木原直哉さんの「東大卒ポーカー王者が教える勝つための確率思考」限られた人生の貴重な時間を有意義に活用しよう!!

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「東大卒ポーカー王者が教える勝つための確率思考」

プロポーカー選手の木原直哉さんが、

人生の限られた貴重な時間を有効活用する思考法を

伝授してくれます。

21世紀になり、ますます社会が混迷していく中で、

「ランダム(確率・統計的)思考」と無縁な生き方は

もはや「無意味!!」になってきました。

つまり、「安定志向」を取り続けることの先には、

罠が待ち受けているということです。

今回は、この本をご紹介します。

「東大卒ポーカー王者が教える勝つための確率思考」     (木原直哉著、中経出版、2013年)

木原直哉さん(以下、著者)は、東大理学部卒業後、

世界選手権で日本人初のポーカー王者を獲得されています。

現在は、世界最大のオンラインポーカーサイト「ポーカースターズ」の

専属プレーヤーとしてご活躍中です。

著者については、前にも当ブログでご紹介させて頂いて

おりますので、そちらの記事もご一読下されば幸いです。

その時は、一般的な「論理的思考法」についてのテーマでしたが、

今回ご紹介させて頂く本書では、より具体的な「確率思考」について

触れられています。

さて、現代社会(いずれの時代にも当てはまりますが・・・)は、

絶えず目まぐるしく変動する経済環境にあります。

ことに、現代貨幣経済社会で、生計を立てながら、生存を確保し、

その「生存率」を高めていくためには、「確率思考」とは

無縁ではいられません。

「確率・統計思考」の基礎中の基礎は、初等義務教育における

「算数・数学教育」にて、皆さんも大変苦労されたと思われますが、

生活に役立つ知識・知恵としては、ほど遠い「仮想現実」だったようです。

少なくとも、管理人の体感では、そのように感じられました。

管理人が、学生だった頃は、たまたま数学の教師が「競馬好き」だったのか、

「単勝・複(連)勝」モデルを使って、生徒の興味関心を惹きつける工夫を

されていた記憶があります。

その知識は、確かに個人的にも役立ちました。

きちんと学ぶと、「学問」も遊びに役立つのですね(笑)。

どれほど、儲けさせてもろうたか分かりません。

一方で、失敗例も数多く経験していますので、

トータルでは、トントンか若干「負け気味!?」か・・・

やはり、人間は「勝った」時の快感の方が記憶に残りやすいようです。

なので、ギャンブルは、ほどほどにしておきましょうね。

とまぁ ~、教育的配慮もしておきながら、バーチャルゲームの世界だけでなく、

現実生活における勝負は、もっと厳しいことが立て続けに生起する世界です。

著者は、この原因を「不完全情報」の中で、なおかつ、数少ない経験しか

体験出来ない人間の限界的性格も踏まえて、本書で考察されています。

ある程度の確率思考が出来るなら、最終的には、ある程度の幅に収束していく

様子が、見て取れるはず・・・

著者は、理学部物理学科だったらしく、「量子物理学的確率思考」でもって、

表現されています。

かように、複雑な社会で生き抜くためには、何かと「確率思考」を

学んでおくことは便利なものです。

この本は、難しい「確率統計学」としての「学術的専門書」ではなく、

あくまで、著者の仕事を通じて得た体感から学び得た「ビジネス書」です。

ということで、あまり堅苦しくなく皆さんにとっても、楽しく読み進めながら

「確率思考」のエッセンスについて、有益な学びになるのではないかと

思いましたので、この本を取り上げさせて頂きました。

人生は、収束しないギャンブル!?

著者は、結論として、「人生とは収束しないギャンブル」だと

されています。

バーチャルゲームの世界と違い、「予行演習」も許されない「真剣勝負」が

要求される厳しい人生ゲームです。

「短い人生の中で、収束を体感して結論を出すような余裕はない!!」

現実世界における「人生ゲーム」とは、このような仕組み(ルール)に

なっているからです。

人生においても、ポーカーのようなゲームにおいても共通する要素は、

「不完全情報に基づく不完全競争ゲーム」だということです。

何も、人生をゲームに例える必然性はないのではないかと思われる方も

おられるでしょうが、厳しい人生の現実を正当化していかなくては、

とても耐えられない人間にとっては「意味付け=物語化」も避けられません。

そのことは、まったく「合理的な思考」だと考えていますので、

ここではそのことについて、これ以上は触れないでおきます。

とはいえ、物語(霞み)だけを食っては生きていけない生き物であるのも、

また人間の悲しい性です。

どのような経済社会で生きていくにせよ、ある程度の「危険性(不確実性)」は

どうしても伴ってしまいます。

そこで、その「危険性(不確実性)」をある程度コントロールする「術」が

必要になります。

その「道具」として、「確率思考」は役立つことになります。

そこで、著者は、上記の「収束」や「期待値」ないし「独立性」を

主なキーワードにしながら、様々な事例を取り上げながら解説されています。

まず、「収束」ですが、ある一定の確率分布の範囲内において、

一定量の試行錯誤を繰り返した結果、試行前に予想した確率に

終局的には収斂していくということです。

ただ、実際には、事前に「完全情報」が得られるような事例は、

数少ないために、予想外の結果に「一喜一憂」することになる訳です。

それが、「偶然」に見える訳ですが、著者の解説によると、

『「偶然」と思っていることも、実は偶然ではない』(本書34頁)

とのことです。

著者は、ゲームの事例で説明されていますが、同じゲームでも

ポーカーや麻雀のような「不完全(完備)情報ゲーム」における勝敗結果と

将棋や囲碁などの「完全情報ゲーム」における勝敗結果に対する「確率論」では、

大きく異なるといいます。

ポーカーなどの「不完全情報ゲーム」では、個々の努力やミスだけに左右されない

そうです。

「好運」「不運」も定期的なものなので、その時々における結果に「一喜一憂」した

ところで、あまり意味がないそうです。

それぞれの「賭け」も、個別結果は互いに「独立」しているため、前後の結果には

一切影響を及ぼさないといいます。

もっとも、「人生」の場合には、単純明快な「数学的思考」で、様々な場面を

簡単に切り抜けることが出来ないのが、難しいところですが・・・

ですから、「一期一会」そのつど毎の真剣勝負に徹するのが、合理的であり、

効率的な考えでもあるようです。

つまり、ポーカーや人生一般に当てはまる事象には、あまり深刻になりすぎることも

よくないということです。

これは、あくまで「不完全情報ゲーム」だからです。

一方で、将棋や囲碁の場合は、「完全情報」のため、また違った解釈もあるようです。

ところで、ここまで語っていて気付いたのですが、

最近「人工知能」と「人間」との競争が話題になったところです。

しかし、今まで考察してきたところ、このように「不完全情報ゲーム」と

「完全情報ゲーム」とではルールも大きく異なることから、

本当はそんなに不安になり過ぎる必要もないのかもしれません。

そもそも、人生そのものと「場面(条件)」が異なる訳ですから。

問題は、どのような「場面(条件)」で、人間の仕事と人工知能の仕事が

競合していくのか、その「対象範囲」を十二分に予測することが出来れば、

棲み分けもスムーズにいくだろうということです。

ただ、心配されるのは、このところ技術進歩が急激なために、

人工知能(機械)に代替される仕事も増加する一方に見受けられる点です。

ところで、このように考察してくると一見厳しい現実に感じられますが、

それはそれとして、人類はこれまでもあたらしい経済環境に適応してきたのも

事実です。

「人間は学習することの出来る生き物」

ですから、失敗を恐れずに「学習」を積み重ねることさえ厭わなければ、

チャンスはいつでも回ってくるということです。

では、「失敗をどの範囲に抑えるか??」ということが、

私たちにとっても、大切な視点となります。

それが、「期待値」の考えです。

「期待値」とは、あることを試行した結果、得られる数値の「平均値」です。

その「期待値」を上回るようにすればいいのです。

すなわち、「期待値」が少しでも上回る正しい努力をすることが、

少しでも「リスク」を減少させることにつながるのです。

ここで、「リスク」と「不確実」の話題が出てきたついでに、

解説しておきますと、「リスク=ある程度の予測可能性あり」に対して、

「不確実=まったく手に負えない予測不可能性」ということです。

2008年のいわゆるリーマン・ショックの問題点もここです。

サブプライム・ローンなどの金融派生商品(デリバティブ証券など)を

設計していた人間は、この「不確実」に「リスク」というまったく次元の

異なる数値を無理に当てはめようとしたところに、「大災厄」が発生しました。

しかも、その方程式設計者が、ノーベル賞受賞者だけに厄介です。

このことひとつ取ってみても、「もっともらしい」ことには要注意という

教訓が得られます。

著者も、「論理的思考」を重視はされていますが、現代論理学では

確率的な「もっともらしさ」という「近似値」までしか打ち出せないそうです。

つまり、「論理的思考=確率思考」といっても、完璧な思考法ではないのです。

このあたりも、一般にはあまり知られていないようなので、

知っておいて損のない知識かと思われます。

まとめますと、人生のような予測不可能性が高い事象では、

あまり深刻にならずに、考えたところでどうにもならないことについては、

考えすぎないように身を処していくのが、精神衛生上も身のためだと

いうことです。

失敗を恐れず、楽しく努力しながら挑戦しよう!!

著者は、この他にも「お金」との正しいつき合い方など、

興味深いテーマについて考察されています。

全編楽しく勉強になる論考ですので、詳しくは本書をお楽しみ下さいませ。

ところで、「努力すれば、必ずよい結果が出る!!」とする「努力根性主義」も

まだまだ一般社会では、根強い考えのようですが、これも「確率思考」を

学ばれた賢明な皆さんであれば、「断固として、否!!」ということも

理解されたと思います。

残念ながら、人間社会に限定するなら、冒頭でも触れましたように

「不完全情報」に満たされた社会です。

「世の中は、思うようにならない」という格言も、ある意味では

当然のことだったということになります。

そこで、リスクをなるべく減少させて失敗しない無難で手頃な生き方を

目指そうとする訳ですが、それで満足出来ないのも人間です。

面白いことに、人間は「安定志向」だけでも「不安定志向」だけでも

不安になる存在です。

ということは、人生にもともと繰り込まれている「安定」と「不安定」の

ゆらぎの中で、確率思考を活用しながら、もっと積極的に楽しめばいい訳です。

「人生は収束しないギャンブル」と語りましたが、最大のギャンブルは

言うまでもなく「生か死か」であります。

そのあたりも、著者は「生命のリスクマネジメント」のたとえで

解説されています。

「生命保険」も基本的には、つまるところ「お金」の問題だということです。

「生命の哲学的価値」ではなく、「数学的価値」のことですので、

誤解されませんようにお願いします。

ここでも、「確率思考」が出てくる訳です。

ということは、確率論的に考えると、生死は2分の1の確率範囲内に

終局的に「収束」していくのですから、その中での確率的リスクマネジメントを

考えながら、楽しく人生を過ごす方法を見つければよいということになります。

その範囲内で、「死」を感じさせるほどのスリルから「生」の充実という快感まで

あらゆる感覚の幅があるということです。

そこで、分かることは「お金」の役割は、せいぜい「人生の選択肢」を増やすだけ

ですので、他人との比較で「幸福量」を計るのではなく、自分にとっての

「最大幸福」を探求すればいいことになります。

ですから、自分の人生幸福度指数から判断して、「努力は楽しく正しい方向で

なすべきことをなすだけで十分すぎるくらいお釣りが来る!!」ということを

自覚する姿勢が大切になってきます。

「人事を尽くして天命を待つ!!」

著者もこの言葉が、もっとも好きなようですが、最終的にはこの言葉に

人生は集約されるようです。

私たちは、ついつい人生における手段と目的を混同してしまいます。

そのため、人生の優先順位をしばしばミスして、後悔してしまいます。

では、どうすれば不安を最小限に抑えることが出来るのか?

著者にも、独自の視点があるようですが、

原則的には「死からの逆算思考」だということでしょう。

それが、「今、ここに」を充実させることにつながります。

まとめますと、人生のその場その時の判断で「一喜一憂」したところで、

あまり意味がないということです。

自分にとってのベストが、尽くせていると自負出来るのであれば、

「失敗は誤差の範囲」です。

こうして本書を読み進めてきて学ばせて頂いたことは、

「人間はそれぞれ選択肢が限定されているからこそ、多様な生き方が

あり得るのだ」という、あまりにも当たり前に見える「逆説」でした。

ですから、広い世界を見渡して、確率的に観察すればチャンスは公平。

しかし、そのチャンスをつかむあり方は、「人それぞれ」だということです。

つまり、他人の価値観(外野の声など)に振り回されずに、自分の価値基準を

しっかりと持つことさえ出来れば、ブレることなどあるはずがないということです。

最後に、著者も語られていますように、

『最大のリスクは「好きな気持ち」をなくすこと』(本書128頁)

ということを自覚しながら生き抜くことや、

『勝負を降りることで得られる「勝負」もある』(本書148頁)

ということを念頭に行動することも、時には大切だということです。

皆さんも、本書はプロポーカー王者による「賢者の宝石箱」ですので、

「確率思考」に苦手意識のある方でも気軽に楽しみながら、

ご一読されることをお薦めします。

なお、「確率統計学」を実践的に仕事で活用したい方には、

「統計学が最強の学問である」

(西内啓著、ダイヤモンド社、2014年第15刷)

「統計学が最強の学問である<実践編>」

(同上、2014年第2刷)

※さしあたっては、この2冊がわかりやすい好著でしたので、

ご紹介しておきます。

管理人も、よく参考にさせて頂いている「一押し」の書籍です。

こちらは、本書とは異なり、本格的な「ビジネス専門書」でも

ありますので、まずは本書で「確率思考」のイメージ図を

頭の中に作られてから、読み進められることをお薦めします。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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