三浦俊彦さんの「天才児のための論理思考入門」こどもの質問攻めに困り果てている親御さんは必読です!!

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「天才児のための論理思考入門」

三島賞や芥川賞候補でも話題になった

小説家にして、哲学者・美学者の三浦俊彦さんが、

こどもの質問攻めに閉口されておられる世の親御さんの

ために、アドバイスしてくれています。

「天才児のための・・・」ともあるように、

十二分な理解力を兼ね備えたこどもでも

読みやすい「わかりやすい文体」で書かれています。

大人のための、「思考実験」としても軽い読み物として

楽しめる内容です。

今回は、この本をご紹介します。

「天才児のための論理思考入門」              (三浦俊彦著、河出書房新社、2015年)

三浦俊彦さん(以下、著者)は、哲学者・美学者として、

これまでも独特な「論理学入門書」を手がけてこられました。

1995年には、小説家としても三島由紀夫賞候補や

芥川龍之介賞候補作家として話題になったようです。

「論理学」と言えば、管理人も含めて一般人の方にとっては、

難しくて馴染みにくいイメージがあるかと思われます。

とはいえ、「言語」を駆使しながら生きていかざるを得ない

人間にとっては、「論理」と無縁ではありません。

つまり、人間は生きている限り誰しも「論理」を使用しているのです。

問題は、「論理」をうまく使いこなせているかですが、

この点は、管理人も含めて心許なく感じておられる方が大半では

ないでしょうか?

「論理」を仕事として扱う方でさえ、なかなか「厄介な存在」であるようです。

この本は、あくまで「こども」からの「質問攻め」に対して、

「おとな」が面倒くさく受け流したりせずに、真正面から真摯に

答えようとするための知恵を提供してくれます。

また、かなり好奇心が旺盛で「大人顔負け」のこどもにとっても、

最先端の学問・社会事情を反映した「論理問題」を考える素材としても

読みやすく工夫された文体で書かれたテキストです。

おとなの皆さんであっても、こども教育とは切り離して、単独で

仕事のための「ブレインストーミング(思考実験)」の教材としても

使える好著です。

そこで、「論理」に苦手意識がある方も、得意で面白みを感じる方でも

満足して頂けるであろう「論理入門書」として、取り上げさせて頂きます。

「論理」って、本当に難しいのかなぁ~

さて、その「論理」ですが、管理人も含めて大方の人間にとっては、

数字(式)や文字といった「記号」を多用した複雑で

一見しただけでは理解しづらい「代物」だとイメージされていることでしょう。

「見るだけで嫌になるわ~」

その気持ちは、よ~くわかるつもりです。

ところで、「論理」って何でしょうか?

「ある物事を筋道立てて合理的に誰にでも分かるような形で

明確に証明しながら論じ立てること」

抽象的には、そのようですが、

「もうちょっと具体的に説明してくれないか?」と聞かれれば、

皆さんなら、どのようにお答えになるでしょうか?

「一定の条件や言葉の定義やルールを限定させて、その枠内で

一定の正しい結論を導き出す考え方の手順」というのが、

おそらく「模範的な回答例」であろうかと思います。

ただし、私たちは正確な仕事上の要請などがある時以外は、

普段は「初歩的な論理ミス」にもあまり気付かずに見過ごしているようです。

それでも、日常生活のうえで「大きな支障」を来さない限りは、

大目に見ても、別段命に別状はありません。

(大袈裟な表現ですが・・・)

ほとんどが、人生のこれまでの経験から学習してきた知識や知恵を

活用しながら類推して判断を下すのが、日常生活における「論理的思考」ですね。

そのように、絶えず「仮説思考」をしながら毎日を過ごしているのが

現状です。

推論思考は、生きていくために必要な知恵

それでも、人間は生きていくために、「一定程度の推論思考」は

必要となってきます。

というよりも、人類は「言葉という道具」を持つ以前から、

生き抜くための「条件反射」として組み込まれていたようです。

ですので、「論理思考(パターン認識)」は、先天的なプログラムだった

のかもしれません。

それがなくては、人類が生存していくために必要な「食料獲得」や

他の生物などから「身を守ること」もままならなかったことでしょう。

そうした、生きるための手段が、やがて言葉や数字といった記号道具の

発見(発明)とともに高度に抽象化して進化していきます。

それが、現代社会でもあらゆる分野で活用されている「数学的思考」や

「科学的思考」の原点でもありました。

人類史は、宇宙史や地球史から見ても「驚異的なスピード」で

進化してきたようです。

それも、人類が高度な「論理的操作能力」を獲得し、時代とともに

常に洗練させてきたからに他なりません。

このように、「論理」には、「長所と短所」があります。

著者の問題意識は、冒頭でも語りましたように、

あくまで「天才児のための論理思考入門」ということもあって、

いかにも大人顔負けの高度に知的好奇心が発達した「こどもからの

質問攻めに対する大人向けのアドバイス」から始まっています。

この本をご一読されると一驚されるかと思いますが、こども向けにも

対応出来るような「わかりやすい文体」で書き進められていますが、

内容はかなり抽象的で高度なことに気付かれることでしょう。

管理人が、小学生なら「ダウン」してしまう内容です。

というよりも、管理人の幼少期よりも、これほど短期間で

時代は変化してきたのかと驚かされたのが、最初の読後感でした。

この本は、著者も<おわり>にで触れられていますが、「文系」でも

「理系」にも共通する「論理的思考入門書」です。

その意味で、「知的好奇心」がおありの方なら、どなたでも

楽しめる内容となっています。

この本を読むと、意外にも「説明することって、かなり難しい!!」ことに

否応なく気付かされます。

管理人も2歳から4歳の姪っ子に、現在「苦戦中!!」です。

この年頃のこどもの脳内進化って「すごすぎる!!」と会うたびに

驚く今日この頃です。

読者の皆さんにとっても、「こどもの質問攻め」で苦戦し、

予想外に悩まされている方もおられるでしょう。

そんな方にこそ、お薦めの1冊です。

著者も<はじめ>にで強調されているように、

「質問に対して必ず最良の答えを探すべし」というルールを

おとなが実践してみせることが重要だということです。

「こどもの真正直な問いをはぐらかさずに、真摯に誠実に

答えるクセを身をもって示す」ことは、大人にとっても

「思考力トレーニング」になりますし、「人間としての耐久力アップ」

にもつながることでしょう。

わずか180頁ほどの「入門書」ですが、密度の非常に濃い内容で

詰まっている好著です。

子ども向けの学習用プレゼントとしても最適です。

内容としては、子どもの知的レベルにもよりますが、

およそ「10歳から12歳」くらいの小学校高学年から

中学生あたりが目安ではないでしょうか?

皆さんも是非この本をご一読下されば幸いです。

なお、著者はテレビドラマ「エジソンの母」(TBS金曜ドラマ、

2008年1月11日から3月14日にて放映済み)の番組内容の

「監修者」としても参加されたそうで、小説家としても

ますますこれから目を離せない方のようですね。

そうした「逸材」として、皆さんにも著者を応援して頂ければ

管理人としても、「書評家冥利」に尽きます。

なお、著者の別著として、

「可能世界の哲学~存在と自己を考える~」

(NHKブックス、1997年)

「論理学入門~推論のセンスとテクニックのために~」

(NHKブックス、2000年)

「多宇宙と輪廻転生~人間原理のパラドクス~」

(青土社、2007年)

「思考実験リアルゲーム~知的勝ち残りのために~」

(二見書房、2014年)

そして、「論理一般」については、いずれも

小室直樹博士の

「数学嫌いな人のための数学-数学原論」

(東洋経済新報社、2001年)

「論理の方法-社会科学のためのモデル」

(東洋経済新報社、2003年)

「数学を使わない数学の講義」

(ワック出版、2005年)

をご紹介しておきます。

※管理人が敬愛する現代の「天才民間学者」にして、

学生時代から私淑させて頂いている博士です。

閉塞状況にある現代社会に、必ずや「風穴」を開けて下さるでしょう。

現代教育には、まれに見る「愛情あふれる大先生」でした。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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