矢野道雄先生の「インド数学の発想~IT大国の源流をたどる」ゼロの発見から21世紀に甦ったインドの叡智に学ぼう!!

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「インド数学の発想~IT大国の源流をたどる~」

日本で数少ない「インド占星術」を本格的に

研究されておられる数学者の矢野道雄先生が、

インド数学の研究成果を紹介しながら、

「インド占星術」の魅力と現代インドの熱気に触れた

解説をされています。

昨今、インドはもっとも注目されている国であり、

世界で有名なIT系企業にもインド出身者が多数活躍されています。

この流れに伴い、日本でも、「インド数学」や「インド占星術」を

売りにするビジネスも増加しつつあるようですが、ちょっと待った!!

真面目に商売するプロなら、著者の本書は必読です。

今回は、この本をご紹介します。

「インド数学の発想~IT大国の源流をたどる~」       (矢野道雄著、NHK出版新書、2011年)

矢野道雄先生(以下、著者)は、インド数学インド占星術

研究されてこられた日本でも数少ない第一人者でいらっしゃいます。

京都産業大学の教授職の傍ら、日本にまだIT革命が普及しておらず、

IT言語を使いこなしながら、本格的なプログラミングをする人も

少なかった1990年代から、日本でも稀に見る古代インドの

天文学を活用したインド暦プログラムを開発されてこられました。

著者のインド暦プログラムは、こちらのホームページから

利用出来るようですが、現代天文学は一切利用していないそうです。

主に研究者の方の利用が多いそうですが、真面目にこれから

「インド占星術」などを研究されたい方には、ご活用されてみては

いかがでしょうか?

さて、そのような著者ですが、もともとはお寺で生まれ育たれたようで、

幼少期の頃から「門前の小僧」ならぬ「お寺の長男」としてお経を習い

覚えながら、インド哲学への興味関心が高まっていったそうです。

大学で、インド哲学を専攻されながら、必修のサンスクリット語を学びつつ、

インド科学史にも興味が移り、天文学(暦学)や数学にも研究分野を

拡大されていかれた異色の研究者です。

著者は、自らの「文理融合体験」から、若者にもあまりにも早くから

「文理選択」をしないでおこうとのアドバイスもされています。

管理人自身の反省からも、著者のアドバイスは的確だと思われます。

それはともかく、サンスクリット語は日本人には、僧侶を除き

なかなか馴染みも薄く、難しい言語のようです。

後にも触れますが、インド占星術を源流とする「宿曜経」などは

空海がもたらしたとも言われています。

また、江戸時代には、管理人にも縁深い大阪出身の慈雲尊者などが

このサンスクリット語への造詣が深かったことも知られています。

21世紀になり、ますます経済成長著しいインドとインド人ですが、

その活力の原点はどこにあるのでしょうか?

日本でも、近年「インド数学」「インド占星術」「インド映画」など、

人気も高まってきている中、本場仕込みの著者から本書を通じて

学ぶことは、大いに有意義だと思われます。

この分野における日本人によるビジネスも少しずつですが、

水面下で増加しつつあるようですが、ご用心!!

「もぐり」の「エセ商売人」もいるようなので、その真偽を判断するうえでも、

著者の知識は活用することが出来そうです。

これから、否、すでにこの分野で商売を始められている方でも、

本格的なプロを目指される方なら、必読書であります。

また、本書では、主に「インド数学」や「インド天文学(インド暦)」の

紹介が中心ですが、若干「現代インド経済事情」もかいま見られて

新書にしては、内容は高度で密度は大変濃いですが、楽しく面白く

読める工夫が凝らされています。

ということで、これから「インド関連」のビジネスを始められる方や、

「インド出張」されるビジネスマンの方にもお役に立てるかと思い、

この本を取り上げさせて頂きました。

インド数理科学3000年の歴史

インドと言えば、皆さんどのようなイメージをお持ちですか?

「ガンジス川の流れ」を前にして斎戒沐浴する人たち。

「バックパッカー」旅行者に人気のある国。

仏教やヒンズー教を始めとする多様な宗教国家。

現世利益志向が強く、ビジネス感覚の鋭いインド商人。

最近では、自動車産業、鉄鋼業、映画などの娯楽産業、

そして、本書でも取り上げられているIT起業家のイメージでしょうか?

日本人にも、インドとインド人には「愛憎半ば」の方々も多いようです。

ところで、インドは「ゼロを発見!!」した国としても有名です。

「ゼロ」の起源には、諸説ありますが、仏教思想に取り入れられたことも

あり、比較的多くの方々のイメージでは、インドこそ「ゼロの祖国」と

みなされていることが多いようです。

「ゼロ」については、前にも当ブログでもご紹介させて頂きましたが、

こちらの書籍は、「世界のゼロ数学史」です。

詳細は、本書にゆだねさせて頂きますが、「ゼロ」には不思議な力や感覚を

呼び覚ますエネルギーが含まれているようです。

本書は、IT大国の源流ということも主テーマの一つですので

そのことに関連して語らせて頂きますと、

現代コンピュータのアルゴリズム(コンピュータプログラミング言語)は、

「0」か「1」とするデジタル記号で処理されています。

管理人はコンピュータの演算処理システムの仕組みには、ずぶの素人なので

もとより解説する力はありませんが、一般的には「二進法」処理が

なされているとのことです。

面白いことに、インドは「ゼロの祖国」とされていますが、

古代オリエント文明(エジプト・メソポタミア・バビロニアなど)では、

「0」については、単なる「ゼロ記号」として扱われていたようで、

本格的な「数字」として活用されていったのは、インドが最初のようです。

さらに、インド数学絡みで語りますと、インドでは古代より「数あそび」を

通じて、子どもの頃から親しまれてきたようですね。

古代のインド名作『リグ・ヴェーダ』や『マハーバーラタ』でも

神々たちの「数あそび」の様子が描かれています。

特に、古代インドでは「3」が「聖なる数」だったようで、

このあたりなどは、「数秘術」に興味関心がおありの方などは、

参考になるのではないでしょうか?

いずれにせよ、こうした「数字に強い」国民性は、

日本人も大いに学ぶべき点かもしれませんね。

日本人は、世界の中でも比較的「代数学(解析学)」よりも

「幾何学(図形)」の方が得意だったようです。

そのためか、どちらかと言うと、「数字」に苦手意識をお持ちの方が

多いのではないのでしょうか?

そのような日本人ですから、幼少時から、こうした「インド式数あそび」の

ゲームを取り入れてみるのも良いのかもしれませんね。

そのあたりの「現代少年事情」も「算数・数学教育」のヒントとして

前にも当ブログでご紹介させて頂いておりますので、こちらの記事も

ご一読下されば幸いです。

特に、これから「中学受験」などを考えておられる親御様やお子様には

ヒントとなる知恵・知識が得られるかと思います。

さて、インドでは古代からカースト制度があり、このような数学教育などは

バラモン階層という「エリート層」に限定されてきたようです。

仏教の場合には、この「差別制度」に真正面から反論していったのですが、

「平和宗教」だったのか、やがて本場インドから流出していきます。

「0(ゼロ)」と「空」の威力は、強いはずなのですが、現実的な場面では

力が逆に弱まってしまうのでしょうか?

それはともかくとして、インドは北方アーリア人(民族)の流入で、

お釈迦様を始めとした「古代インド諸部族国家??」は、崩壊していくことに

なります。

現代インドでは、ヒンズー教やイスラム教を主流として多様な宗教が

モザイク状にせめぎ合っているようですが、この「0(ゼロ)」の

真の威力(平和力)が甦ってくることを、

管理人も異国の地から祈っています。

ちょうど「ローマ・カトリック教」も「ロシア正教」も和解を

模索している時期ですので、他宗教の方々にも、本来の「平和への祈り」を

回復していかれることを期待しています。

2016年は、そんな「平和(和解)ラッシュの年」になってくれると

良いのですが・・・

閑話休題。

いずれにせよ、この北方アーリア人に起源を持つとされる

古代インドにおける「ヴェーダ哲学」が発展していった結果として、

「ヴェーダ数学」「ヴェーダ物理学」「ヴェーダ天文学」「ヴェーダ占星術」

などに派生していきました。

古代インドから現代インドにまで至る「学習法」は、師匠から弟子への

直接的相伝形式だったようで、そこでは「音読繰り返し学習法」が

重視されていたようです。

このあたりは、ユダヤ人の「学習法」にも似ていますね。

確かに、リズムを活用した「学習法」は成績アップにすこぶる役立ちますし、

「長持ち」もします。

インドでは宗教儀式の際の「祭壇設計」などにも、数学が積極活用されています。

「代数学」だけでなく、「幾何学」も発展していく土壌があったのですね。

そこから、「天文学(暦法)」にもつながり、現代では人工衛星にまで

応用されていきました。

誠に驚くべきことに、プトレマイオス以前から「地動説」が採用されたり

していたそうです。

その後も、インド数理科学は進化し続けており、現代のIT大国にまで

つながっていきました。

本書では、昨今流行の「日本型インド数学」や「日本型インド占星術」とは

まったく異なる「本場インド数学」や「本場インド占星術」が、

わかりやすくユーモラスに紹介されていますので、この分野にご興味が

おありの方には、本書を「入門書」として頂けるのではないでしょうか?

インド占星術の魅力と現代インドから学びたいこと

ところで、「占い好き」の方なら、昨今「インド占星術」というジャンルが

一部で流行っていることをご存じの方もおられるでしょう。

本書でも、この話題に触れられていますが、「インド占星術」の特徴は、

伝統的なインド占星術なら、「太陰太陽暦」が活用されているそうです

つまり、現行の「太陽暦重視路線」とも異なる「太陰暦」をも併用させた

「月の満ち欠け重視路線」も取り入れているということです。

江戸時代までの日本と似ているようですが、詳細は本書をご一読下さいませ。

そうしたところからも、「27宿」が取り入れられており、これが

後年インドから「宿曜経」という形で空海などを通じて、

「密教占星術」として日本にも渡来してきたようです。

ちなみに、中国系の陰陽道は「28宿」であり、「インド系」が「27宿」なのも

先にも触れましたように、「3」の倍数を特別視したからだそうです。

このような「占い裏雑学」も豊富に紹介されていますので、

是非「専業占い師」さんには、ご一読して頂きたくお薦めいたします。

著者によれば、『結局は星占いにおいて、春分点を基準にした太陽の

位置を優先するのか、それとも固定した恒星座標の影響を優先するのかの

問題になる。星占いが趣味であるというのであれば、せめてそれくらいの

ことは知っておいてほしい。』(本書204頁)とのことです。

著者は、さすがに日本随一の研究者でもありますので、

インターネットなどの「俗流情報」に惑わされないように、

口を酸っぱく強調されておられます。

ところで、「月の話」が出ましたが、これとの関連でも

著者は、京都の鞍馬寺で有名な「ウエサク祭」にも触れられています。

「月のように美しく・・・」(鞍馬山平和の祈り)ですね。

管理人も鞍馬山の尊天様を信仰させて頂いていますが、まだ1回も

この「ウエサク祭」や「火祭り」には参加したことがないのですが、

機会があれば是非参加したいなと思っています。

いずれにせよ、現代インドにおける「インド占星術市場??」でも、

この「古代インド旧暦方式」に代えて、「現代」天文学を導入すべきかどうか

喧々囂々(けんけんごうごう)の議論が錯綜しているようですね。

インドも「科学と宗教の調和」を目指しているようです。

こうして本書を読み進めてきて感じたことは、「若い国インド」における

「学習意欲の高さと生き抜く力のたくましさ」でした。

日本のような先進国では、すでに成熟化しきっているためか、

「ハングリー精神」も喪失しつつあり、雇用も外国の安価な労働力に

依存しようとする傾向も見え隠れしてきているようですが、

決してそのような道を採用する訳にはいかないでしょう。

そのことは、インドの長い歴史的教訓から見ても明らかです。

それと強調したいのが、インドの若きIT系起業家などが、

カースト制度のような「差別の厚い壁」をすり抜け、乗り越えながら

生き延びる知恵を磨いていったことです。

私たち日本人にとっても、こうした進取かつ積極的な姿勢で、

この厳しい経済環境を乗り切っていきたいものです。

ということで、熱く語ってきましたが、本書は「インド数学」から

「世界平和への祈り」に至るまで、様々な話題に触れられている好著でした。

読者の皆さんの中にも、躍進目覚ましいインドには興味関心をお持ちの方も

多数おられるかと思われますが、是非「良質なインド関連本」の1冊として

お手に取ってお読み頂ければ、紹介者としても望外の歓びであります。

なお、著者の別著として、

「占星術師たちのインド-暦と占いの文化」

(矢野道雄著、中公新書、1992年)

「インド数学研究(数列・円周率・三角法)」

(矢野道雄他共著、恒星社厚生閣、2003年)

「密教占星術 増補版~宿曜道とインド占星術~」

(矢野道雄著、東洋書院、2013年)

インド数学について、

「インドの数学」

(林隆夫著、中公新書、1993年)

※林隆夫先生は、著者の盟友でもあるようで、

「インド数学」の入門書としては、これ1冊で充分とのことです。

『「インドと数学」その不思議』

(大槻正伸著、電気書院、2008年)

※こちらは、小学生算数学習参考書のようです。

小学生から大人の皆さんまで幅広くご活用頂けるようです。

インド占星術については、

「基礎からはじめるインド占星術入門」

本多信明著、説話社、2010年)

「実践 インド占星術」

(同上、2012年)

をご紹介しておきます。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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