼少期の三島由紀夫など数々の文学作家や

芸術家に影響を与えています。

キリストの隣人愛は、孤独の中でこそ育まれるようですね。

「神さまの話」                      (リルケ著、谷友幸訳、新潮文庫、2011年第51刷)

リルケ(以下、著者)は、19世紀の末期に

オーストリア=ハンガリー帝国領プラハ(現:チェコ共和国)

にて、厳格なユダヤ系の家族の中で生まれました。

幼少期より厳格な父親から軍人への道を進められ、陸軍士官学校に

入学しますが、性格に馴染むことなく中途退学します。

その後、リンツの商業学校に進むも世俗の生活感覚に馴染むことが

難しかったのか、ここも中途退学します。

この頃にはすでに詩作も始めていたようですが、

早熟な瑞々しい感性が著者を生涯「一旅人芸術家」として

育て上げていったようです。

残された写真によれば、何とも「腺病質で憂鬱な表情」に見えますが、

内面は「激しく情熱的な燃えたぎる魂」に満たされていたようですね。

著者は、二度のロシア旅行に出かけますが

この時にトルストイとの交流もあったといいます。

この時の体験が原型となって、信仰心が深められていったようで、

今回ご紹介させて頂く「神さまの話」の創作につながっていきました。

全編13部の「神さまの話」が一冊の小説としてまとめられています。

子ども向けの話を大人に語り聞かせ、大人から子どもに語り継いでいく形態で

この「神さまの話」は構成されているのですが、実のところ「魂を喪失した」

大人向けのメッセージであるようです。

21世紀現在、世界は再び宗教的対立が始まろうとしています。

なぜ、人間は20世紀の教訓から学ぼうとしないのでしょうか?

この短編集は、そんな現状にも深いメッセージが込められているようです。

「神無き時代」とされた20世紀以降の人間に、再び「神と共に」

暮らせる静謐な日々は訪れるのでしょうか?

神さまは、外におられるのではなく、各人の心の内におられるのです。

それが、「良心であり愛の原型」です。

この短編集は、読みやすく子どもへのプレゼントとしても最適な好著です。

また、大人にとってもサン=テグジュペリの「星の王子さま」とともに

座右の書として何度も読み返してみたい本です。

今回は、皆さんとともに「本物の愛とは何か?」を考えてみたく

この本を聖夜にふさわしい書物として取り上げさせて頂きました。

神は、孤独で貧しい者を介して降臨される!!

「貧しき者は幸いなり!!」

有名な聖書の1節ですが、これまで歴史を通じて長い間

21世紀に至るまで、これほど多くの誤解を受けてきた言葉もありません。

なんと、イエス=キリストの本心から離れて倒錯的な「支配言語」として

悪用されてきました。

人類が、この重要なキリストからのメッセージを理解しない限り、

世界に無用な混乱と対立が続くばかりでしょう。

本来のキリストの教えが、どうも現在の「主流」のキリスト教とは

違うらしいと、これまでも考察してきましたが、この短編集でも

そのテーマが通底に流れているようです。

この本には、トルストイを思わせる人物も出てきます。

ユダヤ系出自の著者も、感受性が強く幼い頃から深い信仰心を

抱いていたようですが、厳格なユダヤの伝統やユダヤ=キリスト教的な

「一神教的宗教観」には深い疑問を持っていたようです。

著者は、この本を1900年の「クリスマス」に出版するのですが、

特に典型的な「クリスマスプレゼント用」として消化されていくような

薄い内容の本として書いた訳ではなかったようです。

もっとも、この頃はまだ世間的に無名だったようで

生計のためにも、それなりの営業努力と工夫は凝らしていたようですが・・・

結果として、当初は「全く売れなかった!!」そうです。

やはり本当に優れた良書は、「来るべき時期」が来ないことには

なかなか日の目を見ることも難しいようですね。

この本は、第一次ロシア旅行での体験が下敷きになっているようですが、

特に「ロシア正教的なキリスト教世界観」もかいま見られて、

勉強になります。

話は飛躍してしまいますが、現在の「ウクライナ問題」を考察するうえでも

重要なメッセージを伝えているように思われます。

つまり、キリスト教に対する認識が「英米(西方)中心のキリスト教理解」と

どうも大きく違うらしいということです。

2015年は、イスラム教に注目が集まりましたが、この「ロシア正教」

意外に「盲点」になっているようです。

キリスト教は、キリスト死後にローマを中心にしてパウロ=カトリック、

宗教改革後のプロテスタント諸派、そしてこの「正教派」に大きく

分離していくのですが、「東方のキリスト教」は忘れられているようです。

ギリシャ正教も、ローマ=カトリック教会とは異なりますし、

トルコもイスラム教とともに「キリスト教東方派(正教派)」

理解なくして現在の世界情勢は見えてこないようです。

この「東方のキリスト教」という視点は、後に異端派とされた

ネストリウス派キリスト教(景教)として中国や聖徳太子時代の

日本にも密かに伝わってきたというだけに興味あるところです。

飛鳥時代の日本に入ってきた「景教」と南蛮文化をもたらした

イエズス会系のキリスト教との隠れた歴史的対立という視点でも

小説が書けるかもしれません。

どなたか挑戦して頂きたいものです。

閑話休題・・・

このロシア正教は、なんと「原罪説」を採用せず「人間性善説」のようです。

(元駐ウクライナ大使の馬渕睦夫氏による見解です。)

対して、一般的に日本で理解されている「キリスト教世界観」は

「原罪説=人間性悪説」に基づくイメージです。

この辺りの思想的違いを理解せずに、上記の

「貧しき者は幸いなり!!」の真意も理解出来ないようです。

「神は、孤独で貧しい者を介して降臨される!!」

この臨在感は、「神と共にある」という日本人の宗教観を

妨げるものでもありません。

「神さまの外在化から内在化への回転」こそ、

まさに今日までの「一神教的絶対価値観」からの脱却点になるようです。

孤独を愛し暇と退屈を友に出来る知恵を持つ者こそ、平和の使徒!!

「孤独」や「暇と退屈」には、

現在の価値観によると

すこぶる評判の悪いイメージがあるようです。

その時空を知恵で満たす工夫を知らないがために、

私たちの多くは、この世に大混乱をまき散らしてきたようです。

この本を読んで、「ロシア的価値観って何だろう??」と

考えていたら「大地にひざまずく人間像」なのですね。

著者自身、ユダヤ系の影響を受けて育ったようですが、

このロシア旅行でのトルストイなどとの交流から

あらたな「回心体験」を得たようです。

しかも、1900年から1904年のロシアと言えば

日露戦争前夜でもあります。

また、著者は第一次世界大戦直後の1926年に

亡くなりますが、その直前の出来事であるロシア革命事情に

1900年の時点で、「やがて来るロシア革命や共産革命が

人類に何をもたらすのか?」に対する「予言書」にもなっているようです。

リルケ作品は、「若き詩人への手紙・若き女性への手紙」など

「孤独を愛する友人」への細やかな愛情表現に満ち溢れています。

同じ「孤独な文筆家」としても勇気づけられる珠玉の1冊です。

孤独を愛し強い信仰心と知恵にあふれるユダヤ系の著者だからこそ、

描くことの出来た「神さまの話」だと思います。

「人間の持つ暗闇」についても、描かれています。

著者独自の「ミケランジェロ論」もあります。

著者が、幼少期から青年期を過ごしたオーストリア=ハンガリー帝国は

第一次世界大戦終結とともに解体されていきます。

その頃(19世紀末)のオーストリア事情は、「ヒステリー人間」が

増加する一方だったともいいます。

フロイトなどの心理学者もここから生まれ育ちました。

現在のヨーロッパの深層心理を本当に理解するなら、

「19世紀末のオーストリア事情」にまで遡って検証する必要も

ありそうですね。

日本人にとって、再び「欧州(ヨーロッパ)情勢は複雑怪奇」と

ならないためにも、この著者の警告は正しく受け止めるべきでしょう。

以上、聖夜に「神さまの話」を「深読み」してきましたが、

皆さんもこの本を読みながら、「人生における愛と孤独の重要性」を

学んでいきませんか?

つまるところ、

「人生とは孤独を含む<影との対話>から目を背けないこと!!」に

尽きると思います。

「皆さんにも祝福がありますように・・・」

なお、著者にはこの本以外にも新潮文庫から

「若き詩人への手紙・若き女性への手紙」

「リルケ詩集」

「マルテの手記」が出版されています。

また、本文での「ロシア正教」の知識につき、

『政治・経済・信仰から読み解く日本「国体」の真実』

(元駐ウクライナ大使:馬渕睦夫著、ビジネス社、2015年)に

大いに学ばせて頂きましたことをここに感謝申し上げます。

こちらの本も、現在の日本を取り巻く世界情勢を考えるにふさわしい

好著となっています。

「2016年以後、日本と世界はどう動いていくのか?」

世界のハートランド「ウクライナ」を実際に体験されてこられた

外交官だけに、好学の方々には是非お読み頂きたい本でもあります。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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