柳川範之先生の「元気と勇気が湧いてくる経済の考え方」不確実な時代を生き抜く知恵を学ぼう!!

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「元気と勇気が湧いてくる経済の考え方」

柳川範之先生が、ご専門の経済学の知見を

活かした著書をお書きになっています。

技術革新の急激な進展と複雑怪奇な世界情勢の中で、

いかにこの「不確実な時代」をうまく乗り切っていくのか?

「不確実な時代」は、何も現在だけではなく、

有史以来ずっと人類が直面させられてきた難問です。

それは、「情報の非対称性」による認知の歪みから

生じてきています。

今回は、この本をご紹介します。

「元気と勇気が湧いてくる経済の考え方」          (柳川範之著、日本経済新聞出版社、2011年第1版第2刷)

柳川範之先生(以下、著者)は、前にも当ブログにて

ご紹介させて頂いた異色の経歴をお持ちの経済学者です。

幼少期から、異国の地で数多くの経験をされ、進路も

多様な路線を歩みながら、現職に至っておられます。

そうしたご自身の体験から、現代の若者に向けて

積極的な愛あるメッセージを送られています。

著者のご専門は、一応「経済学」ということですが、

実際には、学問の狭いジャンルにとらわれずに、

横断的な領域に渡る「学際研究」をされています。

特に、不確実な時代に相応しいテーマである、

「情報の非対称性」や「行動(心理)経済学」の

ような「複雑系経済学」の研究にも力を入れられて

おられるようです。

管理人も、学生時代にお世話になった

『法と経済学』のような「機会と費用」に関連する

複数の分野を幅広い視点から考察されるなど、

大変ユニークな研究もなされています。

さて、今回ご紹介させて頂く本書では、

著者も<おわりに>でまとめられていますように、

単なる「経済学」や「経済事情」を解説する形式ではなく、

もっと幅広く現代経済学から得られた知見を、日常生活に

活用していこうとのコンセプトで、解説されています。

私たち人間は、社会の中で様々な体験をしながら、

学んでいく生き物です。

そこには、自分が当初思い描いていたような形での、

「成功」もあれば、「失敗」もあります。

とはいえ、もともと不確実な社会では、個々の「成功・失敗」の

事例に、いつまでもとらわれている訳にはいきません。

いずれにせよ、そのような社会だからこそ、適宜その状況に応じて

臨機応変な対応をしながら、人生街道を歩む方がストレスも軽減され、

明日への勇気ある一歩につながります。

その意味では、「諦めない限り、人生に失敗などない!!」のです。

私たちは、複雑きわまりなく変転の激しい流動社会になればなるほど、

前に進む気力が殺がれてしまいます。

それは、生物的本能による防御反応でもあることから、

一面では、私たちの生存を確保するための長所でもあります。

そのため、「不安」や「おそれ」を抱いてしまうのですが、

そうした感情が湧き起こってきた場合における対処法を

あらかじめ知っておくのと、無知のまま手探りで進むのとでは、

人生に大きな落差が生じます。

「知っておけば、もっと楽な生き方が出来たはずなのに・・・」

人間は、往々にして、後から振り返ると、そのような反省をしがちです。

ですが、良きにつけ悪しきにつけ、数多くの人生経験こそが、

私たちの人生に彩りを添えてくれているのも、また事実です。

つまり、物事とは様々な角度から分析してみないことには、

一挙に理解することが出来ない仕組みになっています。

そこで、どうすればこの不確実な経済社会の中を、元気と勇気を

持って、前に歩み続けることが出来るのか、そのヒントを

著者から学ぼうと、この本を取り上げさせて頂きました。

不確実な社会だからこそ、誰にでも可能性はある!!

著者の本書におけるメッセージは、様々な予想外の展開にあっても、

あらかじめ人生の中に「想定の範囲内」として織り込みながら、

日々「前向き」に再出発していく大切さです。

特に、不確実な経済社会を生き抜いて行くには、

ある程度の「勉強代(負のコスト)」が、かかってしまいます。

通常人の経済感覚では、特に関西人の方なら日々ご経験がおありかと

思いますが、失敗したくないので、「元を取り返そう」とします。

著者は、まずこのテーマから語り始めます。

それに対しては、「サンクコスト」という考えで説明されています。

『過去に行った、もう何をしても戻ってこない(サンク)コストは、

考えに入れずに行動したほうがよい。』(本書20頁)と。

「サンク」とは、「喪失した」とか「取り戻せない」という意味の

英単語です。

ここで、大切な視点は、人生におけるコストは、自分が当初から

掲げていた目標から見て、「成功」か「失敗」かに関わらず、

過去には二度と戻れないのだから、未来へ向けて考えてみた際に

どれだけの意味を持つものなのかを、常に念頭に置きながら、

積極的に行動した方が、圧倒的に人生のあらゆる観点から

いっても、「生産的」だということです。

現代経済社会では、圧倒的に「お金」に価値が置かれます。

そのため、「お金」という手段と、それを使って何を対価として

手に入れるのかという目的を、しばしば混同して生きてしまいます。

大切なことは、「付加価値(生産性)」をどれほど生み出したのかであって、

「お金」にはないということを、再度確認することです。

これを、しっかりと腑に落とし込むところから、

「経済的自由人」への道も始まります。

また、「コスト」に関連しての話題ですが、著者は「機会費用」という

考え方についても解説されています。

特に、「経済学」の知識を持ち合わせておられない方でも、

分かりやすい事例を挙げれば、「行列に並ぶ・並ばない」

この「どちらが得か損か??」ということです。

某局のバラエティー番組の標語みたいですが・・・

「あえて時間を掛けてでも、行列に並んだ方が投資効率が良いのか悪いのか」の

事例と言い換えてもいいでしょう。

こうした日常の個別具体的な事例を考えながら、生活の方向性の基準を

自らの実体験で確立していくことが、賢者の知恵です。

「自分が選択した結果、別に経験出来たであろう機会利益の損得」を

きちんと考えるということが、「機会費用」の考えです。

「選択肢」の話題に触れると、「選択肢」が広すぎても狭すぎても、

人間は判断に迷いやすいということも解説されています。

「選択肢」の広狭にかかわらずに、私たちは、普段の嗜好性によって、

偏った判断をしてしまいます。

それが、良い判断なのか悪い判断なのかは、後から振り返ってみない

ことには、分かりません。

つまり、私たちが「不確実な」経済社会に生きる限り、100%正しい

判断を下せるとは限らないということです。

このように解説すると、いかにも当たり前のことですが、そのことを

理解しながらも、結果にしがみついてしまうのが、人間です。

では、私たちは、まったく救いようがないのでしょうか?

著者によると、「それは違います。」ということです。

このように、不確実で変動激しい経済社会では、完全情報はどこにも

存在しないということです。

資本主義社会とは、この『不完全情報(別の<経済学用語>でいうと

「情報の非対称性」)』によって成立している経済社会システムのことです。

だからこそ、多様な仕事が絶えず生成消滅を繰り返している訳です。

お互いの「得意分野」と「不得意分野」を「お金」を通じて交換しているのが、

その本質ですね。

もっとも、「資本」は「お金」に限定する必要はないので、「お金以外の何物」

でもって、交換してもいい訳です。

現に、「お金」の不足している市場では、お金以外の「事物交換」がなされています。

「資本(市場)主義は、必ずしも<お金>主義ではない!!」という点は、

意外な「盲点」です。

このことを知っているだけでも、お金に貴重な人生を振り回されない知恵になります。

「人生でもっとも貴重なものは、生きている時間」です。

残念ながら、私たちは、子どもの頃から「お金と社会の真実」を学校などで

経済教育を受ける機会が奪われてきました。

最近は、民間の教育ボランティアなどの啓蒙活動で認知度も高くなりつつあるようですが、

まだまだ「一般レベル」に普及しているとは、到底言えない状況にあるようです。

また、20世紀までは「物質交換経済」が主流でしたが、

21世紀では、「情報交換経済」の比率が高まっています。

先程も、「資本主義」とは「情報の格差」によって成り立ってきたと

解説してきましたが、現代社会ではこの点を「悪用」している輩も横行しています。

そうした事例も、数多くあることから「消費者保護法」などで「説明責任」などを

重要事項としているのですが、一般人の「無知」を利用して「悪用」する人間が

後を絶ちません。

私たちが、「なぜ、学習しなければならないのか?」も、

そうした「生活防衛術」として死活問題だからです。

だからこそ、著者や管理人も強調していますように、「もっと勉強しましょうね。」

ということになるのですが、正直管理人も勉強不足で分からないことだらけです。

勉強すればするほど、隙間だらけであることが理解されてくるのです。

また、関連事項の相互理解も深まっていくのですが、それにも「限界」はあります。

まとめますと、そうした「厳しい現実」を人間は必然的に抱えてしまっているために、

このタイトルの文字通りの表面的な意味とは、「真逆」のようになってしまいました。

ですから、読者の皆さんにおかれましては、このタイトルの意味は、

「逆説的な意味」で理解しておいて下さい。

管理人としては、安易な希望や期待感といった「単純な楽観論」で

語りたかった訳ではないのです。

ただ、同時に「悲観的」ということも、真実ではないようです。

おそらく、「真理は、この中間にあり!!」ということでしょう。

「不完全情報」の中で、生きる条件は、程度の差はあっても、誰しも同じなので、

そのような意味で解釈すれば、「将来は不明」ということで、誰にでも可能性は

あるということです。

見切り発車で、微調整して軌道修正をかける生き方がお薦め!!

著者によると、現代経済社会をうまく乗り切る知恵としては、

このタイトルが、究極的な結論のようです。

このブログでは、主に「次世代向け」に語りかけていますが、

管理人のような、「失われた20年」を必死に駆け抜けてきた

世代の経験から言っても、著者のアドバイスには共感出来ます。

残念ながら、私たちの30代・40代が、もっとしっかり世に向けて

積極的な発信を、未来のためにもしていかなくてはならないのですが、

どうしても「無力感」にとらわれてしまうのも、本当のところです。

それほど、「失われた20年」は、精神的にも物質的にも厳しすぎたのです。

だからといって、このまま「無力感」のまま朽ち果てていくのも無責任だと

考えているからこそ、微力ながら多くの方々のご協力の下、

ブログ発信させて頂いているのです。

ただ、このように「マイナス思考」ばかりでも、読者の皆さんにご迷惑を

おかけするので、ここで、著者のお力も借りながら「プラス思考」に

戻させて頂きます。

著者も強調されているように、不確実度が増せば増すほど、

「生計リスク」が高まることは、否めないところです。

ですから、「完璧な計画(目標)」は、ほどほどにして、

「短期」「中期」「長期」という時間軸とともに、

その時、その場に複数の選択肢を加味しながら「優先順位」をうまく

つけていく生き方が、「リスク分散投資」の観点からいっても、

ベストではなくとも、ベターだということです。

著者は、そのあたりも詳細に解説して下さっています。

「稀少な価値(機会)をいかにうまく活用するのか?」

その知恵を学んでいくのも、生きるということです。

本書では、「マーケティング」については、あまり触れられていなくて、

事業家の方にとっては、若干物足りないこともあるかもしれません。

そこで、著者も「柳川範之のウェブサイト」で、書評されている

人気ブロガー「ちきりん」さんの以下の書籍をご紹介しておきます。

『未来の働き方を考えよう~人生は二回、生きられる~』

(文春文庫、2015年)

もう一つが、こちらは本日の記事を書く際にも

一部ご参考にさせて頂いた、

『マーケット感覚を身につけよう~「これから何が売れるのか?」

わかる人になる5つの方法~』(ダイヤモンド社、2015年)

※柳川範之先生が書評で自らご紹介されている①は、管理人未読のため

ここでは解説出来ませんが、②の方ならコメント出来ますので、ここで

少し解説しておきますが、「国家資格者」の厳しすぎる現状は、

体験者の認識としても「ほぼ真実」です。

今までは、こうした「知的仕事」とされてきた「職業」も、数十年後には

技術革新の飛躍的な進歩でどうなるか分かりません。

そんなこともあり、管理人も思うところあって、「見切り再出発」を

した訳ですが、これから「各種資格取得」の勉強を考えられている方には、

もう少しじっくりと判断する機会を確保した方がよいのかもしれません。

著者の本書の解説や、「ちきりん」さんも、②の本で解説されていましたように、

「時間とコスト感覚を持つこと」が、今後かなり重要な視点になるかと思われます。

ですので、今現在10代から20代の方には、「将来へ向けての勉強法」を

考えるうえでも、必ず「技術革新の未来予想図及び人間にしか出来ない仕事」を

よくイメージして工夫を練って頂きたい思います。

以上、「老婆心」ながらコメントさせて頂きました。

最後に、著者の言葉をお借りして締めくくらせて頂きます。

『いつでも必ず、やり直せる!どんなときにも、追うべき目標がある。』

(本書194頁)

その意味でも、各自の人生設計をあまりガチガチに固めてしまうことなく、

「危ないな~」と感じた際には、すぐに軌道修正が効くような柔軟な姿勢で

この世を歩まれるのが、ちょうどいい「さじ加減」なのかもしれません。

なお、著者の別著として、

「40歳からの会社に頼らない働き方」(ちくま新書、2013年)

をご紹介しておきます。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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