和田秀樹先生の『<自己愛>の構造~「他者」を失った若者たち~』日本人に合った共感に基づくコフート心理学!!

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『<自己愛>の構造~「他者」を失った若者たち~』

本業が精神科医で、受験生にも人気のある和田秀樹先生が、

日本人にも合った心理学を提唱されています。

コフート心理学・・・

日本では、最近アドラー心理学など「個人心理学」に

注目が集まっているようですが、今回ご紹介していく

コフート心理学も共感型自己心理学です。

日本ではあまり有名な心理学者ではありませんが、

和田秀樹先生いわく「日本人に合った個人心理学」だそうです。

今回は、この本をご紹介します。

『<自己愛>の構造~「他者」を失った若者たち~』     (和田秀樹著、講談社選書メチエ、1999年)

和田秀樹先生(以下、著者)は、本業が精神科医にして

多くの受験生にも人気のある方です。

管理人も、すでに当ブログでもご紹介させて頂いたように

学生時代から大変お世話になり、社会に出てからも

特に「心理学」関連の著作にてお世話になっています。

学生時代に、受験勉強で神経をすり減らしていた時に

精神科医でもある和田秀樹先生の「心理学的知恵」にて

「シゾフレ(スキゾ)人間とメランコリー人間」という

大まかな区別があることも知りました。

現代社会は、絶えず「他者」からの承認欲求が必要とされる時代で、

フロイトらが想定していた時代における人間像とは大幅に異なって

きているのではないかと・・・

そのため、従来の心理学や精神分析手法も変化せざるを得ない時代

状況になってきていると・・・

確かそんな感じだったかと記憶しています。

社会に出て、初めて深刻な「うつ」を経験した際に

再び和田秀樹先生の著作に触れるきっかけが出来ました。

管理人は、学生時代からどちらかというと今もですが、

「メランコリー人間(躁鬱型)」に属しているとは、

薄々感づいてはいました。

「罪責型」なんですね。

他者や世間に対する承認欲求よりも、自分自身の努力の足りなさや

不甲斐なさなど、「負い目」や「憂い」を感じることの方が多かった

のです。

特に、厳しい家族だとか学生時代だとかを経験した訳ではないのですが、

なぜか、「憂鬱気質(神経症・不安症)」といった一種の過敏症なのです。

両親や友人知人に相談しても、「気のせい、気のせい・・・」だけで

あまり不安が解消されずにいたのです。

昔から、内向型のタイプなのか自力で様々な本を調べたりして

「自己治療法」の工夫をしていたのです。

そんな時に、和田秀樹先生や森田療法を知り、

自分なりの「処方箋」を考案したりしていたのですが、

ある日はたと気付いたのが、

「もっと甘えていいんだ!!」ということでした。

社会に出てからも、同じように「うつ」で苦しんでいる方と話す

機会があったのですが、ほとんどの方が生真面目で親切すぎるのですね。

その時にも「うまく甘える工夫の重要性」が話題になりました。

そのため、自分は「シゾフレ(スキゾ)人間」ではないと思い込んでいたので、

あまりコフート心理学を学ぶ機会もなく、最近まで過ごしてきたのです。

そして、今回あらためてコフート心理学に触れてみると、

「自分の無知」に恥じ入ったという訳です。

なんと、「メランコリー人間」にとっても有益な知見ではないかと・・・

ですから、今回同じような悩みを抱えておられる

「メランコリー(躁鬱型)人間」の方のためにも

少しでもお役に立てればいいなぁ~と思い、

この本を取り上げさせて頂きました。

コフート心理学は、共感を重視する「自己心理学」

コフートは、フロイト心理学に学びつつも、

精神分析治療を積み重ねていく過程で、やがて患者の気質が

フロイトが想定していた人間像と大きく違っていることに

気付いていきます。

「メランコリー(躁鬱型)」気質よりも「自己愛」にとらわれた

「他者承認欲求不満型」気質の患者の方が増えてきているようだと・・・

そのため、従来のフロイト派精神分析手法では治療出来ないケースも

多く出現してきたことから、独自の「自己愛心理学」を構築していきました。

現代は、自らの演出が絶えず要求される「相互承認型社会」になっています。

そのため、特に「自己演出能力に苦手意識ある」日本人にとっては、

しんどい社会環境になってきているようです。

自己責任の下で、自立していかなくては生きていけなくなった社会では、

「甘え」も許される環境ではないようです。

そのために、誰にも相談出来ずに「無縁化・孤立化」する方々も

多く放置されてきました。

このような時代には、「安全地帯」となってくれる人間も少なくなるためか、

不安に絶えずさらされ続けることになります。

加えて、戦後の「核家族化」や「少子高齢化」、「夫婦共働き世代の増加」などで

子ども達にとっても由々しい教育環境にならざるを得ません。

昔の日本人は、「父親の厳格さ(智慧・勇気)」と「母親の優しさ(慈悲・賢慮)」

によってバランスの取れた「安全地帯」が一応用意されていたようです。

もちろん、例外もありますが・・・

ところが、戦後は「父親の不在」とともに、近年では「母親まで不在」に

なりつつある社会環境に激変してきました。

こうした「甘えの許されない」社会環境の中で、

いかに精神を安定させていくかが、

老若男女問わず最重要課題となってきています。

「人は、決して一人だけで生きていけない!!」

「完全に一人だけで自立することなど出来ない!!」

この考えを大前提に据えた「自己心理学」を考案したのが、

コフートでした。

複雑なコフート心理学の解説は、この本に譲らせて頂きますが、

要約すると、電極のように「双極性自己」という仮説を立てて

人間は、「野心という+極」と「理想という-極」の双方の

バランスを取りながら、「野心によって駆り立てられ、理想によって

導かれるもの」だとする「自己イメージ」を土台にして出来た心理学です。

それぞれダメージを受けた「極」のエネルギーを満たしてやるように

例えば、母親が野心を満たす鏡像になり、父親が理想を与える理想像に

なるなどして、互いに「安全基地」を提供する役割が想定されています。

また、自分によく似た性質を持つ第三者である「他者」に、

自分の才能と技能の中間領域である「居場所=安全基地」になってもらう

「双子像」などの役割を想定した心理学モデルになっています。

まとめますと、コフート心理学は「他者の承認・共感」を得ながら「自己愛を

満たしつつ安全を得ていく」体系になっているようです。

「他者の承認欲求」が得られない過酷な現代社会!!

ところが、現代社会の問題点は、

「父親・母親不在」おまけに「他者も不在」に

なってしまっている現状にあることです。

そのため、コフート心理学が想定する「それぞれの電極=安全基地」が

必ずしも満たされる環境にないことです。

このため、身近な人間に「共感者」が得られないために、

現代人は絶えず不安やおそれを抱え、「自己愛の満たされない自己愛憤怒」を

社会の至る所で噴出させてしまう環境を創出しているようです。

それが、現代社会の不穏な動きの背景事情のようです。

ユングの言葉を借りれば、社会への「影の投影」でしょうか・・・

「分裂してしまった自己愛」をいかに満たしてやるか?

著者は、コフート心理学における「共感理論」と「甘えの構造」で

有名になった土居健郎氏の「甘えの理論」の融合化を提唱しておられます。

「シゾフレ(スキゾ)人間」にせよ、「メランコリー人間」であれ、

いずれにせよ、良質な「共感と甘え」が許される社会こそが

速やかに要請されていることは間違いないようですね。

なかなか、現状は厳しい状況ですが、お互いに「安全基地」を

提供出来るような「寛容な人間」になれたらいいですね。

最後にまとめますと、コフート心理学で救われた言葉は、

「100%自立する必要など必ずしもないのだ!!」ということでした。

とはいえ、出来るだけ周りに迷惑をかけないように「自立せなあかんなぁ~」と

「メランコリー人間君」が、管理人の心の内で囁いているのですが・・・

この本は、一応「新書形式」の「一般教養書」ですが、専門用語も多くて

一読した限りでは、なかなかうまく理解できないかもしれません。

その場合は、理解出来る範囲のみで構わないと思いますので、

適宜「飛ばし読み」されることをお薦めします。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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