エドワード・デボノ氏の「水平思考の世界~固定観念がはずれる創造的思考法」混沌からのアイディア抽出法に学ぶ!!

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「水平思考の世界~固定観念がはずれる創造的思考法~」

知的発想術に一大センセーションを巻き起こした

エドワード・デボノ氏。

1960年代末期に「水平思考」として

世に知られるようになった著者であり、

すでに古典的人気を誇っているようです。

私たちの普段の思考法を観察してみると、

論理的「垂直思考」に偏った傾向にあるようです。

知的ブレイクスルーのヒントとは??

今回は、この本をご紹介します。

「水平思考の世界~固定観念がはずれる創造的思考法~」   (エドワード・デボノ著、藤島みさ子訳、きこ書房、2015年第1刷)

エドワード・デボノ氏(以下、著者)は、1960年代末期に

新たな知的発想法として注目を集めた「水平思考」という

キーワードを世に知らしめた人物です。

著者プロフィールによると、著者の数多くの著作は

現在34か国語に翻訳され、ノーベル賞受賞者や

世界の指導者からも助言が求められてきたといいます。

一言で、著者を要約すると、

「創造性と新たな思考法のシンボル」だとか・・・

ところで、管理人が、今回この本をご紹介させて頂く

きっかけも、新たな学問的方法論を日々探究している過程での

出会いでありました。

これまでも、一般社会人向けの創造的発想法などの

手がかりとなるヒントを、例えば『思考実験』などの

書籍の紹介を通じて、ご提案させて頂きましたが、

皆さんにとっても、日々の仕事上の問題解決法のみならず、

そもそも論として、問題創作の初期段階で悩んでおられる方も、

多々おられるかと思います。

それもそのはずです。

管理人を含めて、大多数の人間が受けてきた現代教育では、

「垂直型」問題ばかりを解く訓練をさせられてきたことに

根本的原因があるからです。

そればかりか、公的義務教育段階における「垂直型」問題解決教育では、

予め<正解>が一義的に決定済みの問題ばかりが集められていました。

そのため、<正解>を短時間で求める競争ばかりが、

繰り広げられてきました。

この「垂直型」問題解決教育の最大の短所は、

「学ぶ喜び」や「想像力(創造力)の引き出し(まさに、教育の原義である

エデュース)を剥奪させる点にあります。

その意味では、現代教育の本質は、「洗脳=思考停止」へと

すり替えられてきたのかもしれません。

つまりは、社会適合型(この<社会>という言葉も文脈によって

変化するために一義的に決定不可能ですが・・・)人間の養成が、

中心に据えられてきたということでもあります。

こうした教育も、なるほど、近代黎明期のキャッチアップ型キャリア教育に

おいては、適合したものだったのでしょうが、

時代は、確実に、このような段階を過ぎ去っています。

のみならず、20世紀末から21世紀現在における技術革新の勢いは

すさまじく進展してきており、

人間にとって必要な教育とは何であるかが、

あらためて問われ始めています。

今後、人工知能との協働社会も予想される中、

今まさに、私たち人間の従来型知的思考法の組み直しが迫られています。

著者の「水平思考」といった知的思考法に対しては、

これまでにも賛否両論渦巻く大論争が、

教育専門家の間でも展開されてきたといいます。

その賛否両論のご紹介については、

本書ご紹介の主眼的問題意識から外れますので、

以下の本文での諸考察からは省略させて頂きますが、

あくまで、本書の主題は、「煮詰まった知的頭脳の解きほぐし方」という

テーマであり、事例紹介を含めた「水平思考」に関する論旨展開が

なされています。

本書の初版は、1960年代末期です。

日本では、以下のような翻訳があります。

『水平思考の世界~電算機時代のための創造的思考法~』

(白井実訳、講談社ブルーバックス、1971年)など。

「電算機時代」という表現に、

管理人のような「インターネット世代」にとっては、

大時代的響きを感じさせますが、

むしろ、今時の若者だからこそ、

親しみやすい思考法なのかもしれません。

ということで、皆さんにも、時間に追われた日常生活から

飛び出るヒントを、この「古典」から得て頂こうという思いで、

この本を取り上げさせて頂きました。

ちなみに、本書は、藤島みさ子さんという翻訳家の

「新訳」にて、本全体も、リニューアルしています。

本書全体に流れる思想には、「水平思考」をキーワードに、

アイディアをひらめかせるきっかけを、どのようにすれば掴めるのかなど、

様々な事例研究を通じたヒントが紹介されています。

また、本書末尾には、著者による丁寧な「要約」もなされていますので、

各章を読み進められていく過程で、適宜ご参照して頂けると、

そのテーマから外れずに、理解も促進されることでしょう。

視点をずらすことで、「フレームワーク=無意識の知的ジレンマ」から解放されよう!!

そこで、「厳密な」要約に関しては、

もちろん、著者自身によるものが一番信頼出来ますので、

そちらに委ねさせて頂きますが、

本書における内容構成を、ご紹介させて頂くことにします。

各章におけるタイトルだけ、以下列挙させて頂くことにしますが、

その内容に関する「類推」思考だけでも、

まずは、本書をご一読される前の<知的体操>として

取り組んで頂ければと思います。

今、「類推」思考と書きましたが、

この「類推(連想ゲーム)」も、「水平思考」の仲間になります。

それでは・・・

「はじめに いまこそ、誰もが水平思考を求められる時代」

「プロローグ ロジカルシンキングの限界を軽々と乗り越える水平思考」

①「第1章 人生には、水平思考でしか解決できない問題がある」

②「第2章 誰にでも入手可能な既成の情報を、新しいやり方で見つめなおす」

③「第3章 新しいアイデアと既成のアイデアの複雑な関係」

④「第4章 水平思考の視覚トレーニング」

⑤「第5章 言葉の硬直性が、ものの見方の硬直性につながる」

⑥「第6章 新しいアイデアを生む最大の障害」

⑦「第7章 偶然を味方につけた発明家たち」

⑧「第8章 水平思考の活用例」

⑨「第9章 垂直思考をする人は、他人に利用されやすい」

⑩「第10章 水平思考の可能性は無限」

「要約」

という「章立て」で構成されています。

昨今の自己啓発(ビジネス)書のタイトルを観察していると、

興味深いことですが、「ロジカルシンキング(論理的思考)」に

かなり偏ってきたようです。

著者は、「論理(垂直型思考)」から飛び出す「水平思考」を

提案されていますが、著者自身も、何も「論理的思考」自体を

否定されているわけではありません。

最終的な「結論」の妥当性は、

もちろん、「論理(実証)的」検証の過程を

踏まえなければならないことは言うまでもありません。

著者の主張における最大の目論見は、

あくまで「発想(アイデア)の入口」に至る過程であります。

最初から、「完全」を目指したガチガチの「超」厳密思考から

知的思考の世界へと入門したのでは、

かえって、世の中の諸現象に含まれる多様な本質から、

「新発見」を遠ざけてしまうおそれが多分にあると警鐘されているのが、

著者の「水平思考」の狙いであります。

具体的な「水平思考」の要点については、

本書をご一読して頂くことにしまして、

重要な視点は、これまでの人間の「推論」過程を学習する

教育的方法論が、「論理的思考法(「垂直型」思考法)」に

著しく偏っていたということを強調されていることです。

この「垂直型」思考法は、一つひとつの思考の積み重ねが

大前提になるため、最初の「ひらめき(問題意識や興味関心から

創出されてくる思考の糸口)」が驚くほど狭まってしまうという

難点を抱えています。

最終的な「結論」の妥当性や実用度に関する程度は、

「科学(数理)的」思考法などを含む「論理的検証過程」が不可欠ですが、

(もっとも、著者は<第8章>にて、『「~が不可欠」という考え方

から抜け出す』ことが、新しい創造的発見につながると強調されています。)

「言葉」や「記号」といった言語操作に左右されないイメージ像の

創出が、これまでにない独自の新たな思考の着眼点を生み出すとも

指摘されています。

このような「言語」の背景に押しやられてしまったイメージ像の原初形態にこそ、

「創造力の源泉」があると、様々な事例紹介を通じて提示されています。

そのイメージ像の原初形態(荒削りな思考状態)を、

まずは掴み取り、徐々に温めながら、膨らませていくことが、

「新発見」へと導かれる糸口になるとも強調されています。

そのための「視点のずらし方」のヒントが、

本書では、豊富に解説されています。

「垂直」思考を好む人は、他人に操作支配されやすい!?

このように、本書では、「水平思考」をキーワードに、

新たな「知的発想術」が紹介されているのですが、

もう一つの「売り」が、人間が引っ掛かりやすい

「思考の罠(盲点)」から抜け出し、

「自由人」へと脱皮していく姿勢を促す点にあります。

「垂直型」思考法、つまりは、「論理的」思考法の別名ですが、

意外にも、自他ともに認められる「論理(垂直思考)型人間」ほど、

知的詐欺などの社会被害に遭遇しやすいとも指摘されています。

本書では、『詐欺師がいなくならない理由』のテーマで

この点が解説されていますが、

いわゆる「ホットリーディング」や「コールドリーディング」といった

「読心操作技法」が、今日の「情動」社会では華やかな賑わいを

見せていることも、心配すべき現象であります。

このような一見もっともらしい(誠に皮肉な事態ですが、

現代論理学や確率統計理論も、「より優れたもっともらしさ」を

追求してきたことから、このような「読心操作技法」を後押しする

遠因にもなっているようです。)

そんな知的操作技法こそが、「垂直型」思考法に慣れきった「現代人」に

多大な損害を与えているとも警鐘されています。

そんな時に役立つ「視点(無意識に抱え込んだ思考の罠)をずらすコツ」が、

「ユーモア」の活用です。

操作されそうな違和感を味わいそうになった時には、

是非、このユーモア=「王様は裸だ!!」式処世術を活用してみて、

相手の出方を探りながら、巧みな操作技法から脱出するポイントを

探究してみて下さい。

つまり、巧みな話術に騙されないためには、

「面倒くさい人物」へと「君子豹変」することも大切だということです。

昨今は、心理学を悪用したテクニック書が、巷では話題になっているようですが、

このような社会的傾向にも、管理人は憂慮しているところです。

「人をバカにするにも程がある!!」と怒りを禁じ得ないところで

ありますが、そのようにカッカすることも、

ますます、相手の術中に嵌り込む要因となってしまいます。

「怒り」ではなく、日々を「ユーモア」感覚とともに、

鋭く観察しながら、穏やかな心で過ごすことが、

もう一つの「水平思考」を活用した感情処理法であります。

ということで、本書は、「知的思考法」としての「水平思考」だけに

止まらない重要な視点を提供してくれる「古典」的名著ですので、

皆さんにも是非、「頭の体操」として、

ご活用下さることをお薦めさせて頂きます。

なお、著者の別著には、

「頭脳のメカニズム~発想の源泉はどこにあるか」

(箱崎総一訳、講談社ブルーバックス、1972年)

「魅せる会話~あなたのまわりに人が集まる話し方」

(住友進訳、阪急コミュニケーションズ、2005年)

「6つの帽子思考法~視点を変えると会議も変わる」

(川本英明訳、パンローリング、2015年)などの

話題書が、邦訳されています。

また、「水平思考」と関連して、

数理的思考法を活用した「視点をずらすヒント」について、

わかりやすく解説した近刊書に、

「数学嫌いの人のためのすべてを可能にする数学脳のつくり方」

(苫米地英人著、ビジネス社、2016年)があります。

※本書では、「論理的(垂直型)」思考法の典型例である

演繹法」や「帰納法」の限界や、

著者のご専門とされる「人工言語(知能)研究」から得られた

最新の知見も紹介されています。

特に、高校数学の難所である「ベクトル」や「関数」に関する

難しいイメージ像が覆されるわかりやすい解説には

好感が持てました。

「ベクトル」や「関数」は、時空内での方向性や、

全体の中での分布(自分自身の立ち位置など)を確認する際にも、

威力的な効果を発揮しますが、

文系人の場合には、「時間の罠」に嵌りがちであるようです。

この「時間の罠」も「錯覚(盲点)」の一つでありますが、

人生における航海に迷った際の羅針盤としても活用できる

優れものが、「ベクトル」や「関数」の実践的効用であります。

こうした視点を持ってみることで、

抽象的な高校数学以降の現代数学の最前線に関する

興味関心度合も少しは高まるのではないでしょうか?

「関数」の座標軸の原点(0地点)に立ち返るという発想は、

日々の思想的混乱を整理するうえでも役に立っているようです。

「思考(価値観)のズレ」も、座標軸の原点からの距離感を

計測することで、極端に不毛な対立と混沌から飛び立つ推進力と

なってくれます。

あの難解とされるゲーデルを始めとした20世紀の知的共有財産である

「不完全性定理」の考え方も、わかりやすく提示されています。

数理的発想のイメージ像を掴むためのヒントとして、

本書と併せてご活用されることをお薦めさせて頂きます。

さらに、「発想」の源泉である「ひらめき(直感力)」を

磨くヒントとして、

「できる人の直感力~あなたの潜在能力が目覚める30のメソッド」

(佐々木正悟著、ビジネス社、2008年)

「直観力の育て方~あなたの中の”眠れる力”を目覚めさせる方法」

(アンドレイ・リッジウェイ著、野津智子訳、PHP研究所、2011年)

も本書と併せてご紹介しておきます。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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