田坂広志先生の『知性を磨く~「スーパージェネラリスト」の時代』知性と知能の混同が「専門家支配」を招いた!?

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『知性を磨く~「スーパージェネラリスト」の時代』

田坂広志先生が、「スーパージェネラリストの時代」に

向けた知的修養論を公開。

「スペシャリスト(専門家)」は、問題を解決出来ない!?

20世紀から21世紀初頭の教訓を踏まえながら、

単なる「既製品」としての「ジェネラリスト(器用貧乏)」を

目指すのではなく、未来型リーダーが学ぶべき視点を

提供されています。

今回は、この本をご紹介します。

『知性を磨く~「スーパージェネラリスト」の時代~』    (田坂広志著、光文社新書、2014年)

田坂広志先生(以下、著者)は、シンクタンク・ソフィアバンク代表者にして、

多摩大学大学院教授として、「社会起業家支援教育」をされてこられました。

2008年には、世界経済フォーラム(ダボス会議)のGACメンバー就任。

2010年には、世界賢人会議・ブダペスト・クラブの日本代表就任。

2011年には、民主党政権下の政府における内閣官房参与を就任されるなど、

国内外で幅広くご活躍中の「社会教育者」であります。

2013年には、本書の主題「スーパージェネラリストの7つの知性」を

学ぶ場として「田坂塾」を開塾されるなど、

「志」と「人間力」を兼ね備えた次世代型リーダーの養成・支援教育を

展開されています。

なお、上記著者のリンク先を開いて頂くと、動画で著者の講義を

さらに掘り下げて学ぶことも出来ますので、ご視聴下さいませ。

さて、本日と明日の2回にわけて、著者の「スーパージェネラリスト教育論」

ご紹介させて頂く予定であります。

第1回目が、本書『知性を磨く~「スーパージェネラリスト」の時代』

第2回目が、本書の後半部でも展開される「多重人格のマネジメント」を通じた

「才能開花の技法」を主題とした

『人は、誰もが「多重人格」~誰も語らなかった「才能開花の技法」』であります。

ですので、本日は、後半部の「多重人格マネジメント論」については、

省略させて頂きますので、予めご了承願います。

ところで、現代社会は、「スペシャリスト(専門家)」か

一般職・総合職(管理職)といった「ジェネラリスト(器用貧乏)」が

主流的生き方とならざるを得ない「高度<分業>型社会」であります。

しかしそれは、社会人としての第一歩をどちらの方角へ踏み出すにせよ、

不安定かつ複雑きわまりない「大転換期時代」にはうまく適応出来ないで、

大多数の方々の仕事と人生が、いとも簡単に、時代の波にさらわれてしまう

大変危険度の高い生き方を強いられる社会でもあります。

それがために、才能がありながらも、途中で精神的に脱落せざるを

得なくなる若者も後を絶ちません。(若者だけではありませんが・・・)

そんな困難な時代では、「志」をもった「仕事」を通じて生計を維持せよと

言われても、大多数の人間にとっては、心理的・物理的拒絶反応が

必ずどこかの時点で生じてきてしまいます。

こうした変化が激しく、先行き不透明な時代をいかに乗り切っていくか?

著者は、若き日に訪れたアメリカの「複雑系科学」のメッカである

「サンタフェ研究所文化」や映画『アポロ13』に描かれたリーダーシップ像を

手がかりに、「波乗りの戦略思考」をキーワードとして様々な角度から

これからの時代に求められる「人財像」をわかりやすく解説されています。

(ちなみに、本書や世間一般の表記では「人材」ですが、管理人の人間尊重の

ポリシーから、今後とも「人財」表記で統一させて頂くことにします。)

「理解」は、「知能」と「経験」だけでは足りない。

「志」や「人間力」を兼ね備えた「知性」とともに、全身全霊で経験学習を

積み重ねながら成長していく「体験型学習」こそが、次世代の社会教育には

必須のリテラシーだと説かれています。

それが、「スーパージェネラリスト」の時代には必要だと。

現在、「人工知能」研究開発も進展していく中で、

人間の「知能」そのものが激しく揺らいできています。

そのような大転換期の中で、従来型教育を乗り越える「あらたな教育手法」を

見出そうと日夜、研究されていらっしゃる教育研修担当者の方もおられることでしょう。

とはいえ、著者の提案される学習方法に学びながら、積極的な未来志向で

社会における諸難題に取り組んでいくなら、多少は「不安感」も軽減されることと

思われます。

「スーパージェネラリスト」になるためには、並大抵の努力では足りませんが、

少しでも、社会に貢献出来ることが叶う「才能開花の技法」を学ぶことは、

皆さんにとっても有意義な人生を送るうえで有益な視点を提供してくれることでしょう。

それが、あなたに新たな「幸せの形」をもたらしてくれるのかもしれません。

ということで、今回は、この本を取り上げさせて頂きました。

スーパージェネラリストのための「7つのレベルの思考」

著者は、「知性」と「知能」は大きく異なるものだと

最初に強調されています。

世間一般に流布する「知性」とは、「知能」のことであって

必ずしも「知性」には当てはまらないのだと指摘されています。

「知性」は、「常に<正解のない問い>を問い続けながら、愚直に求め続ける心」

「知能」は、ロボットでも判断出来る「<正解のある問い>に素早く対応出来る反応?」

管理人による上記表現は、著者の定義とは多少異なりますが、

こうした「知性」と「知能」の混同が、「思考に深みのない」人間を

生み出してきたのではないかとの問題意識は共有しています。

それが、問題解決の「出来ない」無責任な専門家の時代を招いたのではないかとも。

一方で、「管理職」などの一般的総合職「ジェネラリスト」も

定型的な業務には精通していても、

長期的かつ俯瞰的な視点が養われにくい職場環境にいるために、

単なる「稼ぎ」のための「ジョブ(短期的定型作業)」というような

低次意識に陥る傾向にあるともいいます。

そのために、職場が変わっても、身につけた能力が活かせないなど、

適応にも支障を来してしまうようです。

では、どうすれば、どのような場面でも自らの能力を十二分に活かし切ることが

叶うのでしょうか?

それが、「スペシャリスト(専門家=限定された特殊能力者)」でも

「ジェネラリスト(あえて<器用貧乏>と表現させて頂きます。

悪意ではありません、念のため。)」でもない「第3の<仕事人>」

「スーパージェネラリスト(総合的人格者)」へと脱皮することであります。

では、こうした「スーパージェネラリスト」になるためには、

どのような思考法や能力が必要となるのでしょうか?

著者によると、「7つのレベルの思考」だとされています。

すなわち、

①「思想」

②「ビジョン」

③「志」

④「戦略」

⑤「戦術」

⑥「技術」

⑦「人間力」

であります。

それぞれの詳細な解説は、本書をご一読して頂くとしまして、

これらの「7つのレベルの思考」を「垂直統合」の視点でもって、

上下左右横断的な活用が出来るようになるのが、

「スーパージェネラリスト」の理想型のようであります。

特に、「思考の上下往復運動」が重要になるとのことで、

著者は、「弁証法的思考法」などを例にわかりやすく解説されています。

まとめますと、「メタ能力(暗黙知のこと)」による「総合的判断能力」が

「スーパージェネラリスト」には不可欠だということです。

このことを身体感覚を伴った経験を通じて「体験」していくことで、

「予測」できない未来を「予見」しながら、この不安定な社会を

生き抜くための「智恵」へと昇華していく身構えを形成していくのだと。

「昇華=混沌から秩序へ」ですが、

まさしく、こうした『未知の世界に向けた「知」の立ち上げ作業』こそが、

「スーパージェネラリスト」の「仕事(ワーク)」であります。

つまり、「複眼的かつ俯瞰的知的思考」が出来る「職人」ですね。

「戦わない」ための「戦略」こそ、最高の「アート」!?

ところで、これまでも「リーダーシップ論」については、

類書でも『戦わない経営』(浜口隆則氏)や

サーバントリーダーシップ』など

様々な奉仕型「経営論」の中で展開されてきましたが、

本書では、著者の学者や官民問わずの「現場実務」を通じて

ご経験されてきた体験より得られた「才能開花の技法」が

説かれています。

「経営」といえば、「戦略思考」の重要性が、

いずこでも強調されていますが、

まだまだ「戦う」ための「戦略論」が幅をきかせているようです。

一見すると、「戦わない」を実践されているように見えても、

人の「心」を操る心理操作手法に人気が集まっているようですが、

経営現場の現状では、「悪用」する経営者も後を絶たないといいます。

つまり、「人間力」が、まったく欠如しているということです。

著者が、本書で次世代を担うリーダないしはリーダー候補者に

一番強調されているのも、この「かけがえのない生身の人間」を

仮にも預からせて頂いているのだという自覚を

片時も「忘れるな!!」ということです。

ここは非常に大切な視点ですので、

著者の言葉をそのまま引用させて頂きます。

『どのような戦略にも、そこには「かけがえの無い人生」が

懸けられている。』

『そこには、部下や社員の「かけがえの無い人生の時間」が懸けられている。』

(本書139頁)

つまり、現代市場経済社会における競争が激しいことは十二分にわかりますが、

ともに困難な事態を乗り切る「人財=宝」をみすみす消耗品扱いしてはならない

ということであります。

「戦略を練る」とは、いかに双方の損害を避けるかを考えることでもあります。

政治的な言葉でもある「敵/味方」という言葉は、

個人的には、あまり使用したくはありませんが、

出来る限り激しい消耗戦にならない領域を開拓しながら、

あらたな挑戦をしかけていくのが、優れたリーダーだと昔から言われています。

「消耗戦」が予測されるならば、「撤退戦」の研究も十二分にされておくのが、

リーダーの務めであります。

また、「スーパージェネラリスト」と言えども、

リーダー唯一人の双肩だけで背負いきれるものでもありません。

もっとも、最終責任は、組織の長が負わねばなりませんが・・・

その時は、優れた「人財」の「声なき声」を傾聴することが重要です。

「戦略を練りながら、打って出るべき最適の時を待つ!!」

NHK大河ドラマ『真田丸』の真田昌幸ではありませんが、

こうした生き残りをかけた「様子見」も学ぶべき点でありましょう。

「声<ある>声」を聴くことは出来ても(それでも難しいですが・・・)、

「声<なき>声」に耳を傾けることは、もっと難しいものです。

だからこそ、「経営者は、常に孤独」であります。

独立人であればこそ、その「心情=真情」はよくわかるつもりです。

こうした人情の「機微」に敏感であることも、

「スーパージェネラリスト」には是非とも必要な「智恵」であります。

著者も、「知能者」と「知恵者」の大きな違いをここにおいているようです。

「頭は良くても、人情の機微にまだ通じていない若手」の例を

本書の冒頭の場面設定に据えながら、

こうした「知性」と「智恵」の大きな違いについて、あの手この手で

考察されているのが本書であります。

この「人の<心>の動き」を精確に思い描きながら、

人々と接することが出来るように精神修養していくのが、

「次世代型リーダー=スーパージェネラリスト」の役目であります。

それには、自分自身の「心」を厳しく見つめ直す「内観」という修業が

大切になるとも、著者は強調されています。

己自身の「弱い心=エゴ」の動きを厳しく見据えること。

書いたり、言ったりすることは簡単ですが、

日頃からの生活実践となると誰しも難しいものです。

管理人も当然ながら、弱い人間であります。

日々、精神修養に努めながら、理想の社会実現のために

頑張っているところですが、どうしても詰めの甘いところも

出てきますし、仕事の粗さも出てきてしまいます。

ですから、毎日の「仕事」から日常生活の至るところまで

すべて「修業(行)の場」であります。

本書でもたびたび強調されていますが、

「知性」は、「安直な精神」を許さないものです。

管理人も、出来る限り「能力」を振り絞りながら、

ウンウン唸りながら、誰しも難しいテーマを「わかりやすく」

ご紹介、分析考察しながらお伝えできるように努めていますが、

まさに瞬間瞬間の「一打」が、「知性磨き」の特訓の場であります。

ですから、もともと「わかりにくいこと」を「わかりやすく」

安直に語ることは出来ないものだと深く反省しながら綴らせて頂いています。

「わかりやすさ」が、極端に求められる時代だとは理解していますが、

安直な「わかりやすさ」だけで伝えきることも出来ないことは

十二分に承知しているつもりです。

本書でも語られていますが、

「言葉」は、「世界」を安直に「わかりやすく」、

「切断」してしまうだけに厄介な道具でもあります。

しかして、それが、自他ともの「心」をも支配してしまう怖さが

「言葉」には秘められています。

とはいえ、その「限界」を埋めるのも、「言葉」であるだけに

言葉を扱う際には、正直でなくてはなりません。

「誤解」は、「対話」で時間を掛けながらも、

「<心>の間合い」を詰めていかなくてはなりません。

その作業を面倒臭いと思うか、勉強になると思うかで、

未来もまた、まったく異なる世界へと導かれていくことになります。

そこが、「人間力の差」でもあり、「幸福の形の差」でもあるのでしょう。

本日はここまでとさせて頂きますが、

明日また「人格問題」とも重ね合わせながら語り合いましょう。

ということで、本書は、「田坂教育メソッド」の要約書でもありますので、

リーダー(人間)としての「自己修養法」や「人財育成法」などに

悩まれている「志」をもった意欲的な方には、是非お薦めさせて頂きます。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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