ミチオ・カク博士の『2100年の科学ライフ』<ドラえもん>もびっくり仰天!!現代科学の最先端はここまで来ている!?

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『2100年の科学ライフ』

米国で活躍中の日系人物理学者ミチオ・カク博士が語る

最先端科学情報紹介を兼ねた<未来学>書です。

21世紀に入り、すでにインターネットや人工知能といった

情報革命の成果が私たちの日常生活に浸透しています。

とはいえ、現実の経済制度はこうした科学技術革命に

追いついていない現象も多発してきており、

人々の間で不安感も高まってきています。

今回は、この本をご紹介します。

『2100年の科学ライフ』(ミチオ・カク著、斎藤隆央訳、NHK出版、2013年第4刷発行)

ミチオ・カク博士(以下、著者)は、米国で大活躍中の日系人物理学者です。

ご専門は、超弦(ひも)理論を主軸とした理論物理学であります。

超弦(ひも)理論と量子「場」理論を組み合わせた

いわゆる「ひもの場の理論」の開拓者の1人として知られています。

また米国メディア界では、サイエンス・チャンネルを通じた

一般向けの科学啓蒙教育者としても著名で人気があるようです。

日本での邦訳書も数多く出版されており、

非常に理解が困難な現代科学理論の最先端知見を様々なSF作品などを素材に

一般読者向けのイメージ喚起用に活用しながら解説される手際など

そのわかりやすい語りには定評もあり大人気があるようです。

一般読者向けの著書には、

『サイエンス・インポッシブル~SF世界は可能か~』

(斎藤隆央訳、NHK出版、2008年)など多数あり、

専門書としては、

『超弦理論とM理論』(太田信義訳、丸善出版、2012年)などが

出版されています。

さて、管理人と著者との出会いは、はるか10代の頃に遡ります。

管理人も子供の頃からSF作品などで紹介されていた

いわば「思考実験」や「空想科学」に多大な興味関心があったことで

前にもご紹介させて頂き本書でも紹介されている

アイザック・アシモフ博士などに導かれながら、

大学入試が終わり一区切りがついた頃に1冊の書物を手に取ったことが

きっかけであります。

その著書こそが、『新版  アインシュタインを超える~宇宙の

統一理論を求めて~』(ミチオ・カク/ジェニファー・トンプソン共著、

久志本克己訳、広瀬立成監修、講談社ブルーバックス、1997年第2刷)

ありました。

管理人は理数系分野には子供の頃から多大な興味関心がありながらも

いわゆる「受験」理数が大の苦手だったことから文系に進みましたが、

理数系学問に対する憧れは止みがたく、その熱い想いは今もなお

続いています。

とはいえ、学生時代の「受験」勉強への苦手意識から

十二分な精確な理解を積み重ねることもなく、現在まで至ってしまったがために

疑似科学などにしばしば騙されるなど悔しい思いも強く抱いてきました。

一方で、一見するとアニメ<ドラえもん>の世界に出てくるような

空想科学の着想にもこれまた心が惹かれてしまうようなところもあります。

こうした性格から、科学と疑似科学の<あいだ>には

常日頃から強い関心を抱いています。

また、この<あいだ>における飛躍問題には常に慎重でありたいとも

願っています。

まだまだ理数系分野の勉学が進んでおらず、時に誤解を与えかねない

解説になっていることもあろうかと思われます。

そんな時には、どうかご遠慮なく温かい心でご教示下さると、

管理人自身の勉学課題となり励みにもなりますので、有り難く思います。

そんな問題意識で量子論などを学び続けていますが、

あらためてこの量子論によって示唆された知見が

安易に人間の精神領域へも拡張転用されるなどして

世の中に疑似科学が横行している現状に警鐘を鳴らされている

著者にも出会いました。

皆さんにもご参考になるかと思われますので、

ここにご紹介しておきますね。

『犬でもわかる現代物理』

(チャド・オーゼル著、佐藤桂訳、早川書房、2010年)です。

この本の結論部で示唆されている

『悪魔のリスにご用心!!(上記のような安易な<人間>への拡張転用などの

世俗的現象=疑似科学を使用した詐欺商法の横行などのことを意味します。)』と

警告されておられる論考などは大変有益な知恵を提供してくれます。

このように当ブログの主題も文系と理系を架橋する<あいだ>を探究することに

ありますが、そんな志向性の中で力強い指南役になってくれている

先生のお一人に著者も含まれます。

読者の皆さんの中にも、このような志向性をお持ちの方は

かなり大多数潜在的におられるとお見受けします。

そんな騙されやすいおっちょこちょいな管理人を

学生時分に指導してくれた理系のアルバイト大学生の先輩が

お薦めしてくれたのが著者でありました。

「現代科学によって、どこまでが可能でどこまでが不可能か、

その見取り図くらいは将来、教養と責任ある大人を目指すのであれば、

知っておきなさい!!」ということで薦められたわけですが、

当時も今も「もっともらしい」トンデモ科学が横行しています。

そのようなトンデモ科学に十二分に警戒しながらも、

現代までに一応の信頼がおけると共通了解されている

科学的知見をある程度までは一般教養として理解していませんと

簡単に騙されてしまうことになります。

とともに、現代科学の最先端水準を知ることで、

近未来に向けた日々の経済生活設計にも直結してくることから、

良質な科学書には是非親しんでおきたいものです。

ということで、皆さんにも本書を通じて、

ともに科学(とりわけ物理学)から見た近未来学を学びながら

日々の生活に何らかのお役に立てればと思い、

今回は本書を取り上げさせて頂くことにしました。

迫り来る<人工知能>を始めとする技術革命を恐れすぎることもないだろう・・・(穴居人の原理)

それでは本書の内容構成に関する要約へと移らせて頂きますね。

本邦訳書の原書は、

『Physics of  the Future :How Science Will Shape Human Destiny

and Our Daily Lives by the Year 2100であり、

本書はその全訳であります。

本書で語られている題材の原型は、

著者によって過去様々な著名人(何と<世界屈指の科学者300人以上!!>)との

取材や対談などで交わされた議論内容だといいます。

(ちなみに、その一部は本書巻末謝辞部で紹介されています。)

この1冊で、世界中の賢者によって披露された知見と

そこから見えてきた未来予想図を著者による進行の下、

探検できるような類書は本邦でも珍しい部類に属しましょう。

その意味では、本書はまさに「贅沢な一品!!」であります。

本書における第1章~第7章までの項目立てでは、

それぞれ「近未来(現在から2030年まで)」、

「世紀の半ば(2030年から2070年まで)」、

「遠い未来(2070年から2100年まで)」の三区分に分節した形態で

現代までの科学技術による成果やこれから徐々に実現されていくだろう

段階的想定像によって詳細な解説がなされていきます。

著者は本書の狙いを次のようにまとめられています。

『本書の目的は、今世紀をどのように発展させていくかを決定するにあたり、

その議論を始める手助けをすることなのである。』(本書440頁)だと。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

①「はじめに-来る100年を予言する」

※まず、<はじめに>では著者の本書での狙いと

未来予想に対する科学者ならではの視点からする注意点

読者に呼びかけるところから語り始められています。

著者は、『本書はフィクションの作品ではない。ハリウッドの脚本家による

過激な想像力の副産物ではなく、今日、世界じゅうの主要な研究施設で

実践されているれっきとした科学にもとづいている。』(本書15頁)

自負されています。

著者もまず最初に『未来を予言することは難しいことだ』と断られていますが、

それはしばしば人間の思考力と行動力によって、

絶えず当初「想定内」とされていた未来における完成予想図が

同時並行的な試行錯誤によって「修正」を余儀なくされているからであります。

また、いかに科学技術が進化・発展しようとも、

これまでのところ人類はその技術を飼い慣らすことで

何とか制御しえてきたことも決して軽視することは出来ません。

このような人類史の展望から著者は、科学技術の成果に対して

極端に楽観的になることも悲観的になることも戒められています。

その根拠とは、本書全編の底流にある<穴居人の原理>であります。

<穴居人の原理>とは、簡潔に要約すれば、

現代人の思考・行動原理も、太古の原始時代からそれほど大きくは

外れて(変化して)いないという習性原理のことを指しています。

著者によれば、『問題は、現代のテクノロジーと原始的な祖先の

欲求との軋轢があるところでは必ず、原始の欲求が勝利を収めている

ことだ。それが「穴居人の原理」である。』(本書24頁)と・・・

本書における著者の未来素描の方法論については、

ジュール・ヴェルヌレオナルド・ダ・ヴィンチといった偉大な賢人が

独りよがりになることなく、自らの進歩的思考について様々な人々に

助言を求めたことや、その思考の軌跡が適切なものであるか否かを

絶えず「実験・検証」していたことに範を得たものだといいます。

こうした方法論を著者も未来予想への洞察力導出の過程として重要視されています。

ただ、彼らが生きていた時代に依拠されていた科学的知見には、

現代から見ればまだまだ「黎明期」にあるものが多数ありました。

そのあたりは、「錬金術」などの流行にも見受けられます。

とはいえ、「錬金術」思考そのものが、すべて意味のないものだったかといえば

そうではなく、このような文字通りの「試行錯誤」があったればこそ、

今日私たちが手にしているより確かな科学的洞察力を高めることに寄与しえたことも

決して忘れてはならないところでしょう。

さて、現代私たちが手にしている科学的知見は19世紀末期から20世紀半ばに至る

世界動乱の変革時期に築き上げられ、発見されてきたことが大半です。

その科学的原理の2大双璧が、「相対論」と「量子論」であります。

この2大原理の相互からの歩み寄りによって、

今後の「万物(大統一)理論」の完成へと向けられた努力が続けられているのが

目下の科学者の課題目標であります。

その「万物(大統一)理論」の素描を語ることは難しいことですが、

素人ながらに管理人が理解しえた範囲では、

いわゆる自然界に存在するとされる4つの力をいかに整合のつくものとして

説明・記述しえるか、そのうえで、その成果を人類がうまく使いこなすことが

出来るようになるかを通じて、新たな時代の開幕へとつなげることにあると

いうことであります。

<4つの力>とは、電(気)磁(気)力・重力・強い力・弱い力であります。

電磁力と重力は比較的一般に知られていますが(それでもまだまだ謎だらけですが・・・)、

強い力と弱い力はあまり知られていないようです。

これらは、原子(素粒子)内部における相互作用をそれぞれ機能させる

力に該当します。

要するに、ざっくばらんな荒っぽい表現にはなりますが、

現代物理学の本質とは、「力学」解析に最終的には収斂していくものだ

言えそうだということです。

(ちなみに、自然界に働く<4つの力>の素描解説については、

こちらの記事①記事②もご参考下さいませ。)

さて、そろそろ本書導入部のまとめに入りますが、

著者が自負される未来予想の困難さをある程度乗り越え、

「見通す」ことが可能だとされる理由を下記のように列挙されています。

Ⅰ『本書は、新発見の最前線にいるトップクラスの科学者300人以上への

インタビューのもとづいている。』

Ⅱ『本書で触れる科学的発展の内容はどれも、これまで知られている物理法則と

矛盾しない。』

Ⅲ『自然界の4つの力と基本法則はおおかた明らかにされており、この法則に

何か大きな変化は新たに見込めない。』

Ⅳ『本書で触れたすべてのテクノロジーのプロトタイプ(管理人注:先駆的事例のこと)

はすでに存在する。』

Ⅴ『本書は、最先端の研究と言えるテクノロジーをじかに目にしている

「インサイダー」によって著されている。』(本書19~20頁)ところにあると

主張されています。

ことにⅡについては、本書各章でも随所で精確な解説がなされており、

また著者の『サイエンス・インポッシブル~SF世界は可能か~』

(斎藤隆央訳、NHK出版、2008年)でも詳細な批判的考察もなされている

テーマだけに信頼のおけるものだと言えましょう。

ここが、いわゆるニセ(疑似)科学書との決定的相違点であります。

以上を本書を読み進められる際の注意点として宣言されたうえで、

いよいよ現代科学の精華から予想される未来予想図が各章にて

論じられていきます。

それぞれの論考は大変面白くて、あまり詳細な要約をし過ぎると

読者の皆さんのワクワク・ドキドキ感を奪ってしまうことになりかねませんので、

以下では、最小限に抑制しながら簡潔にまとめていこうと思います。

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②「第1章  コンピュータの未来-心が物を支配する」

③「第2章 人工知能の未来-機械の進歩」

※第1章と第2章では、20世紀末以来のインターネット文化に代表される

「IT(情報通信技術)」革命の恩恵を受けておられる皆さんにとっては、

特に興味関心ある論考だと思われます。

この章では、もはや最近の新聞紙面に出ない日がないといってよいほど

皆さんの目にも触れるようになったいわゆる「IoT(あらゆるモノ・コトを

インターネットにつなぐ)」が創造するであろう未来生活像について

あらゆる角度から検証されています。

特に、21世紀半ば頃までには、今までほとんど絶対(確実)視されてきた

ムーアの法則>が終焉を迎えるだろう予測やその後の<仮想現実>生活の

実像予想図については著者の「量子論」的物理観も現れ出ていて圧巻です。

とはいえ、いよいよこのような仮想と現実が交錯した<拡張>現実社会が

到来するとなれば、不安になることも多々出てくることも予想されるところです。

それが、「物(ビッグデータのようなコト=情報も含めて)が心を支配する」だけではなく、

今度は一転して「心が物を支配する」現実にいかに適応していくかも

人類の課題となります。

著者は「(相対論的)量子」物理学者の中では、

比較的「意識(心)」にも焦点を当てた探究や著書も数多い科学者ですが、

いわゆるニセ科学者とは異なり、

常に慎重な姿勢でこの領域に取り組んでこられました。

そんな著者のことですから、「意識(心)」が物を支配する果てに

人間が人間の心をあらかじめ「読み取る」ことが可能になっていく結末にも

その物の操作次第では人権侵害にもつながりかねない科学技術の悪用には

何らかの歯止めも必要不可欠になってくることも示唆されています。

第1章<心を読むことの倫理的問題>本書76~78頁

第2章では、著者なりの人工知能論が展開されています。

ここでは、先に触れさせて頂きましたアイザック・アシモフ氏の

採用した人間がロボットを制御する選択肢についても著者の観点から検討されています。

そこから最も有望なシナリオとして<フレンドリーな>人工知能に期待を

寄せられています。(本書135~138頁)

著者は日系人の方ですから、本書でもしばしば日本人への期待感に溢れた

メッセージを届けられていますが、

こうした科学技術の進展が戦争などの「人災」抑止にも活用されることに関しては

特に私たち日本人の役割には非常に大きな期待が世界中から寄せられていると言えましょう。

例えば、<無人>飛行機などによって、人命損害を極限まで制御抑止することが叶えば、

もはや人対人の争いも無意味化されていくことも予想されるところです。

ロボット対ロボットあるいはロボット対ヒトのようなSF的戦闘像も

想像されるところですが、現実世界ではおそらくこのような狂気じみた戦闘に

人類自身が意義を見出すかと問われれば、

管理人自身の希望的観測にしか過ぎないかもしれませんが、

人類がそのような選択肢を希望しないことだけは確かではないかと信じています。

まぁ、このあたりは「事実(現実)は小説(SF)よりも奇なり!!」ということも

ありますので過度な楽観論は戒めなければなりませんが、

ここに『世界最終戦論』(石原莞爾将軍)も想定していたような世界観の実現も

十二分に考えられるところです。

(もっとも、この著作は戦時体制下という時代制約下での論考ですので

限界も抱えていますが、むしろ、戦後の著作集に彼自身の本来の「革新性」・

「異端性」が発揮されています。)

つまり、究極の戦争(暴力)放棄社会の実現です。

とはいえ、著者も懸念されていますが、

『禁断の惑星』(本書84頁)を引き合いに論じられていますように

強力な機械が人間の「無意識」層にまで働きかけ、

人類の脳内に隠された闘争本能(欲求)にまでアクセスする(点火してしまう)と

人類絶滅にまで直結しかねないだけに

今すぐにも「人工知能(ロボット・機械)が人類をはるかに凌駕する」ことは

ないにせよ、このような人類と機械との力関係にまで高い想像力の翼を

伸ばしておくことも決して無意味なこととは思われません。

さらに、今後100年後内外には人間そのものが機械(サイボーグ)化することも

十二分に予想されますが、そのような未来には管理人も

「この世」にはすでに存在していませんので、

そのような未来における人間像を描くことは困難を窮めます。

とはいえ、次章以下で論考されていますように、

科学技術の飛躍的発展によって、今世紀中の比較的早い時期に

人類の「長寿化(万博テーマでも話題になっていますが・・・)」が

実現の目途がつけば、「夢物語」ということにもまいりませんから

今からでも早急にそれぞれの人生「哲学」を考え抜いておかなくてはならないでしょう。

いわゆる「不老長寿」は不可能にせよ(管理人の見立てでは、管理人を含めて

大半の人類にとってはおそらく耐え難い苦痛となりかねないでしょう。

少なくとも、「暇と退屈」をやり過ごすだけの見識や知恵がなければですが・・・)、

「長寿化」が人類の<常態>ともなれば、ご自身の人生をどう生きるかに

今以上に強い関心が高まるのではないかと確信しております。

もっとも「惰性」だけで生き続けようとされる方もおられるかもしれませんが、

管理人の見立てでは、上記のように「惰性」には人類は耐え難い苦痛を

見出すのではないかと思われます。

そんなことも最近は『美しい星』(三島由紀夫氏)、

『すばらしき新世界』オルダス・ハクスリー氏)、『1984年』

『動物農場』ジョージ・オーウェル氏)などの「思考実験(思想)」小説を

あらためて再読しながら考えているところでもあります。

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④「第3章 医療の未来-完璧以上」

⑤「第4章 ナノテクノロジー-無から万物?」

第3章と第4章では、その人類の「長寿化」に寄与しえる科学技術に

関する詳細な解説と今後の予想図が描かれています。

とりわけ、「万能細胞」に象徴された人間の加齢(老化)現象を

抑制させえるナノ(超ミクロ単位における)テクノロジーの活用には

注目が集まっているところです。

(ちなみに、このナノテクノロジーと「自己組織化」についての

詳細は、こちらの記事でご紹介させて頂いた著書もお薦めです。)

ただ、このような過度な「若返り」技術に期待感が寄せられても、

自然界特有の熱力学第2法則「エントロピーの法則」に打ち勝つまでに

至るかまではなお慎重でなくてはなりません。

著者もこの「エントロピーの法則」に関して解説(本書186~187頁あたり)

されていますが、ごくごく「小さいけれども重大な抜け穴がある」とは

言及されていますが・・・

いずれにせよ、人類がこの生命に特有の「エントロピーの法則」を

超克しえた時代になれば、もはや現代の既成概念像も潰えてしまうことだけは

間違い在りません。

あるいは、「人口問題はどうするのか?」など

その「調整」問題もエネルギー・環境問題とも相まって難しい課題が

人類へ突き付けられることになりましょう。

あるいは、もはや「子孫」を産み出さなくなった社会を想像すれば・・・

管理人にとっては、それはそれはおぞましい「悪夢」のような

ディストピア世界のように感じられてきます。

「何と、人類は生まれながらにして<神>になることになろうとは・・・」

ここに、それが可能になった世代の「傲慢さ」を感じ取るからです。

そうなれば、もはや人類には「歴史」なる概念もなくなるのでは・・・

と連想ゲームのように考えていくと、

「こんな時代になってまで生きてておもろいんかいな・・・」とも

思われてきます。

この哲学的テーマは引き続き項目をあらためて考えてみようと思います。

著者自身の一応の予想像については、本書266~267頁で

結論付けされています。

乞う、ご期待としておきましょう。

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⑥「第5章 エネルギーの未来-恒星からのエネルギー」

本章では、そんな人類にとってのエネルギーの未来がテーマとなっています。

ここでは、期待が寄せられている「再生可能」エネルギーや

「水素」エネルギーについても論じられていますが、

いずれ、原子力エネルギーの分野でも現在の核「分裂」に依存した

エネルギー抽出法から核「融合」に基づくエネルギー抽出法へと脱却していく

道筋が予想されています。

(なお、「水素」エネルギー(エコノミー)の可能性と限界については、

こちらの記事もご一読下さると幸いです。)

とはいえ、この核「融合」技術も現代までのところ

実現の目途までにはほど遠く、また、この「融合」技術を巡っては

過去に怪しげな事件もたびたび生起してきたことも

詳細に追跡されていることなどは著者の面目躍如たるところです。

ニセ科学に騙されないためにも、このあたりの論考にも

一度は目を通して頂きたいところです。

もっとも、期待のもてそうな2、3の事例も著者は紹介されています。

(本書304~311頁ご参照のこと。)

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⑦「第6章 宇宙旅行の未来-星々へ向かって」

※それでは、人類が前章で紹介されていたような宇宙空間からの

「無尽蔵」なエネルギーを抽出することに成功すればどうなるのでしょうか?

いよいよ、真の意味での「宇宙」における人類史の新たな展開の始まりです。

本章では、つい最近も話題になった太陽系外惑星における「生命」発見の可能性や

宇宙への人類の「生活空間」の拡大可能性(宇宙旅行など含む)などについて

論考されています。

とはいえ、現在でも一部の科学者やエリート層が強力に推進しているような形では、

多くの人類が宇宙空間へと移動することは難しいだろうことも

著者は強調されています。

現代の科学水準では、あまりにも経済的コストがかかりすぎるとともに、

宇宙エネルギーが地球上での生活に「特化」された人類の生体へ及ぼす

影響も十二分には解明されていないからですね。

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⑧「第7章 富の未来-勝者と敗者」

本章では、<未来学者>アルビン・トフラーではありませんが、

著者独自の現代科学技術の進展の結果として次第に見えてくる

経済生活(富)の未来について論考されています。

まず本章冒頭で、人類なかんずくヨーロッパが世界を最終的にリードするまでに

押し上げた力の源泉とは一体いかなるものだったのだろうかに考察が及びます。

物理学者である著者によれば、やはり自然界に潜む「4つの力」を

解析・制御・習得しえたからではないかとまとめられています。

そして、テクノロジーの進展に際しても「4段階」あったとされており、

それぞれのテクノロジーの特色分析を通じて、

近未来におけるテクノロジーの予想像について見取り図を描かれています。

そのテクノロジーの進展の結果、

人類の経済生活にいかなる結末をもたらすのかが次の課題となります。

テクノロジーの進展がもたらす資本主義の変化には、

従来の「モノ」に偏った<商品>資本主義から近未来の「コト(情報)」へと

人々の嗜好が変化依存していくことになる<知能>資本主義へと

移行していくだろうとの見取り図が発表されます。

この過程で、人類にとって残された仕事の形態について論じられています。

それによると、ホワイトカラー(知的労働者)層・ブルーカラー(肉体労働者)層を

問わずに、単なる「反復継続」だけを目的とした単純作業はさすがに減少していく

ことが予想されますが、人間の「認知(認識)」が必要とされる「パターン認識」が

不可欠な仕事については、今後とも残されていくとの見解を披露されています。

これに伴って、国家も勝者と敗者とに分かれていくことも推論されていますが、

国家であれ、個々の人間であれ、いずれにせよ、

絶えざる学習によって試行錯誤しながら「知的」体感を身につけていく者が

「勝者」という言葉には語弊がありますが、社会変化に強く耐え得る性格を

形成していくことだけは間違いなさそうです。

ということで、やはり人類の生存の鍵を握るのは、「学習意欲」です。

「暇と退屈」に耐え得るためにも、このような性格を若い時期から

身につけておくと何かと有意義な人生を過ごせることが叶うのでしょう。

そのような強い「意欲」の湧く方にとっては、

「長寿化」にもメリットがあるのかもしれませんね。

とはいえ、それはある意味ではかなり過酷な「試練」ではありますが・・・

ただ、著者はこうも示唆されておられます。

<未来に向けた課題>(本書409~410頁)にて、

「手っ取り早く儲けることが叶い、すぐに学んだことを役立たせるような

仕事分野にだけ目が行き過ぎると・・・」

短期的には「有利」な選択かもしれないが、

長期的視点に立つと「不利(衰退)」の道を突き進むことにもなりかねないとも。

学業を終えて、社会人になろうとしている岐路に立つ若い方々には

是非ともご自身の人生進路を真剣にご再考頂くことをお薦めします。

なお、<富の未来>における予想される貨幣革命についての余談ですが、

最近この分野(「仮想通貨」)に絡む詐欺被害が多発しているようですので、

皆さんも十二分にご注意されるようお願い申し上げます。

その内容をよく理解・検討せずに新奇性ある金融商品に手を出されるのは、

かなりの危険が伴います。

専門家などのご意見を参考に相互確認されてからでも

取引開始は遅くありません。

最終的には「自己責任」となってしまいますので、

そのあたりは最大限のご注意をされますように管理人からも

ご忠言申し上げます。

国民生活センター」なども注意を促しています。

(平成29年5月9日産経新聞朝刊紙面より)

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⑨「第8章 人類の未来-惑星文明」

本章では、「宇宙」時代における地球文明のランクづけを

タイプ別に診断されています。

とりわけ、科学者である著者が提言されている

<エントロピーで文明をランクづけする>(本書432~433頁)という

試みには斬新な方法論だと感じられました。

一方で、第6章の「補論」ともなりますが、

地球外知的生命探査(SETI)による「地球外知的生命体(ET)」との

遭遇から人類の「意識」そのものが大きく揺さぶられ、

変革させられる可能性についても真面目に論じられています。

とはいえ、現状では、科学技術上の限界も抱え込んでおり、

一見すると「非現実」に思われてしまいますが・・・

このようなより大きな次元から再度、私たち人類が歩んできた道を

見つめ直すこと自体は決して無意味な作業ではないでしょう。

まとめになりますが、人類に今一番必要とされているのが、

やはり「知識」ではなく「知恵」だということに尽きるようですね。

著者も結論として、そのように締めくくられています。

(本書435~440頁)

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⑩「第9章 2100年のある日」

※以上の本書における諸論考と現状分析を踏まえて、

最後に著者は小説風にとある未来の1日を描いておられます。

このように科学探究だけではなく、文学的レトリックにも長けた

サイエンス・コミュニケータですから、

あまり難しい専門用語も見当たらず、

文系の方にとってもあれよあれよという間に

現代科学の最前線にまで誘ってくれる優れた科学「啓蒙」書であります。

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・謝辞

・訳者あとがき

・巻末 原注

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このように大変ワクワク・ドキドキ感を与えてくれる

近未来『科学ライフ』の書物ですので、

是非皆さんにもご一読されることをお薦めさせて頂きます。

忘れてはいけない物理原則:『いかなる人間も1日24時間、肉体は1つしか有しないということ』

それでは最後に少しだけ管理人の雑論を語らせて頂くことをお許し願いまして、

本記事のまとめへと代えさせて頂くことにします。

本書では、現代科学技術の水準や今日までに一応暫定ながらも

確立されたと思しき科学知見の詳細な解説および分析考察によって

今後100年内外の未来予想図が描かれていました。

総じて、著者は楽観的な見取り図を描いておられます。

もっとも、著者も本書最末尾で強調されておられますが、

それは、人類が真の意味での「知恵(叡智)」を取り戻し、

これまでに人類が経験してきた歴史的教訓などを踏まえたうえで

目を覚ましたならば・・・という「仮定的留保」がつきますが。

まとめますと、科学的成果を人類にとってより良い方向へと活用させていくためには、

その諸刃の剣的両側面をきちんと見据えておく必要があるということです。

著者は、科学と<知恵>との相関関係について以下のように語られています。

『知恵は、自分たちの時代の重要な問題を見つけ、さまざまな観点や視野から

それを分析して、何か崇高な目標や基本方針を実現できる手だてを選ぶ能力』だ。

(本書438頁)

また、賢者の言葉を次のように引用されてそのイメージ喚起を

私たち読者に促しています。

『科学は、物事が何であるかは決められるが、どうあるべきかは決められない。

だから、科学の領域を超えた価値判断が依然として不可欠なのだ。』

アルバート・アインシュタイン、本書437頁)

『科学は知識の組織化。知恵は生の組織化。』

イマニュエル・カント、本書438頁)

管理人は本書を読み進めながら、

科学的成果から<知恵>を人類が引き出すために必要にして十分な条件として

時間という概念(原理)をうまく制御する<体験的感覚>が

何にも増して重要不可欠だという教訓をあらためて気づかせて頂くことに

なりました。

本書でも<いのち(生命)ある>人間が「長寿化」を可能にする条件として

エントロピーの法則をいかに制御しえるかが問われていましたが、

それが可能か否かはともかく、

実現前の現状においても実現後の近未来においても

真剣に考えておかなくてはならないことは、

やはり、確かな自身の<人生哲学>をいかに確保し、

実践行動規範に据えていくかにあるものと考えます。

管理人自身は、生命(の定義はともかく、今後の科学的動向次第で変化しえることも

十二分に予想されますが、

少なくとも、これまでの人類の「叡智」などを総合的に判断すると、

普通の感覚≪つまり、生命は「有限」だからこそ「いのち」が

光り輝くのだという体験的共通感覚≫を考慮する限りでは、

おそらく人類はエントロピーの法則を克服しえることは

ほぼ不可能に近いことではないかと強く推測しています。

ここが、人間と機械との決定的分水嶺だと考えています。

また、その制約条件こそが、人間存在の本質ではないかとも。

なぜならば、この強い「制約」(つまり、時間は不可逆であるというエントロピーの法則)が

あるからこそ、1人1人のかけがえなさ(代替不可能性)が際立ち、

人生の限りある時間を有意義に過ごそうという強い動機付けにもなり、

人類の文化・文明の底上げにもつながり、

人類存続の継続性(つまり、「いのち」のバトンタッチリレー)を持続可能なものと

なし得てきたものだと強く確信しているからであります。

要するに、人生とは誰しも本来は「厳粛」なものだということです。

真剣に限りある人生を生きることを志向するなら、

ごくごく微量の時間でさえ、疎かにできないはずでしょう。

少なくとも、賢明な読者さんでその「心」が分かり合えるほどの方ならば、

得心して頂けるのではないでしょうか?

このような感覚を持ちますと、

「仕事」も「遊び」も一瞬一瞬が真剣勝負になります。

そのような体験的質感を常に感じ取る習慣が身に付けば、

自他ともに寛容さ(慈しみある姿勢)が自然と現れ出てくるものと信じています。

ですから、管理人にとっては、すべてが「厳粛」な働きなのです。

そのような「心」を本項目のタイトルに込めさせて頂きました。

著者は、単に物理学者としての感覚だけではなく、

今までの科学者や科学が取り扱いづらかった「心」や「意識」といった

領域にまで勇気をもって踏み込まれています。

一方で、その「限界」も常に弁えられたうえで、

学際的役割分担にも目配せされておられるようです。

冒頭で紹介させて頂いた学生時代に出会った本を

本書とともに再読もしていましたが、

あらためて、あの頃の瑞々しさや懐かしさが現前に甦ってきました。

著者には感謝申し上げる次第です。

少なくとも管理人にとりましては、

今後とも目が離せない著者の1人であります。

著者も物理学者の念願である「万物(大統一)理論」に向けて

懸命に取り組んでおられますが、

その最果ては、宇宙や人類、生命の「起源」の答えが待ち受けています。

その答えがいつ頃に解明されるのかは誰しも予測困難ですが、

理論とともにその検証に使用される実験・観察データの積み上げ作業も

なかなか困難で前途多難なようですね。

著者も上記『アインシュタインを超える』で

現在までのところ、超ひも理論の決定的な実験的裏付けがないことが

その心配の種だとも告白されています。

もしかしたら、別の形態(「理論」モデル)が宇宙には潜んでいるのかもしれません。

いずれにせよ、人類が「知性」を宿した生物である限りは、

その知的探求心が止むことがないことだけは確かでありましょう。

それこそが、人類に生きる勇気を与え、未来への希望となる原動力と

なってきたのですから・・・

ところで、管理人も本年は例年以上に忙しく、

皆さんもお忙しい日々をお過ごしのことと存じます。

中には、「連休」をきちんと取れなかったという方もおられましょう。

(スーパーフライデーなど「夢のまた夢」の世界だ!!とおっしゃられる方が

管理人も含め大半だと思います。)

管理人も「連休」は姪っ子のお守りなどで、

旅行に出かける余力などもありませんでしたが、

そんな個人的な余力よりも彼女たち次世代の子供たちと

触れ合う時間こそ、管理人にとっては何よりも大切な時間であります。

「次世代に何を伝えていけばよいのだろうか?」

こうした「問い」が自ずと湧き出てくるのも

人生が「有限」だからです。

そんなわけで、管理人にとっての「学問(読書)」、「仕事」、「遊び」・・・

その他諸々の<生活>の主題は、「無限」の中を生きる「有限」な存在の

可能性探究だということに尽きます。

ですから、必然的にいつも「無限論」と「有限論」の<あいだ>を

様々な学問的観点から探究する読書が大半を占めてしまうことになります。

そんな個人的志向(嗜好)性から皆さんのご希望・ご期待に十二分に

添えないことは誠に申し訳なく、心許なくも感じますが、

書評もまた本来、その評者の「心」が現れ出るものと信じて、

他にはない「異端」の道をしずしずと今後とも進めてまいりますので

乞うご期待のほど宜しくお願い申し上げます。

ということで、皆さんにも本書のご一読をお薦めさせて頂くことにします。

(なお、前にもご紹介させて頂いたリンダ・グラットン氏の著書『ライフシフト』

「連休」あたりにベストセラー入りした知らせを新聞にて見聞きもしましたので、

本書とともにあわせてご一読されると、今後迫り来る近未来の生活像(観)の

ご参考にもなるのではないかと秘かに自負しています。

こうした意外性があるからこそ、書評は楽しいんだな・・・)

最後に敬愛する三島由紀夫氏の著作で近日中の公開される映画『美しい星』の

一場面における大変示唆に富む名言を引用して筆を擱かせて頂くことにします。

『人類はまだまだ時間を征服することはできない。だから人類にとっての

平和や自由の観念は、時間の原理に関わりがあり、その原理によって縛られている。

時間の不可逆性が、人間どもの平和や自由を極度に困難にしている宿命的要因なのです。

もし時間の法則が崩れて、事後が事前へ持ち込まれ、瞬間がそのまま永遠へ

結びつけられるなら、人類の平和や自由は、たちどころに可能になるでしょう。

そのときこそ絶対の平和や自由が現前するでしょうし、誰もそれを贋物くさい

などと思う者はおりません。(以下、略)』

(新潮文庫第43刷版282~283頁より)

やはりどうしても天然の物理法則が支配する中でも、

限りある生命を有する人間に立ちはだかる壁が、時間の不可逆性だということに

なるようですね。

このテーマは、今後とも折に触れて、様々な観点から追跡していこうと思います。

ということで、長々となりましたが、

これも「連休明け」の皆さんへのサービスということでお許し願います。

さて、もう深夜になってしまいましたが、

もうあと踏ん張り、少し寝てまた今日も「仕事」頑張ろうっと・・・

その翌日には、素晴らしい「ライブ」も待ち受けていることだし・・・

少々の睡眠不足も何のその・・・

最後までお読み頂きありがとうございました。

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