ジョン・W・モファット氏の「重力の再発見~アインシュタインの相対論を超えて」謎に満ちた重力を探究する試み!!

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「重力の再発見~アインシュタインの相対論を超えて~」

カナダの理論物理学者であるジョン・W・モファット博士が、

重力の謎に挑戦されています。

2016年は、アインシュタインの一般相対性理論発表から

ちょうど100年目です。

その節目の年に、つい先日「重力波」が観測されたところです。

ところが、その「重力」の全貌を解明するためには、

理論修正の余地があるそうです。

今回は、この本をご紹介します。

「重力の再発見~アインシュタインの相対論を超えて~」   (ジョン・W・モファット著、水谷淳訳、早川書房、2009年)

ジョン・W・モファット博士(以下、著者)は、カナダの理論物理学者で

重力理論をアインシュタイン一般相対性理論の限界を乗り越える形で

研究されてこられました。

いわゆる擬似科学ではなく、きちんとした科学的流儀を踏まえたうえで、

これまでの科学的常識から導かれた矛盾点につき、意欲的に取り組んで

こられました。

後にも本文で触れさせて頂きますが、現代物理学者がどのような立場であれ、

実験観測からは大きくかけ離れてきた現状を憂慮されておられ、物理学理論の構築に

関しても、もう一度誰にでも予測可能な形で再現され、後世の実験観察結果による

科学的検証に耐えうるような方向性に回帰すべきだとの強い持論をお持ちです。

著者は、アインシュタインの一般相対性理論から得られた実際の観測結果とのズレを

修正する独自の修正重力理論(以下、MOG理論)」を提唱されています。

最近の話題とも絡む「重力波」の存在は、アインシュタインの従来の見解を

補強するものなのか、それとも・・・

一般的には、アインシュタインの一般相対性理論から導かれた「重力理論」も

強力なものとして認識されていますが、著者の視点からは「盲点」も

数多くあるといいます。

特に、「宇宙創生論」における「特異点の謎」。

これは、「ブラックホール問題」とも絡んできますが、どの物理学者も

これまでの一般的な「重力理論」をもってしては、

なかなか解決してこれなかった難問だそうです。

これまでも当ブログでご紹介させて頂きましたロジャー・ペンローズ博士や

スティーヴン・ホーキング博士を始め、多くの宇宙物理学者を悩ませてきたと

いいます。

現代物理学でも、最後まで残された謎に満ち溢れた分野が、「重力理論」です。

宇宙秩序を成り立たせている力には、大小様々なものがありますが、

私たちの身の回りレベルでは、非常に弱い力であり目にも見えないために、

身近な存在であるにもかかわらず、なかなか姿を現してくれないのが「重力」です。

今回は、今月に観測されたという「重力波」の世界をもっと楽しく面白く

探究しながら、皆さんとともに「世界の謎」に迫っていきたいと考え、

この本を取り上げさせて頂きました。

本書を読み進めることで、「重力理論」の探究に限らず、私たちの常識をも

見直す知的思考法を学ぶことが出来ます。

本書にも、物理学の知識がない方にとっては、馴染みのない難しい専門用語も

多々出てきますが、本書の巻末には、詳細な注釈や用語解説もありますので、

安心して読み進めることが出来るように工夫されています。

本書をお読み頂く際の注意点としては、

①第1部で、重力発見の歴史と現状を確認されるとともに、

アインシュタインの一般相対性理論の概要と問題点を把握されること。

②第2部と第3部で、現代宇宙論と重力理論との関係を把握されること。

③第4部で、従来の重力理論に代替する理論の解説を把握されること。

そのうえで、④第4部第10章と第5部が、著者のMOG理論による考察

というような構成になっていますので、すでに「重力理論」をよくご存じの

理系の方は、いきなり④に進んで頂いてもよいと思われます。

一方で、管理人のような初学者の方には、第1部から読み進められることを

強くお薦めさせて頂きます。

そうでないと、必ずどこかで消化不良を起こしてしまいますので。

「学問は、一歩一歩の積み重ねが大切です!!」

それでも、物理学の門外漢の方にも、わかりやすく丁寧に何度も繰り返しながら

説明されていますので、最後まで根気よく読了された後には、

「現代宇宙論と重力理論の最前線」に到達することが出来るようになっています。

「重力波」の衝撃と「ブラックホール問題」

本書の第1部から第3部までは、主に重力理論のこれまでの歴史と

現代宇宙の最新観測データから見えてきた世界が詳細に解説されています。

ですので、そのあたりについては、関連する範囲で

以下解説させて頂きますので、あらかじめご了承願います。

さて、今月半ばにアメリカのフロリダ大学の研究チームが発表した

「重力波」の衝撃が、世界に配信されました。

「重力波のみならず、ブラックホールまで・・・」

日本でも、東大宇宙線研究所により岐阜県にある大型装置「かぐら」での

観測開始が、来月に予定されていただけに「衝撃」も強かったようです。

今回の発見は、アメリカでの大型観測装置「LIGO(ライゴ)」によるもので、

「重力波天文学」に大きな第一歩を踏み出した業績でした。

発表によると、ブラックホールの合体による衝撃から重力が波のように

伝わる「重力波」が検出されたといいます。

これまでも、ブラックホールについての観測はあったようですが、

人類史上「直接観測」は、今回が初めてだといいます。

このブラックホールの解明は、宇宙誕生論にもつながるために、

大変人類にとっては、興味関心の持たれる話題であります。

ところで、「重力とはどのようなものか?」と問われても、

日常生活では、重力の正体を肉眼では観測出来ないために、

教科書的な理解によるイメージ像しか持てないところです。

物理学では、この宇宙を支配する自然の力(働き)には、

これまでのところ、「4つの力」があるといいます。

詳細は、こちらの記事でも解説していますので、

ご一読下されば幸いです。

再度、簡潔にまとめておきますと、

①「電磁力(自然界における力の場として原子核と電子、

原子同士を結合させる電磁的相互作用)」

②「強い相互作用(原子核自体を崩壊させないように

核子同士をつなぎ止めている強い力)」

③「弱い相互作用(中性子のベータ崩壊を引き起こす弱い力)」

※「中性子のベータ崩壊」とは、「中性子」が原子核「内」に

存在している間は安定しているが、核分裂などをきっかけにして

原子核「外」へ放出されると、約15分ほどで崩壊することを意味します。

この時、「陽子」「電子」「反ニュートリノ」が検出されると言います。

「重力(質量をもった物質・エネルギー間に働く宇宙のマクロ

構造を支配していると考えられている力)」です。

今回、観測によって確認されたものは「重力波」ですので、

④の「力」の話になります。

さて、そのように肉眼では把握することも出来ず、観測ですら

滅多にお目に掛かれないという「重力(波)」の正体とは何でしょうか?

物理学者の間でも数多くの「謎解き」が行われている最中です。

つまり、誰もまだ「完全解明」には至っていないということです。

物理学にも、様々な分野がありますが、主に「技術」として実践的な活用法を

生み出すためには、「力学」の把握が必要なために、日常的にも「力学」を

中心として発展してきたようです。

17世紀の科学革命以来、私たちの先人は「力学」研究に勤しんできた訳ですが、

大きく分けてニュートンから「電磁気学」のマクスウェルマッハを経て

アインシュタインへと引き継がれてきました。

そのアインシュタインですが、今回の絡みでは主に「重力」を取り入れた

「一般相対性理論」に絞って、折に触れ解説していきます。

「アインシュタインの発見」については、前回の記事でも触れましたので、

詳細はそちらの方もご一読下さると幸いです。

1916年に発表された「一般相対性理論」。

今年で、ちょうど100年です。

今月観測された「重力波」も、もともとは、アインシュタインが

この「一般相対性理論」から予言していたものだといいます。

当時は、観測技術が理論に追いついていなかったために、

「予言」にしかすぎませんでしたが、やっと今回追いついたと

いうことになりそうです。

この100年間にも、その「重力」だけは「謎だらけ」でした。

今回は、アインシュタインと著者の「相対論的重力理論」が

テーマですので、「量子論」には触れませんが、この100年間で

物理学理論は「力学」を巡って、大量の研究成果が積み重なっていきました。

ただ一つ最後まで残された難関が、「重力理論」でした。

「相対論」「量子論」問わずに、全貌は解明仕切れていないのが現状です。

この100年間には、こうして様々な理論構築もなされてきたのですが、

すでに、現代物理学の最前線は「SF世界」のような哲学的物語にまで

達してしまったようです。

特に、最後まで残された「目に見えない力=重力」は、実測も難しいために、

(今後の観測技術次第でありますが・・・、それでも「瞬間的好運」にでも

出会わなければ、今回の「重力波」のように「定型的観測」は難しいようです。)

そのように実測が著しく困難なために、「数学的記述」を繰り返してきたのが、

最新物理学の現状だといいます。

また、単純に見える現象ほど、複雑な記述が必要のようです。

そうした中で、今回の「重力波」を予測した「一般相対性理論」ですが、

著者も語っていますように、将来の検証に十分に答えることの出来ない理論は、

「科学的ではない!!」と強調されておられます。

これから語っていきますが、アインシュタインの「相対論」には、

これまでも様々な批判もありました。

ところが、世に氾濫する大半の「異論」は、「お話にもならない擬似科学」だった

ようで、専門の学者ですら、これまでの実測データを重視した「科学的修正理論」は

あまり表には数多く出てこなかったといいます。

著者も本書で語っておられますが、皮肉にも20世紀物理学の趨勢は、

「相対論から量子論の流れ」へと数多くの物理学者が移行していきましたので、

あまり儲かりそうにない??「相対論」に関する理論物理学者は少なかったといいます。

著者は、そんな数少ないアインシュタインの薫陶も得た「相対論的理論物理学者」です。

著者のご経歴も、青年時代には「画家」を目指されていたなど大変ユニークで、

そのあたりも個人的に共感したのですが、

「数学」「物理学」などは、ほぼ独学で好奇心の赴くまま研究していた際に、

アインシュタインとの交流を持ったといいます。

アインシュタイン自身も、大変「正規教育」に苦労されただけに、

「類は友を呼ぶ」のたとえでしょうか、すこぶる共鳴しあったようです。

そのようなアインシュタインを敬愛されながらも、「一般相対性理論の限界」に

積極的に取り組んでこられただけに、本書は「大きな価値」があります。

ですから、今後アインシュタインの「相対論」を批評する良心的な学者ならば、

無視し得ない必読文献だと思われます。

さて、著者は本書でアインシュタインの「一般相対性理論の限界」について

解説されていくのですが、最大の難点が「特異点=ブラックホール問題」です。

一般相対性理論の方程式によると、どうしてもこの「難点」が出てきます。

これは、「宇宙創生論」にも大きく関連してくるだけに、「相対論」以外の

「量子」物理学者の理論構築にも多大な影響を与えてきました。

現在、「量子論」者は、超ひも理論M理論余剰次元といった難題を

抱え込んで、今ひとつ「決定打」を打ち出せない状況にあるようですが、

これも「特異点」をどのように処理すべきかに関わっています。

「特異点さえなくすことが出来れば・・・」

それは同時に、「ブラックホール問題の解消」でもあります。

著者の「修正重力理論(MOG理論)」の詳細は本書をご一読頂くとして、

著者によると、アインシュタインの「原重力理論=一般相対性理論」を

用いると、今回の「重力波」は偶然一致したからよいものの、それでも

まだ「実測的限界」があるようです。

その「重力波」すら、その中身は「ブラックボックス」です。

つまり、ようやく「夜明け」の一歩手前に近づいただけで、

「一般相対性理論」と実測された「重力波データ」との整合性の検証も、

これからが「本番」のようです。

先に触れた「重力波」以外の「実測的限界」とは??

それが、多くの観測者が探しても探してもなかなか見つからない

「ダークマター(暗黒物質)」、

「ダークエネルギー(真空エネルギー、宇宙定数)」のことです。

この物質やエネルギーも、観測されたとかされないとか、様々な現場検証が

待たれるところですが、未だに全貌は解明されていないようです。

著者や、その他の物理学者がたびたびよく話題にされるのが、

アインシュタインは、「現実よりも理論重視派??」だったのかという

古くからある問題です。

『どうやら、「宇宙定数」からが怪しいのでは??』とする根強い異見も

あるようです。

著者は、「一般相対性理論」に先立つ「特殊相対性理論」における

「光速度一定の法則」に対しても、異論をお持ちです。

著者は、「理論」物理学者ですが、あくまで科学者の原点にかえって、

「実測データ」を重視した堅固な「理論」構築を目指します。

「理論に合わせて事実を修正」するのではなく、

「事実に整合するように理論を修正」していくのが、科学的姿勢だと

いいます。

難しい「数学的解説」は、本書に委ねますが、著者によると、

現在構築中の「MOG理論」の最大の眼目は、現代観測された実測データから、

未だに観測されない「ダークマター」や「ダークエネルギー」にこだわらない

「重力理論」です。

それが、観測にかかる莫大なコスト削減のためにもなると

自負されておられるようです。

著者によると、アインシュタインが「一般相対性理論」を構築された当時にも

話題になっており、ついぞ発見されなかった「幻の惑星ヴァルカン」や

「エーテル」のような幽霊を放棄する時期にあるのではないかと問いかけています。

つまり、ニュートンからアインシュタイン革命に至ったように、

現在「相対論」は、著者のような研究者による「大革命(パラダイムシフト)」の

時期が到来しているのではないかと主張されています。

著者は、「重力理論」の簡素合理化も目指されています。

その結果、得られた著者独自の「現代宇宙論」とは??

「ブラックホールを排除しよう!!」

少なくとも、「ブラックホール」の定義もさることながら、

「ダークスター(限りなく闇に近い灰色の星)」として取り扱おう

とする考えであります。

そうすれば、ホーキング博士などが抱えていた「情報喪失パラドックス」も

容易に解消するのではないかと問題提起されています。

現在、「ブラックホール」の事象の地平内外を巡る実測データ集計中ですが、

「量子論」では、「量子もつれ仮説」などで説明しようと、

こちらも、実測が難しいだけに「理論検証中」の状態にあります。

理論的に説明は可能でも、実測できなけば、「科学の根幹」にも関わり、

ただでさえ「科学と擬似科学の接点」があやふやになってきているだけに、

実測抜きの力づくでの「理論的正面突破」にこだわる多くの物理学者にも

警鐘を鳴らしておられます。

MOG(修正重力)理論から「永遠の宇宙」論へ

著者独自の「重力理論」の果てにあるものは、

「特異点=ブラックホール抜きのある種の循環宇宙論」のようです。

「循環宇宙論」にも、多様な形態があるようですが、

著者は、あくまで熱力学の第2法則(エントロピーの法則)」を

崩さない「過去(秩序)から未来(無秩序)へと向かう循環宇宙論」です。

「特異点の存在しない宇宙の始まりはあるが、終わりはない」とするのが、

MOG宇宙論だといいます。

「宇宙は、無から有が生じたのではない!!」

このあたりも、「ビッグバン仮説」や「インフレーション仮説」を

持ち出さなくても、MOG(修正無重力)理論で解決されると

自負されておられます。

「宇宙創生論とは、つまるところ初期値処理問題」のようです。

著者は、「一般相対性理論」が暗黙の前提とする「特殊相対性理論」

に組み込まれた「光速度不変の法則」と「ローレンツ変換」を修正させた

「修正重力理論」を構築されました。

詳細は、本書にゆだねますが、「光速と重力波」の問題は、一応分離して

考察していく理論のようです。

「光よりも速いものはあるのか?」

これも、多様な見解があるようですが、現代に至るも未解明です。

著者は、「重力波」も含めて「場の理論(相対論的量子理論)」も

「量子論」者とは異なる観点から取り入れており、力に関しても、

冒頭に掲げた「4つの力」に加えて「第5の力(ファイオン場)」を

導入したあらたな「力学モデル」でもって理論構築されています。

いずれにせよ、現在観測されているデータと「従来型の重力理論」と

著者独自の「MOG(修正重力)理論」との根比べが、正直なところだそうです。

著者は、真摯で良心的な科学者の立場から、十分に実験観測データに

耐えうる普遍的「重力理論」を目指されています。

ということで、最後になりましたが、

本書は、「MOG(修正重力)理論」や「MOG宇宙論」だけでなく、

「科学者のあるべきイメージ像」を考えるうえでも、

大変貴重な論考となっていますので、

これから科学者を目指される若き皆さんにも是非ご一読をお薦めします。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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