フランク・ウィルチェック博士の「物質のすべては光」私たちは、多層構造の中の「光源生命体」!?
「物質のすべては光」
2004年にノーベル物理学賞を
受賞されたフランク・ウィルチェック博士が、
難しい最先端物理学の世界を面白く解説して
下さっています。
現在、技術進歩のおかげで
今まで肉眼では把握出来なかった「素粒子」が続々と
検出中のようです。
やがては、「宇宙の誕生の瞬間」も再現出来るのか??
現実的には、諸々の制約もあり再現は難しいでしょうが、
「宇宙創生の謎」には、
多くの方が興味を寄せて見守られているようです。
今回は、この本をご紹介します。
「物質のすべては光~現代物理学が明かす、力と質量の起源~」(フランク・ウィルチェック著、吉田三知世訳、早川書房、2009年)
フランク・ウィルチェック博士(以下、著者)は、
1974年にプリンストン大学にて博士号を取得されます。
その後、それまでの研究である
「強い相互作用の理論における漸近的自由性の発見」により、
2004年に、デイヴィッド・グロス氏、デイヴィッド・ポリツァー氏
とともにノーベル物理学賞を受賞されます。
現在は、難しい最先端物理学を一般向けにも分かりやすく解説される
科学啓蒙活動をされているようです。
さて、今回ご紹介させて頂くこの本の大部分は、著者によると
「宇宙は不思議なところ」「世界を作るための数値レシピ」
「質量の起源と重力の弱さ」「エーテルは不滅である」と題した
数々の公開講演内容が基礎となっているとのことです。
最先端量子物理学の各専門分野は、あまりにも細かく分岐しているため、
門外漢の管理人には、うまくお伝え出来ないのが残念ですが、
現在は最後まで取り残された「重力理論」の詳細な研究とともに
「量子力学の大統一理論」へと向けて進化発展中とのことです。
ここで、「力学」と語りましたが、現在までに
自然界では、大きく分けて「4つの力」から成り立っていることが
解明されてきました。
①「電磁力(自然界における力の場として原子核と電子、
原子同士を結合させる電磁的相互作用)」
②「強い相互作用(原子核自体を崩壊させないように
核子同士をつなぎ止めている強い力)」
※著者の「漸近的自由性理論」は、この領域を扱っているようです。
③「弱い相互作用(中性子のベータ崩壊を引き起こす弱い力)」
※「中性子のベータ崩壊」とは、「中性子」が原子核「内」に
存在している間は安定しているが、核分裂などをきっかけにして
原子核「外」へ放出されると、約15分ほどで崩壊することを意味します。
この時、「陽子」「電子」「反ニュートリノ」が検出されると言います。
④「重力(質量をもった物質・エネルギー間に働く宇宙のマクロ
構造を支配していると考えられている力)」
です。
ちなみに、「質量」は「物質そのものの量」を表し、引力など重力の働きが
加わった「質量」が、「重さ」とされています。
これらの最低限の予備知識をふまえて本文に入っていきたいと思います。
「物質をさらに詳細に分析していくと、エネルギー(光)に行き着く!!」
もちろん、これからご紹介させて頂くのは、「ミクロな世界」ですが、
どうやら、その世界はマクロな「宇宙空間」にも拡がっているようです。
そうした世界を観察していくと、
人間(生命体)の住むこの地上(ミドルワールド)が、
何とも「不思議かつ絶妙な世界」であることも実感されていくことでしょう。
そうした「体感感覚を高めていくことこそ、地上に平和を甦らせていく
一歩一歩!!」なのですから・・・
この感覚を取り戻していくヒントを、皆さんとともに学びながら
体感していこうということで、この本を取り上げさせて頂きました。
なお、この本は「門外漢」にとっては、非常に理解するのに難点も伴いますが、
巻末に詳細な「専門用語解説」もありますので、折に触れてご参照されながら
読まれると少しは理解も進むかと思います。
宇宙とは、エネルギー(光)の連続多層構造体!?
著者は、この本の冒頭でジョーク混じりで、
有名な小説のタイトル「存在の耐えられない軽さ」をもじって、
原書の副題に「存在の軽さ(The Lightness of Being)」と付しておられます。
「軽さ(Lightness)」は、「光」をも意味します。
この「軽さ」に「重い」実感を込めていくことにより、
「存在のより確からしさ」に近づいていく道のりを
この本では、物理学の知見とともに示していきます。
人類は、ついにこれまでの
「物質的世界観から精神的(エネルギー・波動的)世界観」へ
向けての転換期を迎えつつあるようです。
20世紀初頭に始まった「反近代科学革命の烽火(のろしび)」は
量子力学と相対性理論で開幕されていきました。
ここで、管理人は「反近代科学」と語りましたが、
17世紀以降のニュートン的「古典的近代科学」からの転換を
意味させて頂いています。
特に、量子力学は「目に見えないミクロな世界」を扱うため、
近代哲学が営々と積み重ねてきた「認識や感覚の限界」の知見をも
補強する役割を果たしてきたことが重要です。
この本では、「力と質量の起源」にも詳細な解説があてられていますが、
21世紀現在もそれらの起源は「謎だらけ!!」のようですね。
2016年現在、「肉眼では確認出来ない」素粒子について
「大型ハドロン衝突型加速器」により相次いで観測されつつあります。
それらの観測や最近の日本人物理学者による発見から
「限りなくゼロに近い質量を持った物質(粒子)」についても
解明され始めています。
21世紀に入ってからは、頻繁に「科学的知識」が更新され続け
20世紀末に学んだ私たちの「科学的世界観」をも
大幅に更新させるような状況にあります。
「素粒子(原子ではなく・・・)は、まだまだ最小分割されていく??」
こうした一連の観測結果を眺めていると、
「物質もエネルギーが現象化されて出来た結晶体」とも思えてきます。
著者も、こうした問題意識から「仮説」を立てていきます。
相対性理論と量子力学に共通する重要テーマでもあり分岐点も、
この「質量感の違い」にあったようです。
「物質は質量あり」
「光は質量なし」
というそれまでの公式見解とともに、
「質量保存の法則」が常に成り立つわけでもない瞬間が訪れます。
アインシュタインの有名な公式
「エネルギーは、質量に光速の二乗を掛けたもの」です。
この公式が「物質とエネルギーは相互互換関係にある」
ことを証明したところから、「物質と光(エネルギー)の断絶」は
消滅していきました。
それでも、この「宇宙空間(時空構造)」が「連続体」なのか「離散体」
なのかを巡って議論がなされてきました。
この「連続体」なのか「離散体」なのかも「相対性理論」と「量子力学」
における大きな「世界観の違い」でもあったようです。
ミクロな世界では「離散体」でも、マクロな世界では「連続体」という
この矛盾点をどのように解決していくのか??
この点も、現在も多くの物理学者が取り組んでいる課題であります。
この本でも、「量子力学の大統一理論」が説明されていますが、
あくまで「ミクロな力学」です。
「相対性(マクロ)力学」との間に、どのように架橋するかは
今もって大きな困難に直面しているようです。
「量子力学」専門の物理学者は、「場の量子論」などで
何とか「正面突破」を図ろうとしているようですが・・・
そうした最先端物理学世界の状況下、著者が提案されているのが、
アインシュタインも、たびたびその導入をためらいながらも
認めなかった「エーテル」を現代風に復活させようではないかと
いう問題提起です。
現代の「エーテル」は、グリッド??
著者も「セールスポイント」と強調されているように、
物理学界の主流では一旦否定された「エーテルは不滅」だと
力強く宣言されています。
著者のこの本における力点は、「第8章 グリッド(エーテルは不滅だ)」
に置かれているようですね。
「物質のすべては光」という「仮説」に一歩一歩近づけていく過程で、
この「グリッド(私たちが空虚な空間として認識している実体)」という
考えは避けて通れないため、ここに詳細な解説が割かれています。
現在では、この宇宙空間には「完全な真空はない」とされているようです。
量子物理学では、「量子真空」という「粒子と反粒子が生成・消滅を
繰り返しながら常に量子的に揺らいでいる状態」とされています。
それらは、瞬間的にあたかも消滅したかに見えることから「謎の粒子」と
されていましたが、瞬間的に「零点エネルギー」を持つこともあり
「仮想粒子」という考えを取り入れながら論じられています。
プランクは、エネルギーの最小単位を「量子」と定義しましたが、
それが限りなく零点に近くなったものとしてイメージして頂ければよいかと
思われます。
こうして、「力(エネルギー)と粒子は相互互換可能な連続体」として
考えられるようになっていきましたが、ここに著者はさらに一歩進んで
「グリッド」という考えを組み込んでいきます。
「グリッドは、時空構造をなす一種の計量場にして持続的な物質的成分も持つ
宇宙にあまねく拡がる多層構造を持った多色の超伝導体である!!」
「グリッドには、質量があり、重力を生み出す要素も組み込まれている!!」
こうして、「物質とエネルギー(光)の連続多層構造体」のイメージが
出来上がってきました。
著者も「量子物理学者」ですが、偶然にもアインシュタインの上記方程式を
いじっていた際に、「質量をエネルギーに置き換えること」で、あらたな
「質量の起源に迫るヒント」を見つけ出したようです。
21世紀の現時点において、ようやく「相対性理論と量子力学の邂逅」に
ほのかな明かりが灯ってきたようですね。
「連続性(安定的実在感)」と「離散性(確率的実在感)」は、
あくまで「マクロ世界」と「ミクロ世界」における
「現象の断片を巡ってのイメージ像の違いでしかなかった」ようです。
「宇宙から見れば、私たちの認識構造はすべて誤差の範囲内!!」だと
いうことが見えてきた瞬間です。
「それなのに、なぜ私たちはごくごく些細な誤差の範囲内で対立するのか??」
私たちが、これからも真摯に向き合わなければならない課題もここにあるようです。
「物理的世界観」は、ほぼ「見通し」がつきつつあるようです。
しかし、「精神的世界観」には「多様な価値観」も反映されることから
「統一」は出来ないかもしれません。
ただ、著者も示唆されていますが「物質は情報から」という視点が
今後私たちに何らかのヒントを与えてくれるのではないかと予期されています。
それこそ、人類最大の発明道具「言葉」です。
このことで思い出されるのが、
聖書の一節
「神は光(エネルギー)とともにあり、始めに言葉(理性・物質)があった」
です。
もちろん、管理人の意訳ですが、ここにも大きな「暗号」が隠されていそうですね。
「天地創造」から人類と世界が分離されていった時代から、
再び私たちは「天地再創造」の時代へと移行しつつあるようですね。
それが、物理学者も戸惑う「意識(心)」です。
狭義の「情報」だけでは捕捉出来ない「意識(心)」ですが、
ここにも「質量の起源を問う鍵」がありそうです。
以上、縷々語ってきましたが、「力の秘密は奥が深い」ですね。
皆さんもこの本を読まれると、今までの「世界観」が大きく変えられていく
ことに気付かれることでしょう。
難しい1冊ですが、著者の「ワクワク・ドキドキ感」もひしひしと
伝わってきますので、是非皆さんにも
ご一読下さいますようお薦めさせて頂きます。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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[…] 詳細は、こちらの記事でも解説していますので、 […]
[…] こちらの記事①・記事②もご参考下さいませ。) […]