希望に満ちた世界を実現させるために!!ドミニク・モイジの「感情」の地政学を学ぼう!!

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ドミニク・モイジの「感情の地政学」

地政学といえば、国際関係論に必須の学問です。

20世紀から現在に至るまで、この「地政学」は

支配者層によって悪用されてきました。

そのため、極めてイメージの悪い学問です。

そんな評判の悪い「地政学」に新たな視点を

取り入れたのが、今回ご紹介させて頂くこの本です。

世界に再び希望を取り戻すためには、「感情」と

向き合う勇気こそ必要とされます。

「恐怖・屈辱・希望の3つの感情」を分析しながら、

皆さんとともに考えていきたいと思います。

『「感情」の地政学~恐怖・屈辱・希望はいかにして世界を創り変えるか~』(ドミニク・モイジ著、櫻井祐子訳、早川書房、2010年)

ドミニク・モイジ(以下、著者)は、ヨーロッパを代表する国際政治学者です。

フランス生まれで、フランス国際関係研究所共同創設者・上席顧問でもあります。

学派は、レイモン・アロンの弟子と語っておられます。

現在は、各国の大学やメディアにおいて国際関係の論客として

ご活躍中とのことです。

人々は、20世紀の教訓から21世紀に「希望の光」を見つめていました。

ところが、21世紀の開幕とともに米国で大変悲しい事件が起こりました。

あれから、今年で15年が経ちます。

それでも、前世紀から今世紀に持ち越した「負のエネルギー」は

やむことはありません。

そこで、目下世界中の注目を集めているフランスの代表論客は

「世界をどのように分析しているのか?」

そのことを知っておくことは、2016年以降の世界情勢を占ううえでも

役に立つことでしょう。

「地政学」といえば、外交官を始め国際関係に携わる「エリート層」にしか

関係ない学問だとされてきました。

しかし、民主主義の時代においては「無知は許されません!!」

著者も、地政学の知見を民間人が積極的に活用することを提唱されています。

そもそも「地政学」とは、各国の地理的位置関係から政治・国際関係の

理想型を考察する学問です。

しかし、20世紀の教訓が示しているように

しばしば、各国の「国防戦術・戦略思想」の一環として悪用もされてきました。

その反動からか、最近の「地政学」は「客観的・抽象的=当たり障りのない」

ような一見無害な定量分析理論に基づいて構築されているそうです。

この分析手法では、安心を与える反面で

重要な問題には、まったく触れられないという難点もあるようです。

主観的判断が極度に抑えられているために、厳しい現実の国際情勢を

正確に描写できないという嫌いもあるようです。

そうした当世「地政学」事情に対して、著者は大胆にも「感情」を

考慮した「感情の地政学理論」を提示していきます。

すなわち、「恐怖・屈辱・希望」という3つの感情パターンで

各国の事情を分析していこうとされています。

これから、世界はどう動いていくのでしょうか?

「楽観的な未来か?」

それとも、

「悲観的な未来か?」

いずれにしろ、明るい未来に向けて進んでいくためには

「感情」ときちんと真正面から向き合う必要があります。

そうした意味で、本年も残すところわずか・・・

2016年以降、世界に再び調和が戻っていくことを願って

この本を取り上げさせて頂きました。

「文明の衝突」ではなく、「感情の衝突」だ!!

著者は、現在の国際情勢を「感情の衝突」だとされています。

かつて提唱された、

過度に「楽観的」なフランシス・フクヤマの「歴史の終わり」

過度に「悲観的」なサミュエル・ハンティントンの「文明の衝突」

に対して、著者はどちらにも偏らない見方を提示されます。

「感情」を「地政学」に取り入れると、かえって「不協和音」が

増すのではないかと思われますが、現状分析を行うには欠かせない視点

でもあります。

著者は、大胆にも現在の各国事情を「3つの感情」で切り取っていきます。

「恐れの文化」にあるヨーロッパとアメリカ。

「屈辱の文化」の下に忍従を強いられるアラブ・イスラム圏。

「希望の文化」を謳歌しつつある中国・インドなどのアジア諸国。

その他「例外(この3つの感情を混合)の文化」にある

ロシア・イラン・イスラエル・アフリカ諸国、ラテンアメリカ諸国。

というように・・・

ちなみに、現在の日本は、「アジアの例外=恐れの文化圏」だと。

21世紀に入り、ますます「グローバル化」の進む一方で、

各国間で激しい「アイデンティティーの危機」が生じています。

「多様性と寛容性に基づく理想社会」を本音では共有しつつも、

こうした「不安定な感情の揺れ動き」から、

なかなか「協調対話路線」が採れないようです。

永遠平和のために・・・

カントが唱えた「永遠平和のために」が、

原型となり現在の「国際連合・国際協調思想」が

構築されてきたことは知られています。

しかし、実際には「力の前には無力」であり、

世界は未だに「分権国家・古典的な勢力均衡型社会」の

ただ中にあります。

こうした時代において、いかにして世界を再び融和の方向へと

立ち戻らせることが出来るのか?

その鍵を握るのが、「日本とトルコ」にあるようです。

著者は、具体的にこの二国を明示されている訳ではありませんが、

歴史的にこの二国は「西洋と東洋のつなぎ場」であり、それぞれ

紆余曲折はあっても「近代化路線」を一応成功させてきたからです。

ただ、トルコについてはイスラムの世俗化路線を進めながらも

ヨーロッパ社会への本格加入が拒絶されている点にも難題を抱えています。

一方で、厳しい欧米社会によるアラブ圏への「安全保障の基地」を提供

させられたりと複雑な様相を呈しているのは、日本の立場に似ているようです。

それが、近年の「移民・難民問題」にも現れているようです。

私たちの日本の場合も、アジアとの間で相互に「近代化路線」を巡っての

複雑なコンプレックスを先の大戦などで抱えてしまったことから

依然として「相互不信感」により苦しめられています。

著者は、結局は「相互に引き裂かれたアイデンティティーの危機」に

基づく「奪われた自尊心(自信)の回復」をいかにして取り戻していくか?

未来はかかっていると語っています。

そのためには、相互の文化を十二分に理解し「正しい知識」を身につけていく

必要があります。

著者は、この本の最後で「2025年の世界」として

「楽観的なシミュレーション」と「悲観的なシミュレーション」を

仮想されていますが、

現実にはどのような未来が来るのか?

いずれにせよ、「楽観主義と悲劇性の感覚の両方が必要」だと語っています。

個人と集団の心理を直接結びつけて理解することには、無理もありますが、

あえて類推させて頂くと「自己確認作業」が双方に要求されるということです。

「不安やおそれ」に真正面と向き合う。

私たちは、「原因不明な影」に対して本能的に恐れてしまうようです。

ですから、まずは「漠然とした感情」を分析して明確にする作業から

「世界の再生」へと向けて歩んでいきましょう。

「現実を理想に近づけていくのか?」

「理想を現実に修正させていくのか?」

古くからの「世界観の対立」ですが、いずれにせよ急がないことです。

結果を焦る気持ちが、「不安定な感情」を呼び覚ます原因の一つでもあるからです。

「多様性と寛容性」・・・

言葉で表現するのは簡単ですが、現実的にはなかなか厳しい・・・

それでも、私たちは互いに尊重しながら生き抜くしかありません。

良きにしろ、悪きにしろ「相互干渉のバランス」が大切だということです。

「互いの文化・感情を尊重しつつ、相互に共通の規範を意識すること!!」

ここに「未来を明るくする鍵」があるようです。

皆さんの「心の平和」を祈りつつ、愛を込めて・・・

なお、宗教とイスラム教に関する好著として、

「日本人のための宗教原論~あなたを宗教はどう助けてくれるのか~」

(小室直樹著、徳間書店、2000年)

「日本人のためのイスラム原論」

(小室直樹著、集英社インターナショナル、2002年)

また、日本とトルコの友好関係に関する映画「海難1890」

をご紹介しておきます。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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