ブライアン・グリーン博士の「隠れていた宇宙」第一弾!! 宇宙は可能性に満ちた多元体!?
2016年申年を迎えました。
新年あけましておめでとうございます。
本年も当ブログを宜しくお願い致します。
さて、新年にふさわしい明るい世界へ誘います。
ブライアン・グリーン博士の「隠れていた宇宙」
本日より2回に分けてご紹介させて頂きます。
現代物理学は、すでにSF世界に突入!?
20世紀前半の「量子力学的世界観」の発展と
アインシュタインの「一般相対性理論」から100年で、
科学の世界にも文字通り「時空のゆがみ」が生じてきたようです。
今回は、この本をご紹介します。
「隠れていた宇宙(上)」(ブライアン・グリーン著、竹内薫監修、大田直子訳、早川書房、2011年)
ブライアン・グリーン博士(以下、著者)は、
超ひも理論研究者として有名な物理学者です。
宇宙論においては「多元宇宙論」を採用されておられます。
日本でも、「エレガントな宇宙」「宇宙を織りなすもの」などの
著書で知られています。
難しい最先端物理学を一般向けにわかりやすい言葉で解説される
「科学コミュニケーター」としての活躍もされています。
著者は、幼少時から数学において抜群に優秀な成績を修められてきた
そうです。
そのためか、この本でも語っておられますように
「数学に対する信頼感」をお持ちのようです。
「数学によって宇宙(世界)を裏付けることが可能だ!!」と・・・
この本では、著者のご専門である「超ひも理論」の最先端知識と
「多元宇宙論」を詳細かつ分かりやすく説明されています。
とはいえ、物理学に馴染みのない方にとっては、専門用語も出てきますので
かなりとっつきにくい面もあるかと思われます。
本文解説にあたっては、折に触れて随時、
<注釈>や<図表>も豊富に挿入されておりますので、
理解に困難が生じられた場合には、特に<図表>を参照されながら
ご興味のある「宇宙論」から読み進めて頂ければ、
理解も促進されることと思われます。
管理人も未だすべての「宇宙論」について消化不良ではありますが、
それは、数学的・物理学的思考だけでなく、そのバーチャル世界観にも
原因があるようです。
著者も始めに注意を呼びかけられていますが、あくまで「超ひも理論」も
「多元宇宙論」もそれぞれ「仮説」だということです。
この点は、最初に確認しておきたいところであります。
「宇宙は膨張し続けているらしい!!」
ハッブルによる観測から一応現在に至るまでそのように推測されているようです。
ここから、一応の観測事実として「インフレーション宇宙論」が生まれていきました。
最先端の宇宙物理学では、ビッグバン仮説でさえ日々「理論更新作業」が
なされているそうです。
20世紀中頃までは、この二つが有力視されていましたが、
その後の「量子物理学」の発展とアインシュタインの「一般相対性理論」の
修正作業などを経て、今日では「超ひも理論」が宇宙創生論を説明する
手段として「ビッグバン仮説」をも上回る勢いで進展しているようです。
これから上下巻の2回に分けてご紹介させて頂きますが、
今回の「上巻」は、並行宇宙論の簡単な全体像の説明と
①無限空間論を前提とする「パッチワークキルト多宇宙」
②永遠の宇宙膨張の中で私たちの住む「この宇宙」は数ある宇宙の
一つにすぎないとする「インフレーション多宇宙」
その間に、現在有力な「ひも理論への道」に至った説明をはさんで、
③ひも/M理論を前提に私たちは「三次元ブレーン(膜)」という
他に可能性ある宇宙の中でも高次元の場所にいるらしいとされる
「ブレーン多宇宙」
④上記「ブレーン宇宙」間での衝突をビッグバンのような始まりに
見立てて、時間的に並行した多宇宙を生み出したとされる「サイクリック多宇宙」
⑤ひも理論における「余剰次元」の様々な形態は、「インフレーション宇宙論」と
「ひも理論」を合体させることで、様々な泡のような宇宙を生み出したという
「ランドスケープ多宇宙」
これら5つの理論が紹介された後に、上巻の巻末の結論として、
「それでは科学とは一体全体何なのか?」という問いで、「下巻」へと
つなげられていきます。
それでは、概略も長くなりましたので本文に移行します。
「サイクリック多宇宙」仮説の魅力
まず、上巻では冒頭で「ひも理論」に至るまで有力とされてきた
「パッチワークキルト多宇宙」と「インフレーション多宇宙」が
紹介されています。
この本では、著者は数ある「多元宇宙論」の紹介に徹しておられ
著者自身の断定は避けておられるようです。
ただ、著者はアインシュタインが最期まで「安定した静止宇宙モデル」に
こだわっていたことに由来する「唯一の宇宙論」には疑問を呈してこられた
ことは間違いないようです。
一方で、アインシュタインにも敬意を表しながら
生涯悔いたとされる(旧・原?)「宇宙項(宇宙定数)」についての
見直しについても触れておられます。
そのことが、「ランドスケープ多宇宙」仮説のところで論じられています。
まとめますと、アインシュタイン(流)の「静止安定宇宙観」とその後の
量子力学的世界観の中でも反主流派の「多元解釈」を容認する「多元的宇宙観」
とのイメージ感(手触り感覚)の違いが大きく絡んでいそうです。
「量子力学をまともに信じる者には、量子力学を完全に理解した者はいない!!」
とも囁かれているらしく、専門の量子物理学者にもその「量子力学的世界観」には
違和感を持たれる方も多いようです。
詳細はこの本をお読み頂くとしまして、管理人が特に気に入った「多元宇宙論」が
「サイクリック多宇宙」仮説でした。
そもそも、従来のビッグバン仮説で導入されてきた「特異点」も、
アインシュタインの「一般相対性理論」を前提として出てきたようです。
宇宙の始まりは、「最大にして最小」という高温過密にして瞬間的スピードで
急激な膨張を始めた説明として提出されました。
もちろん、これは古典物理学のエネルギー論とも矛盾衝突が生じてきます。
「一般相対性理論」の限界を補ううえで、現代では「暗黒物質」や「暗黒エネルギー」が
それを説明してくれるのではないか、と研究中のようです。
また、「無から有が生じる」説明にも難しさが多く、
「今あるこの宇宙」の始まりとしてしか「ビッグバン仮説」は
説明していないようなので、その辺りからも
「サイクリック多宇宙」仮説には面白みを感じました。
科学が前提としてきたルールが崩れていく不安??
こうした「並行宇宙論」に多くの物理学者からも抵抗があるのは、
その世界観が、現代科学の大前提を崩してしまうおそれが
大いにあるからです。
これら一連の「並行宇宙論」も実験観測の結果として現れたものではありません。
「量子力学」には、「観測者問題」という難問も絶えずつきまとうそうで、
そのことも「多元解釈」に違和感を感じる原因とされているようですね。
いずれにせよ、この「多元宇宙論」には『どこまでの「実在感」があるのか?』が
大きなテーマとなっています。
言うまでもなく、現実世界の他でもないこの宇宙に存在する私たちにとっては、
それ以外の「宇宙(世界)」が見えないことにも原因があります。
「選択メニュー」が多くても、実際には「一つしか選択出来ない!!」
これも、量子力学でしばしば問題となりますが、ここに「大いなる謎」が
秘められているようですね。
それでも、「多元宇宙論に親しむ意味ってあるの?」
著者もこの問いを大切にされていますが、「選択前」の世界には「多元宇宙」が
畳み込まれているようなので、そこにも魅力があるようです。
ただし、「選択は1回限り、1つの世界にしか決定されません!!」が・・・
このように、「物理学の世界」ではどんどん現実離れしていっているようです。
監修者も解説されていますが、「現代物理学のSF化」だと・・・
何はともあれ、著者が解説してくれた「多元宇宙論」は大変面白い世界です。
皆さんも是非「現代宇宙物理学の最先端」を楽しんでみてはいかがでしょうか?
まだまだ「未知の世界」にあふれています!!
最後までお読み頂きありがとうございました。
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