「数学力は国語力」齋藤孝先生に学ぶ「論理と情緒の組み合わせ思考法」により上手な表現技法を身につけよう!!
「数学力は国語力!!」
学生時代に、数学が苦手だった人も
齋藤孝先生のこの本を読んでみましょう。
こんな「数学の使い方」もあったんだと、
新発見することもあるでしょう。
最近は、純粋な文系型作家よりも
「サイエンスライター」が書くエッセイの方が
分かりやすく面白いと思う今日この頃です。
文系の方も必読!!
数学と国語両方の視点を身につけることによって、
より「表現の幅も広がる」ことでしょう。
「数学力は国語力」(齋藤孝著、集英社文庫、2012年)
著者は、「教育学・身体論・コミュニケーション論」がご専門です。
独自の教育メソッドを開発されており、「知・情・意・体」の
四位一体型「学習法」を提唱しておられます。
著者については、前にも当ブログでご紹介させて頂いたように、
「苦学独行型」の人生を歩んで来られました。
その時期に身につけた「思考法」が、「くすぶる力」
「くすぶる力」によって、想像力豊かで守備範囲の広い
今日の著者が形作られたのでしょう。
今回は、そんな著者に「数学力をどう国語力と結びつけていくのか?」
その「思考プロセスの技」を盗み取りたいと思い、
この本を取り上げさせて頂きました。
文系の人も、理系の人も必読です。
これからは、「文理統合時代」
きっと、お互いに学び合うことも多くなることでしょう。
「言葉=論理の限界」を知るために・・・
著者が語っているように、「数学力=国語力」という意味を
しっかりと把握することが重要になってきます。
「数学は情緒!!」
一見すると、矛盾するようですがそうではないようです。
私たちは「学校教育」で、「数学(理系思考)」と「国語(文系思考)」
というふうに分離したイメージで考えてきました。
そのため、生きるうえでのバランスを損なってしまっているようです。
考えてみれば、「数字」もしくは「言葉」を使って表現するかの違いだけで
ある現象を説明することには変わりありません。
表現の「技法」が異なるだけです。
数学も「ひらめき」から始まります。
まずは、不思議さに驚くことから仮説を立て検証をしていき
結論に至るというプロセスを経ます。
私たちは、「学校(受験)数学」で「数字」に偏った「数学教育」
だったせいか、「数字」以外の「図表」や「言葉」を使った「数学思考」を
疎かにしてきたようです。
そのため、「数字」をイメージするのが苦手な生徒は「数学嫌い」だと
思い込まされて来ました。
でも、皆さん。
これからは、そのようなイメージは改めましょう。
数学の「証明問題」は、何も「数式」を使わなければダメかというと、
そんな「決まりごと」はどこにもないそうです。
たまたま、万国共通の「数学的コミュニケーション」がスムーズに進行するためには、
「数式が便利」だということで、そのような慣習が出来てきただけのようです。
ただ、「数式思考」は結論に至るまでの途中の思考プロセスを省略してしまうため、
素人には一見して理解できないところに難点があるようです。
本来は、その省略された部分こそ大事なのですが・・・
方程式などの意味がイメージできないと、理解不能になってしまいます。
そんな反省からか、最近では「数式を使わない」理系思考をする若手学者も
増えてきているようですね。
一方、「言葉」偏重型の文系思考だと、言葉だけがどんどん膨らんでいって
何を言っているのか「さっぱり分からない」ということにもなりかねません。
つまり、「思考の節約」が出来ないという難点を抱えているのです。
まとめますと、「数式」偏重型も「言葉」偏重型もともに「論理の限界」を
内包していることをついつい忘れてしまいやすい所に問題があるようですね。
コミュニケーションにおいて、一番大切なことは
「いかにうまく思考を伝達して相互理解に達するか」ということです。
ですから、私たちも「言葉=論理の限界」をわきまえつつも
いかにして「コミュニケーションのズレ」を解消していくか日々腕を磨いて
いかなければなりません。
身体感覚としての数学
天才数学者や物理学者も「代数学」が嫌いなタイプが割に多かったようです。
ちなみに、「幾何学(図形学)」が好きだったタイプは多いようです。
そして、「数字」をイメージ化することは得意でも、「計算」するのは
不得意ということも共通しているようです。
この話を知った時、「もっと早く知っていたら人生変わったかも・・・」なんて
思ったものです。
実は、管理人も「幾何学」や「数秘術(数字のイメージ化)」は得意だったので、
「数学嫌い」は「受験数学」による「思い込み」だったのでしょうね・・・
ところで、人間とはホントに不可思議な生き物ですね。
「人間は、学問で想定されるようなモデルでは永遠に理解不能!!」
だからでしょうか?
最近、IT社会が浸透してきたことから「白黒はっきり思考(デジタル思考)」に
比重を置いた「アルゴリズム処理法」に人気があるのでしょう。
でも、これだけだと「やはり冷たく面白くない」ような感じがします。
やはり、未来が容易に予想出来る社会も思っているほど
「楽」ではないようですね。
人生には、予想外のことがたくさんあるからこそ「不安」もある一方で、
「喜怒哀楽」豊かに生きることも出来るのだと思います。
「言葉=時間感覚」と、
「数字=空間感覚」というように、
それぞれに適した表現方法を考案してみるのもよいかもしれません。
それでも抜け落ちる「コミュニケーションの微妙なズレ」は、
著者も語っているように「身体感覚」を磨いていくしかありません。
私たちの「コミュニケーション」は、あまりにも「知(頭)」に
偏ってしまっているようです。
これからは、「数字」との付き合い方も「知(頭)」だけではなく、
「身体」を使っていく「数学的思考法」も話題になりそうです。
著者には、毎回教えられることがたくさんありますが、
この「数学力は国語力」も珠玉の1冊です。
学生さんで、もし「理系科目」の勉強で行き詰まっていらしたら
是非一読してみるとよいでしょう。
具体的な勉強に入る前に、「受験数学の体系をイメージ」出来ると思います。
なお、「数学的コミュニケーション術」について、
「伝わる!数学的会話術のすすめ~誤解を招かない聞き方、伝え方」
(芳沢光雄著、講談社+α文庫、2008年)も
ご紹介しておきます。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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