瀬名秀明さんの「おとぎの国の科学」を読んで、SF小説の未来について考えてみた!!

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ホラー小説「パラサイト・イヴ」で有名な

瀬名秀明さん。

今回、ご紹介する「おとぎの国の科学」は

人類の未来を前向きに考える文理融合型エッセーです。

「あらゆる学問の最適統合」

それは、人類の未来にとっても宿願であります。

21世紀に入って、人類はどの道に進化しようとしているのか?

現在、地球上では「影」の投影が出現してきていますが、

表面だけを見ていても人類の「明るい未来」は訪れません。

このエッセーを読んで、皆さんとともに考えていきましょう。

「おとぎの国の科学」(瀬名秀明著、晶文社、2006年)

瀬名秀明さん(以下、著者)は、SFホラー小説「パラサイト・イヴ」などの

作品で有名な作家です。

大学院での研究中から、小説を執筆されてきました。

現在は、サイエンスライターとして「文系・理系の枠組」を超えた

作家としてご活躍中です。

今回ご紹介するこの本は、各種媒体で過去に発表されてきた

サイエンスエッセーを再編集されたものです。

内容は、1990年代後半から2005年までの「科学界」において

話題になったテーマを中心に語られたものです。

「遺伝子工学」「脳死(脳科学)」「人工知能(アンドロイド)」・・・

現在も進行中の、「人類の歴史を大きく変える」ような難問がメインテーマ

となっています。

そして、サイエンスライターとして「未来のSF小説」には、どのような展望が

開かれているのか?

そうしたテーマも語られています。

この本は、普段SF小説を読まれない方にも理解出来る「軽くて密度の濃い」作品に

仕上がっています。

今回は、この本をご紹介しながら「未来のSF小説」について考えていきましょう。

「おとぎの国の科学」

この本のタイトルでもある「おとぎの国の科学」というエッセーが

著者が、特に訴えたいテーマであるようです。

このエッセーでは、ブラウン神父の探偵シリーズで有名なG・K・チェスタトン

の提起した問題意識について考察されています。

チェスタトンは、英国のビクトリア朝の過度の物質主義的傾向や

後の帝国主義政策に対しても懐疑的な立場を持っていたようです。

そうしたことから英国国教会からキリスト教に改宗もしています。

「科学偏重主義」がもたらした断片的な世界像に、鋭い批判を加えました。

科学も原理主義化してしまうならば、一種の「神秘主義」ではないかと・・・

また、世界像が断片化してしまうため、本来は幾通りも成り立つであろう「世界観」

が切断されてしまうとも・・・

それならば、豊かな「おとぎの国の魔法」の方がはるかに健康的ではないかと

問題提起されています。

現代社会のあらゆる「虚無(ニヒリズム)観」は、この点に原因があるようです。

著者も、そのような世の中に蔓延する「虚無(ニヒリズム)観」に

「一石を投じる」ことも含めて、「文系的視点と理系的視点の融合」を

理想とされており、精力的な活動をされています。

最近のサイエンスライターの方には、「文理融合型」の優れた人が多いようです。

管理人のような典型的な「文系人間」にとっても、理系型思考の敷居が低くなり

多くのことを学ばせて頂いています。

前にもご紹介した竹内薫さんもそうしたお一人です。

これからは、文系も理系的視点を獲得していかなければなりません。

そうした「融合型思考」が出来るようになれば豊かな世界が大きく開けてきます。

さてもう一つ、管理人が特に注目したエッセーがあります。

「秘蔵の朗読テープ5本」です。

この中で著者は、アカデミー出版が売り出したイングリッシュ・アドベンチャー

の英語教材「追跡」が紹介されていたことです。

これは、シドニー・シェルダンの原作ですが管理人にとっても懐かしいですし、

人生を大きく変えた作家でもあることです。

高校生の時に、「ゲームの達人」まで毎日聞いたものです。

おかげで、英語は得意科目となり受験もスムーズに通り抜けることが出来ました。

こうした朗読テープから「英語の楽しさ」に目覚めたのです。

また、この時期に同時並行して聞いていたNHKの「英会話」も優れた教材でした。

確か、龍村仁監督の「地球交響曲」をアレンジしたストーリーだったような・・・

シドニー・シェルダンの「神の吹かす風」は、ちょうど受験の頃(1998年2月)

に出版された作品ですが、内容は結構「意味深」でした。

その後の「世紀末陰謀論ブーム」のネタみたいでした。

「ゲームの達人」の内容も、読む人によっては「現代社会の暗号」のようなテーマに

解釈出来るため、シビアな問題意識で書かれたものだと感じました。

シドニー・シェルダンとは何者か?

好奇心が湧いたものです。

そうそう管理人は、「Xファイル世代」なんですよ。

だから、こうしたことにも興味をもったのかもしれません。

しかも、あの世紀末の大きな事件などを考えれば、どうしても意味深く

考えてしまったようです。

最近は、こうした「陰謀系」に対しては割と冷静に見ていますが・・・

そうしたこともあり、著者も「科学と擬似科学の狭間」には問題意識を

持っておられるようです。

未来のSF小説について考察する!!

こうした問題意識は、これからの「文理融合型思考」や「SF小説のテーマ設定」

にも否応なく影響してくるでしょう。

意外なことに、「科学とオカルト(擬似科学)」は紙一重だということは

常に注意しておかなければならないようです。

現代最大のテーマは、「心・魂・意識・いのちの仕組み」です。

学問の究極目的に近づきつつある昨今ですが、同時に「厄介な難問」も

抱え込んでしまったようです。

学者も小説家も、この辺りで前に進みあぐねているようです。

ですから、「倫理観」がこれだけ厳しく問われているのでしょう。

現代の諸学問の最前線は、「同時並行宇宙(世界観)」を「この世」に

おいて、「どこまで求めることが許されるのか?」だと思います。

この問題は、直接に政治・経済・文化など様々な分野に大きな影響を

与えるだけに慎重に進まなければならない課題でもあります。

著者も語っているように、「未来のSF小説」は、今までのような狭い

ジャンルで書くことが著しく困難になってきているようです。

「事実は小説よりも奇なり!!」

というように、現実社会の方が小説に接近してきたため

作家も「テーマ構成や表現」に悩まされているようです。

それでも、管理人は良質なSF小説を創造して頂きたいと思います。

「いやぁ~、SF小説の世界ってホント奥深いですねぇ~」

淀川長治さん風のセリフになってしまいましたが、作家の皆さんに

是非「新たな世界観」の構築にチャレンジしてもらいたいものです。

「いまや、SF小説を読むことは自分のアイデンティティーの拠り所を

探ることでもあるのです。」

「皆さん、心してSF小説に向き合っていきましょうね。」

それにしても、SF小説の巨匠「小松左京」さんが

万博のテーマとした「人類の進歩と調和」は相変わらず

重いテーマですね。

なお、SF小説の未来像を考えるために、

小松左京さんが残された

「SF魂」(新潮新書、2006年)

「宇宙にとって人間とは何か~小松左京箴言集~」

(PHP新書、2011年)

をご紹介しておきます。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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4 Responses to “瀬名秀明さんの「おとぎの国の科学」を読んで、SF小説の未来について考えてみた!!”

  1. 1729 akayama より:

    ≪…「あらゆる学問の最適統合」…≫を、
    [数の言葉]の⦅自然数⦆に観てきた。

    「自然学曼荼羅」松岡正剛著の、≪…メタ・ゲシュタルト…≫や≪…g感覚…≫と、
    「おとぎの国の科学」瀬名秀明著の、
    ≪…科学を教える・・・「…子供に、自分自身の信念に到達するための理解力を鍛える…」(ニコラス・ハンフリー)…≫らから、
    [数の言葉]の⦅自然数⦆と[言葉](言語)の[インタラクト]として[図形空間]・[時間・空間]を[直交座標]と[極座標]の[数学的視座]から[見える化]してみよう。 

     [表象]の[1]について、[直交座標]では[ジャーゴン(数の核)](創発直方体)で⦅自然数⦆が[閉じている]事を観てきた。

     同様の[カオス表示]で[超越数e π]で[インタラクト]な[表象]の[1]に[対応]する[円筒体]の[構造]に観る。

     『自然比矩形』の[上辺]を[軸]とする[回転体]としての[円筒体]は、[断面](底面積πの円形)で[高さ(e-1)]で
    [体積〔π(e-1)〕]である。

     『自然比矩形』の[上辺]を[軸]とする『自然比矩形』に通うされた[反比例曲線]の[回転体]としての[釣り鐘型]の[体積]を[考察]する。
     これは、[円筒体]を[釣り鐘型]で刳り抜かれた[カルデラ型円筒体]の[体積]が、[π]〔高さ断面1の体積(1×π)〕であるので。
    [釣り鐘型]の[体積]は、
     〔π(e-1)〕-π = π(e-2)
    である。

     ここに、「おとぎの国の科学」的に、
    『創発直方体』と[釣り鐘型](『創発円筒体』)と[表象]の[1]とに⦅自然数⦆の[眺望]を・・・ 
    [直交座標]     [見える化]([群]の[単位])
     (e-1)(e-1)/(e-2) (e-2)
    [極座標] [見える化]([群]の[単位])
    π(e-1) π(e-2)

    特に、[直交座標]では、[オイラー等式]を[通じて]の[時間・空間]の[見える化]として⦅自然数⦆(サーカディアン数n)を入れて、
     (e+exp[iπ])(e-1)/(e-2)
    =(1/exp[n-1])(exp[n]-exp[n-1])(e-1)/(e-2)
    を[呈示]してきた。

    [極座標]では、[時間・空間]の[見える化]として
      π(e-2)
    を[呈示]したい。
     察するに、[釣り鐘型]を[核]とするなら、[時間・空間]の[算数]的[単位]の[平面図形]は、
    [空間単位]   ⇔   [π]    [円]
    [時間単位]   ⇔   [e-2]   [ちいさなふくらんださんかく]
                             (ピック型)        
    [時間単位]が、[釣り鐘型]の[回転体]を[構成]する[モノ]として[ピック型]の[断面]に[同定]したい。

     [人類]の[獲得]した⦅自然数⦆の[数学屋]の[圏論]的な[ラングランズ対応]として、『離散的有理数の組み合わせによる多変数創発関数 命題Ⅱ』の[関手]の[1]の[役割]を、
    これらの[カオス表示]の[呈示]した[モノ]に[眺望]したい。

    「おとぎの国の科学」に、中島みゆきの歌[地上の星]が出てくる。
     [星]を[創発体]に置き換えて、

    地上にある創発体を誰も覚えていない
    ひとは空ばかり見てる
    つばめよ高い空から教えてよ 地上の創発体を
    つばめよ地上の創発体は今 何処にあるのだろう 

    ≪…科学のクオリアを・・・科学は・・・人の心の中で生まれる…≫と観る。 
    [クオリア]を[絵本]に[期待]と宮西達也先生は触れていて、[絵本]にも[リアリティ]を[混入]しようと[絵本][もろはのつるぎ]が旅立つ。

    「ほうちょさんききいっぱつ」宮西達也作・絵の、
    [ほうちょうさん]が[インタラクト]から[外れる]ときの[心の動き]は、[数の言葉]の⦅自然数⦆が、[内蔵]する[もろはのつるぎ]と[同定]できよう事を観る。 

     因みに、「だんご3兄弟」の替え歌を

      形三兄弟

    点で繋がる かたち かたち
    3つ繋がる かたち かたち
    カオス秘めてる かたち かたち
    かたち3兄弟

    いちばん上は まる まる
    いちばん下は ながしかく ながしかく
    あいだにはさまれ ましかく ましかく 
    かたち3兄弟

    弟想いの まる
    兄さん想いの ながしかく
    自分がいちばん ましかく ましかく
    かたち3兄弟

    こんど生まれてくるときも
    ねがいは そろって おなじ点
    できればこんどは コスモスの
    数えられる 数のことば
    ことば 

    ある日兄弟 けんか けんか 
    カオスのことで けんか けんか
    すきまのあいだに 虚数 虚数
    でも すぐに仲直り 

    今日は平面で ひるね ひるね 
    3にんそろって ひるね ひるね 
    うっかりねすぎて 円(虚数)がきて
    カオスになりました

    数をかぞえたら コスモス コスモス
    かたちになったら まる ましかく
    一生通じて かたち かたち
    かたち3兄弟
    かたち

    かたち かたち
    かたち かたち

    かたち3兄弟
    かたち3兄弟
    かたち3兄弟
    かたち

  2. 1729 akayama より:

    数の言葉…1・2・3…は、
    混沌王の贈りモノで・・・
    『創発釣り鐘体』・『尖塔コニーデ体』にエンテレケイアできそうだ・・・
    体積は、(eー2)π 2.25・・・ なので
    2月25日を、自然数の日に・・・

    天神さん(菅原道真公)の神紋の6つの〇は、蕾に生る。

    『自然比矩形』の横辺の積み重ねは、マスキングテープ模様になり、
    偶数・奇数の交互性を顕わしている。

    実数の数直線を呈示する。

    また、+ - の特性や奇数の和や偶数の和が、
    『自然比矩形』の縦辺と『創発釣り鐘体』・『尖塔コニーデ体』とに
    関連する特性も顕れる。

    2月25日が菅原道真公の祥月命日で偶然の必然から・・・

G.K.チェスタトンの「求む、有能でないひと」価値観の揺らぐ時代に<精神的平衡>を保持する叡智<ユーモア感覚>を磨こう!! | 双龍天翔 へ返信する

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