マーティン・フォードさんの「テクノロジーが雇用の75%を奪う」を読んで、生活防衛法をみんなで一緒に考えよう!!

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「テクノロジーが雇用の75%を奪う」

シリコンバレーで、自身も

IT系企業の経営者として活躍されている

マーティン・フォードさんが、機械によって

人間の雇用が奪われていく未来について、

警鐘乱打しておられます。

予想外に「人工知能」の開発が進んだ結果、

人間の方でも早期に何らかの対策を立てないと

大変な事態を招くだろうと・・・

現代経済学や経済政策の処方箋には、

「機械による経済への影響がまったく考慮されていない!?」

今回は、この本をご紹介します。

「テクノロジーが雇用の75%を奪う」(マーティン・フォード著、秋山勝訳、朝日新聞出版、2015年)

マーティン・フォードさん(以下、著者)は、

自身もアメリカのシリコンバレーでIT系企業を

経営されているかたわら、その「実践知」を

活用した「未来学」の研究もされているようです。

この本では、そうした実際経験を踏まえて

「テクノロジーが人間の労働に与えるであろう影響」に

的を絞って考察されています。

技術革新が経済社会に与える影響については、

前にも当ブログ(新井紀子著「コンピュータが仕事を奪う」)で

ご紹介させて頂いたことがあります。

また、最近ご紹介させて頂いたアイザック・アシモフ博士の

「西暦3000年の人類」という本の中でも触れられていましたが、

「機械と人間の労働棲み分け仮説」には、総じて論者によって

「楽観説」と「悲観説」が大いに分かれているようですね。

そうした中で、今回ご紹介させて頂この本の著者は、

「悲観説」のお立場のようです。

少なくとも、私たちが思っているほど「機械の進化は遅くはない!!」

とのご意見で、早期に何らかの対策を考えて実行に移していかないと

手遅れになりかねないと語っておられます。

そもそも、現代経済学も経済政策も「需要と供給の関係」で

成り立っていますが、この関係は「循環構造」で互いに支えられている

ことが大前提となっています。

「生産は消費があるからこそ成立する」のだと。

逆も成り立ちます。

こうした過程に、技術革新はどのような影響を与えているのか?

意外にも多くの人びとが見落としているようです。

現在、「金融政策」に比重を置いた経済政策が、

日米を始め先進諸国でなされていますが、

驚くべき事に、その政策立案に当たって

「機械が人間の労働に与えている影響がほとんど考慮されていない!!」

との懸念をもって、著者は問題提起されています。

著者は、「機械」が潜在的にも顕在的にも「需要(消費)を生み出さない」

ことに注意を呼びかけています。

現在、私たちが取り組んでいる「労働」に関して、

熟練・非熟練あるいは業種を問わず、やがては機械に駆逐されていき、

消費者も激減していく予想から未来経済のあり方についても、

従来の「労働観」を転換させていくべき時期に来ているのではないかとも

提言されています。

こうした時期が、遅かれ早かれ到来することは間違いがないようです。

21世紀に入ってからは、「雇用なき景気回復」という言葉もすでに

残念ながら定着しているようですが、どうも「金融政策」だけでは

この「苦境」を脱出することは難しいようですね。

「楽観派」であれ、「悲観派」であれ、今現在、

世界経済で何が起きているのかを正確に知っておきたいところです。

不安やおそれを完全に無くすることは、難しくとも

「現状分析」だけは、今後の生き方を考えていくうえでも

どうしても欠かせないところでしょう。

早めに対策を考える余裕を持つことが出来れば、

少しは不安解消につながるかもしれません。

今回は、マスコミでもあまり報道されない

そんな経済の「死角」に迫っていきたいと、

この本を取り上げさせて頂きました。

資本集約型産業に比重が置かれる「金融政策」

21世紀経済では、人手を重点的に伴う「労働集約型産業」よりも

ほとんど人手もかからず、投資コストなども少なくて済む

「資本集約型産業」が技術革新とともに増加し続けています。

そうした経済傾向もあってなのか、不景気であっても

「財政政策」よりも「金融政策」に力点を置いた経済運営が

なされているようです。

つまり、「需要(消費)喚起型のケインズ型経済施策」よりも

「供給(生産)喚起型の新自由主義経済施策」に

政策力点が移行されてきました。

しかし、皆さんもご存じのとおり「景気回復に実感が伴いません!!」よね。

長引く「デフレ(物価下落型)不況」の下で、モノであれサービスであれ

「余剰」の状態が続いてきました。

バブル崩壊後デフレ不況に入ってからの「失われた10年」の前半期には、

賃金減少に物価下落がうまく連動されていたように見えたので、少し生活が

楽になったと感じられたこともあったのではないでしょうか?

(もっとも、相対的な話ですので厳しく突っ込まないで下さいね。)

ところが、後半期になると、2007年のサブプライムローン問題や

2008年のリーマンショックで一気に景気が冷え込むと同時に、

資源価格が上昇するとともに、緩やかな物価上昇も伴う「ダブルパンチ」が

追い討ちをかけました。

そして、再び「実質賃金(手取額)」が減少し続ける中、

積極的な金融緩和政策による「株式投資推進型経済運営」による

「トリクルダウン政策(お金のある所からない所へ流れを生み出す政策)」と

株価上昇効果から導かれる庶民の経済への積極的な「心理効果」を促す施策が

現在も継続中です。

こうした積極的な「金融緩和政策」を採用しているにもかかわらず、

「なぜ、経済はなかなか成長軌道に乗ってくれないのか??」と

皆さんも大いに疑問を持っておられることでしょう。

ここに、今回のこの本の視点があります。

この「失われた20年」は、同時に「IT革命と経済グローバル化」が

一体化して推進されてきた時期でもあったのです。

残念ながら、当初は多くの方が(管理人もですが・・・)、

この経済の流れにおける「死角(盲点)」に気付くこともなく、

日々の「労働」に勤しんできた訳ですが、実はこの「経済革命」は

「低価格化」を一段と推進していく過程でもあったのです。

現在、ジョブ(ワーク)シェアリング(仕事の掛け持ちや交替勤務など)や

アウトソーシング(著者は、この本ではオフショアリングと名付けています。)

という「仕事の外注化(コストの転嫁)」が、ほぼ当たり前とされる日常と

なっています。

こうした一連の流れにも「技術革新の恩恵」が影響しています。

このこと自体は、「経済の効率化」という観点では良かったのかもしれませんが、

労働の主体である肝心の人間の意識が追いついていかなかったところに

問題があったようです。

著者が、この本で強調されている論点もここにあります。

雇用がますます激減していく世界で生き抜くには・・・

著者は、この傾向はすべての業種で遅かれ早かれ起きる現象だと

警告されています。

著者によると、「ごくごく普通の労働者」のみならず、

従来は「知識労働者(熟練型安定的労働者)」とされる

いわゆる「高給取り」も安心ではない将来像と現実像を

描写されている点に、類書にはない特徴があります。

「機械化の進行具合は、遅かれ早かれ時間の問題に過ぎない!!」と・・・

これにより、「人間の労働も著しく減少」するとともに、

従来の「消費経済生活」が、完全に成り立たなくなっていく

予想図を描いています。

それに伴い、「生産も縮小」し、さらなる「消費の縮小」というような

現在の「デフレスパイラル」よりも、さらに深刻な「自由資本主義体制」

そのものが崩壊するおそれもあるのではないかと、問題提起されています。

「では、そのような最悪の事態になった場合にどうすればよいのか?」

当然、私たちにとっても重大問題になってきます。

アイザック・アシモフ博士などの「楽観派」は、コンピュータによる

教育の恩恵などを積極的に活用する「雇用促進策」を提言されているようですが、

著者は、そうした「楽観派」とは異なり「悲観派」のようです。

つまり、「機械により人間の労働が奪われていく」中で、「所得減少」が当然

起きる訳ですから、誰しも余裕のある「再雇用のための質の高い教育訓練」を

享受出来る訳でもありません。

ましてや、「所得や雇用」を大前提とする現在の「各種社会保障制度」が

成り立たなくなる訳ですから、当然「社会のセーフティネット(安全網)」が

なくなることにもなります。

こうした経済環境の大変革を予測して、著者も近年話題になったフランスの

トマ・ピケティ氏のように税制などの改革案も提唱されています。

著者は、経営者でもあるところから「思想家」であるピケティ氏ほど、

急進的な改革案ではないところにも親しみを感じさせてくれます。

かといって、「新自由主義者」のような「冷たさ」も感じられず

全般的に「堅実な案」のようですね。

管理人の理解したところでは、事実上の「ベーシックインカム」のような

制度だけではなく、「働く意欲を湧かせる」奨励制度の導入など

画期的なアイディアも加味した改革案のようですね。

「人間にとって、仕事は生計の手段だけではなく生き甲斐でもある」点を

十分に配慮した考えであり、好感が持てました。

とはいえ、今後の経済社会がどのような形に変化していくかも油断なりません。

著者も、未来経済の姿について若干のイメージ像を提示していますが、

おそらく現代のような「賃労働」に代えた「あらたな生産概念(労働)」を

みんなで考えていく必要がある点を強調されています。

いずれにせよ、「絶望的な未来」にしないためにも、「機械と人間の共存共栄策」を

練っていかなければなりませんね。

管理人の読了後の感想としては、おそらく今後の「経済の方向性」は

著者の描く道筋と同じになるだろうということでした。

結局、私たち人類に残された道は、

「創造性と想像性を日々高めていくことに尽きる!!」ということでしょうか?

一朝一夕に身に付くものではないと、ついつい「悲観的」になってしまいますが、

これからも何とか前向きに皆さんとともに考えながら、「良きアイディア」を

ご紹介していきたいと思います。

それにしても、「テクノロジーが雇用の75%を奪う」とは、「衝撃的な数値」ですが、

<訳者あとがき>によると、アメリカの大恐慌時の「25%」をはるかに上回る

「想像を絶する大失業時代の到来」を予感させるもののようです。

著者は、あえて多くの方に早めに「生き残りの良き案」を考えてもらおうと、

厳しい数値で注意を惹きつけようとされたのかもしれませんね。

それは、著者の「愛あるIT起業家としての親心」として受け取っておきましょう。

この本を読むと、確かに「悲観的」になるかもしれませんが、みんなで問題意識を

早めに共有出来れば、それだけ速く「希望に近づける」ということです。

その意味で、皆さんの今後の「生活設計」のご参考になるかもと思い、

この本をご紹介させて頂きました。

是非ご一読下されば幸いであります。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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