ウェスト・マリン氏の「水の神秘~科学を超えた不思議な世界~」物の見方を柔軟にする水の知恵を学ぼう!!
「水の神秘~科学を超えた不思議な世界~」
ウェスト・マリン氏が、「水の神秘」について
様々な角度から解説されています。
科学的にも、なかなか一筋縄では行かない「流動体」・・・
それが、「水」です。
そうした性質上、科学と擬似科学の境界を巡って、
人間界でも混乱衝突がたびたび起きる厄介な存在です。
著者は、科学を尊重しながらも、旧来の物の見方に
偏らずに「水の世界」へ誘ってくれます。
今回は、この本をご紹介します。
「水の神秘~科学を超えた不思議な世界~」(ウェスト・マリン著、戸田裕之訳、河出書房新社、2006年)
ウェスト・マリン氏(以下、著者)は、ハワイ在住で
「水」に関わる様々なテーマで積極的な活動をされています。
アリゾナ大学で水資源学の博士号、カリフォルニア大学で
生物学と環境科学の学位を取得されています。
サンディエゴ州立大学では、非常勤教授として、
水文学と生物地球化学を、カリフォルニア大学サンディエゴ校でも
環境科学などを中心に講義をされてこられました。
著者が、ハワイ在住のためか、「マナ(精霊文化)」にも親しみが
あるようで、「科学と神秘の接点を取り結ぶ水の不思議な世界」に
ついて、詳細にわかりやすく解説して下さっています。
「水は万物の根源」(タレス)
古来、古今東西の賢者が、「生命のふるさと」に
「水の世界」をイメージしてきたようです。
人類の進化発展とともに、自らのいのちでもある「水」を
粗末にしてきたためでしょうか?
21世紀現在、世界各地で「水からの警告」が発せられてきました。
すでに、19世紀頃から「地球温暖化」への警告もされていたようですが、
本書によると、二酸化炭素のみならず「水」に異変が生じていることにも
大きな原因があるようです。
さらに、世界中ではエネルギーの枯渇問題とも絡む「水」を支配しようとの
醜い争いも展開されてきました。
地球生命は、主に太陽エネルギーによる「火」と「水」から
生まれていったとされています。
古来から、日本でも、「火(か)+水(み)=神(かみ)」として、
信仰されてきました。
そうした人類の謙虚だった姿勢も、誠に残念なことですが、
科学技術に対する人間の知性への過信からか、自然界からの厳しい
お叱りも受けているところです。
このような地球環境の下、今後私たちはどのような姿勢で生きていけば
よいのでしょうか?
どうやら、私たちは再び「いのちの根源たる水の世界」から謙虚に
学び直さなければならない時期が到来したようです。
占星術の世界では、「魚座」から「水瓶座」への転換も話題に
なっていたようですが、両者に共通する暗号も「水」です。
「水は、科学的思考法をもってしても捉えがたい神秘的流動体」です。
そのため、科学的知見だけで「わかる」ような存在ではないようです。
つまり、冒頭でも触れましたが、人間の「知性そのもの」が厳しく
吟味されるような存在だということです。
その意味で、私たちが生き延びるために真剣になって学ぶべき師匠が
「水」ということになります。
本書で、著者は「科学的知識」も十二分に尊重しながら、
狭義の「近現代科学的見方」にとらわれない柔軟な見方を教えています。
「科学と神秘の統合」へ向けて再出発すべき時期にある
私たちにとっても、時宜を得た格好の教材であります。
また、本書を通じて「科学と周辺科学(擬似科学)の適切な扱い方」
についても、学ぶことができる好著になっています。
ということで、私たちも著者に学びながら「新しい物の見方」を
謙虚に学んでいこうと思い、この本を取り上げさせて頂きました。
水の本性は、いまだ誰も知らない!?
「生命の水は簡単に手に入れられる。だれもがもっているもので
あるが、その価値は知らないままである。」(カール・ユング「生命の水」)
本書「序文」冒頭の言葉ですが、
まさしく私たちの現状を的確に表現しています。
ただ、前半の「簡単に手に入れられる。」との表現は、今日の状況を
真剣に考察するならば、考え直さなければなりません。
「水は地球の70%を占めている」とはいえ、
現実には、ほとんどが海水だそうです。
日本に住む私たちは、普段「水と空気はただ」と思いながら、
暮らしていますが、世界を見渡すと、必ずしもそのような
「幸福な状況」にあるとは言えません。
現在、アフリカなどの乾燥地帯では、テクノロジーの発展により、
ようやく良質な飲料水が提供出来るような状況が整備されつつある
とはいえ、莫大なコストもかかり、なかなか普及していかないそうです。
また、先進国や新興国でも「水不足」に悩まされる事態も起きています。
「なぜ、このような事態を招いてしまったのか?」
私たちは、今だからこそ真面目に考えていかなければなりません。
「水は無言」ですが、何らかの「警告」を発して訴えかけていること
だけは、確かなようです。
現在、地球温暖化も深刻になってきていますが、これには
二酸化炭素排出量だけではなく、他にも原因があるようです。
また、反対に「温暖化」ではなく、「寒冷化」こそ問題だと
主張されている科学者もいるようですが、いずれにせよ「気候変動」が
人類の生存にとって重大問題であることには、間違いありません。
これには、「太陽の黒点運動」など様々な原因もあるそうですが、
現在最有力候補とされているのが、意外にも二酸化炭素に隠れて
ほとんど一般に知られていない「水」のようです。
この「気候変動の仕組み」なども、本書では詳細に解説されています。
ここでは、「生命と水」との類比で、「地球生命体仮説(ガイア理論)」に
ついても、詳細な検討が加えられています。
著者ご自身は、「ガイア仮説」につき、明確な「賛否」を示しておられませんが、
「一つの物の見方」として、柔軟な姿勢で無視せず紹介されています。
ところで、「環境問題」だけでなく「エネルギー問題」にも絡んでくるのも
「水」です。
これほど、人類を含めてあらゆる生命にとって大切な「水」ですが、
私たちは、ほとんどその真の正体を知らないようです。
これまでも、様々な科学者が「水の謎」を解明するのに励んできました。
その最先端の「水の科学」事情が、本書の詳細な解説で知ることが出来ます。
水は、何にでも変化しやすい不思議な流動体であります。
ここでは、詳しい科学的解説を省かせて頂きますが、
他の「元素」とは、大きく違った性質があるようです。
さて、「水は生きている」とよく表現されますが、
「水に意識がある」
「水は記憶する」
他にも、前にも当ブログ(菊池誠著『科学と神秘のあいだ』の紹介記事)で
軽く触れさせて頂いた
「言葉(エネルギー??)により、水の結晶体は変化する!!」
などなど・・・
そのような性質は、ほとんど「科学的」には未解明のようです。
著者は、この評判になった本にも少し触れられていますが、
あくまで「科学者」の立場から
「科学的に見てわからないものは、わからない!!」として
慎重な姿勢で解説されています。
著者も、確かに「水という神秘的な存在」には、従来の
「科学的思考法」だけでは解けない難問が含まれていることも指摘されています。
そのため、科学者以外の「周辺科学(一部、擬似科学??)」の知見にも
触れられていますが、そのあたりの解説も
このように「科学的な視点」で、冷静に慎重に考察されていますので、
読まれる際にはご安心下さいませ。
ただ、良心的な「科学者」の立場から、従来の「科学的見方」の限界も
見据えながら、もっと「柔軟な見方」もする必要があるのではないか・・・
とのお立場のようです。
それが、著者の言う「水から学ぶ知恵」です。
また、本書には「水」を理解するために不可欠な「科学的専門用語」も
たくさん出てきますが、巻末の「用語解説」も充実していますので、
理解困難で読みづらくなった際には、ご参照下さいませ。
本書は、「水」に特化した「科学啓蒙書」であり、かなり詳細な
「科学的記述」もされていますが、別の「科学解説書」を
引っ張り出してこなくても読み進めやすいように、
読者への便宜も親切に図られています。
複雑にして神秘な水の世界を探究する
ところで、もう一つ大きなテーマが残っています。
先程、「生きている水」について、「科学的」には未解明だと
語ってきましたが、それは「近現代主流科学」を大前提とするならば・・・
であります。
いまだ「未確立」の分野だとはいえ、「複雑系科学」の世界では、
まさに「水」のテーマこそ、それに相応しい話題であります。
冒頭でも紹介させて頂いた「ガイア仮説」もその有力候補ですが、
「生きている水」のイメージは、銀河系にある天の川銀河のように
「渦巻く螺旋状」の「流動体」として活写されてきました。
本書でも触れられており、前にも当ブログにてご紹介させて頂いた
オーストリアのナチュラリスト兼発明家のヴィクトル・シャウベルガー氏は、
その姿を観察して、あたらしい「エネルギー導出法」を研究されていました。
そこで、観察して得た水のエネルギーの力学的性質とは、
①「求心力」(内に向かって吸い込まれていく力=融合力)
②「遠心力」(外に向かって放出しようとする力=分裂力)の
「重ね合わせ」の姿だったようです。
この2つの力を比較しながら「エネルギー力(量)」などを考察していると、
現代科学が主流としている「分裂力偏重」のエネルギー導出法は、
①よりもエネルギー効率も悪くコストもかかるために、
改善すべき余地があるのではないかとの「新発見」でした。
シャウベルガー氏は、科学をほぼ「独学」で学びながら、
大学などの「人工実験室」ではなく、直接「自然観察」の中から
「自然エネルギーの叡智」を学んでいったといいます。
①の「求心力=融合力」こそ、「自然に忠実で効率もよくコストがかからない!!」
とのことから、自ら「フリー(自然)エネルギー導出法」も研究していたようです。
このような「奇抜な発想」が出来る本来の自然科学者兼発明家こそ、これからの時代に
適した学び方ではないかとも考えたりしました。
「融合力」を活用したエネルギー導出法として、かつて一時期注目された
「常温核融合法」などもあったようですが、現実的には、条件設定などが
困難であり、「擬似科学扱い」されていたこともあるようです。
管理人は、このエネルギー導出法についての詳細はわかりませんが、
シャウベルガー氏の「自然力」を直接活用させた方法なら、
「あらたな道」も模索出来るのではないかと、素人ながら感じられました。
現代宇宙論の分野でも、量子電磁気学が多大な発展を見せているそうですが、
「水」にも「光」と似た性質があるようです。
「粒子+エネルギー」により構成された「流動体」です。
こちらの「エネルギー」は、「水からの伝言」(江本勝氏)の提唱されたような
本書の表現を借りると、「プラナ的エネルギー(一種の精神的エネルギー??)」
ではなく、純粋な「物理的エネルギー」です。
こちらの「物理的エネルギー」は、厳密な実験観察でも確認されています。
「電磁場とともに、水は波紋を拡大させながら振動する!!」との知見です。
このことは、「目に見える液体」の状態では確認出来ましたが、
さらに「目に見えない気体」の状態であればどうでしょうか?
本書でも触れられています「超ひも理論」でも「振動するひも」として
「時空」が小さく揺れ動くイメージがあるようですが、
「極小点」を「宇宙大」に拡大していった場合、
エネルギーはどのように伝導していくのでしょうか?
そのことも、宇宙物理学者は様々な「仮説」を立てているようです。
「イーサー(エーテル体のようなもの??)」
これは、現在「主流」の物理学者は否定しているようですが、
大胆に提案されている方もいらっしゃいます。
いわゆる「宇宙真空」においても、「完全にはエネルギーゼロとならない!!」と
想定されている「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」で説明する物理学者の考え方に
似ているそうです。
前にもご紹介させて頂いたフランク・ウィルチェック氏なども、
「エーテル体の復活??」に関する理論を説明されていたところです。
いずれにせよ、万物の根源たる「水」は単なる「触媒(仲介者)」の役割だけに
終始しない「神秘的な存在」のようです。
「生きている水」・・・
その「定義」は、各人自由ですが、「水」の謎解きに興味を持つことがきっかけで、
様々な「物の見方」が学べることは間違いないようです。
その意味で、「水」は私たちの「よりよき生き方」を教えてくれています。
皆さんも、「水の叡智」からすばらしいアイディアを得られることでしょう。
ということで、「水の神秘の世界」にご興味がおありの方には、
是非ともご一読して頂きたい1冊であります。
飲食業界でお仕事されている方なら、ひょっとしたら
「おいしい水の作り方」のヒントが得られるかもしれませんよ。
最後におまけです。
このような「神秘の水」をテーマにしながら、
現代人が忘れてしまったあらゆる「大切な視点」を思い出させてくれる
すばらしい「児童文学書」をご紹介させて頂きます。
「水の精霊 第1部 幻の民」(横山充男著、ポプラ社、2003年)
「水の精霊 第2部 赤光」(同上)
「水の精霊 第3部 呪術呪法」(同上、2004年)
「水の精霊 第4部 ふた咲きの花」(同上)
の4部作です。
※母校の先輩でもあり、「四国の四万十川もの」や
「四国遍路(本書)」などをモチーフに、少年少女が
「生きる意味」を仲間たちとともに成長させていく物語です。
また、「学ぶ意味・働く意味について」も学ばせてくれる
大変優れた好著です。
管理人もつい1年ほど前に、読了したのですが、
久しぶりに「泣けた!!」文学でした。
まるで、管理人の人生のようだと・・・
もっと早くに、子どもの頃に出会っていれば・・・と
思えるような作品に仕上がっています。
皆さんもお子さんとともに、あるいはご自分で
お読み頂ければ、きっと泣けるでしょう・・・
とはいえ、内容は「超高密度」です。
「水マニア」の方なら、気に入ってもらえるのではないでしょうか?
特に、最近「抑鬱気味」で苦しい思いをされている方には、
「安らかな一服の清涼剤」となってくれるかと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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