岡本裕一朗先生の「思考実験」を読んで、明確な答えのない現代社会に「突破口」を拓く知恵を身につけよう!!

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「思考実験~世界と哲学をつなぐ75問~」

仕事でも活用されている「ブレーンストーミング」と

イメージして頂ければよいかと思います。

現代社会は、すでに答えのない「未知の領域」へと

人類を誘っています。

いつの時代も、人類は「未知の世界」を切り開いてきました。

明確な解答がない時代とは、不安やおそれもある反面で

考えようによれば明るく希望に満ちた世界でもあります。

私たちの創意工夫次第で、世界は明るくも暗くもなります。

今回は、この本をご紹介します。

「思考実験~世界と哲学をつなぐ75問~」         (岡本裕一朗著、ちくま新書、2013年)

岡本裕一朗先生(以下、著者)は、哲学・倫理学をご専門と

されています。

難しい哲学・倫理学の世界を

わかりやすいたとえ話を交えながら

解説されてこられたようです。

今回ご紹介する「思考実験」も、著者の若き日からの

学生への講義における試行錯誤の中から

編み出されてきたもののようですね。

現代社会は、あまりにも技術革新が進みすぎたのか、

人類の生活をも一変させてしまいました。

私たちは、すでに「不適応状態」で

自分たちが創り出してきた社会への対応に日々追われています。

「忙しすぎてゆとりがない!!」というのが現状であります。

科学技術の進歩により多大な恩恵を受けながらも、

心の問題は軽視されてきました。

「創造の喜び」を忘れてしまいつつある人類・・・

莫大な便利さと引き換えに、思考放棄(停止)状態になりがちの

日々を過ごしてしまっています。

「思慮深く考え、想像し創造する生活を意識して送らないと

明日も見失ってしまいます!!」

著者は、この本で主に「人文社会科学分野」の話題に絞って

「世界と哲学をつなぐ75問」として解説されています。

具体的には、「自己」「他者」「倫理」「社会」と

4つのテーマで論旨展開されています。

現代物理学の世界では、すでにSF世界のような状況になっています。

現代社会では、あまりにも複雑になり「実験観察」する余地も

少なくなってきたようです。

科学の世界では、20世紀に入るまでは「実験観察」とともに

発展してきましたが、もともと「人文社会科学」の世界では

「実験観察」することも困難だったようです。

特に、そのことは「現代経済学」の分野に顕著なようです。

生身の私たちの生活が、日々「実験観察中」と言っても過言では

ありません。

飛躍的な技術革新とともに、「人間観」や「世界観」まで揺らいでいます。

人類は、ついに「禁断の果実」に手をつけてしまっています。

このような時代だからこそ、社会など自分以外の誰かが用意した

「外的規範(法律や道徳など)」だけに頼ることは出来なくなっています。

なぜなら、「外的規範」は日々更新されてしまうからです。

つまり、自らの手で「内的規範(倫理)」を生み出さなくてはなりません。

そのうえで、自らの責任でもって守る必要があります。

そのあらたな「倫理」も日々の実生活の過程で、自ら感じ自ら考えつつ

絶えず練り続け最良のものへと更新していかなくてはなりません。

そうした時代において、私たちはどのような方向で考えていけばよいのか?

「明確にして絶対な解答が、現代社会には少ない」中でも、

何らかの「指針(道標・ヒント)」を欲しいものです。

ということで、良質な知恵を磨くには「洗練された思考実験素材」が

必要となります。

今回は、この本をご紹介しながら皆さんとともに「思考実験」して

いきましょう。

ホログラフィックな「マトリックスの世界」!?

私たちの住む世界は、過去の人類から観測すれば「夢のような世界」です。

21世紀になるまでは、子どもたちに人気のある「ドラえもんの世界」で

「実在感(リアリティー)」がなかった発明品も、

現在では一部実現化しつつあります。

管理人も幼少時から「ドラえもん」「キテレツ大百科」「21エモン」などの

藤子不二雄先生の世界観」に憧れて過ごしてきた世代です。

「20世紀末って、今から考えると夢は確かにあった!!」のです。

少なくとも、管理人の世代(1970年代後半~1980年代初期生まれ)には、

同意して頂ける方も多いのではないでしょうか?

この「実在感」は、人間の成長にとって非常に大切な役割を果たすようです。

その「ギャップ」が、あまりにも大きすぎたのが、現代の相当多くの若者に

「傷口」を与えてしまったようですが・・・

それでも、「世を儚(はかな)み、恨んでも仕方ない」ですよね。

「人生は、いつも本番。待ったなし!!」なのですから。

現代社会は、現実と「仮想」現実が混在した世界にあります。

私たちが、この世で体験するにあたって参考にする「思考」も

刷り込まれてきたものです。

それが、数々の「認知的不協和」をもたらしている原因だと思われます。

この本でも紹介されている映画「マトリックス」も、あらためて日々の

私たちを取り巻く世界を見直してみようというテーマで描かれています。

私たちは、高度情報化資本主義社会の中で失われつつある「実在感」を

取り戻す思考訓練から始めなければならないようです。

そうした現代社会にふさわしい「思考実験」もここでは紹介されています。

承認を求める欲望と闘争から脱出するには・・・

この「思考実験」も紹介されていますが、考えさせられました。

現在各種メディア(主にインターネットメディアだけ??)で、

相次ぐSNS(ソーシャルネットワーキングシステム)の普及で、

多くの方が振り回されているようです。

こうした現況化で、果たして「ゆるいつながり」だの「評価経済」、

「ノマド生活(ノマド・ユートピア論についても「思考実験」で紹介されて

います。)」という現代若者文化論がどこまで通用するのか、あらためて

冷静に検討し直す余地もありそうです。

「思考実験を甘く見ると、痛い目に遭うよ!!」と、

著者からこの本で教わることが出来ます。

それこそ、「20世紀の壮大な社会実験の失敗を甘く見てはいけない!!」

叱られるようですが、真実だと思います。

ですので、私たちも歴史に謙虚に学びつつ、決して甘く見積もりすぎない

「強靱な時代に耐え抜く思考実験」をしなくてはなりません。

まだまだ、他にも面白い「思考実験」の素材が紹介されていますが、

後はこの本でお楽しみ下さいませ。

この本のもう一つのテーマが、「倫理」です。

上記の「思考実験」をもう少し考察するなら、

「承認(欲求)」とは「他人を道具化すること」につながりかねない点にも

十二分に注意を払わなくてはなりません。

そのあたりも、ヘーゲルコジェーヴの議論を取り上げながら考察されています。

「自己と他者」「(経済人間)社会関係を媒介させる貨幣」

これらに共通するのも、「道具化によるトラブルをいかに避けるか?」

という知恵です。

現代人が、克服しなければならない世界観は

デカルトの「心身二元論」を始めとした「近現代的人間観(世界観)」です。

この哲学が、驚異的なスピードで近現代社会をリードしてきました。

この「道具化」を避ける工夫は、前にもご紹介させて頂いたレヴィナスや

フッサールなどの「間主観理論」にもあるようです。

今西錦司博士の「棲み分け理論」や南方熊楠のような「曼陀羅的世界観」も

優れた知恵を供給してくれています。

まとめますと、「思考実験の効用は、この世に<自明>なことなどない!!」

という視点をもたらしてくれることです。

この本は、映画やSF小説なども素材に取り入れつつ堅苦しくない工夫が

なされていますので、皆さんにも取り組みやすい内容だと思います。

皆さんも、この本から「思考実験」の「方法論」を学びながら

日々の生活でも「シミュレーション思考」を楽しんでみませんか?

「思考実験とは、別名<仮説思考>」でもあります。

「哲学(学問)の始まりも、良質な問いから」です。

そうした「洗練された思考法」を身につけるうえで、お役に立つ1冊です。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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