池田純一さんの「<未来>のつくり方」シリコンバレーの航海する精神に学ぶ明日の日本の開拓者へ届ける渾身の1冊!?

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「<未来>のつくり方~シリコンバレーの航海する精神~」

コンサルタントの池田純一さんが、シリコンバレーのベンチャー精神に

学びながら、熱く<未来経済>について語っています。

2016年現在、一般人にとっては厳しく冷え込んだ景況感ですが、

そんな寒中にある今だからこそ、地中深く根を生やしながら、

明日の開花を待つ積極的な日々を過ごしたいものです。

今回は、この本をご紹介します。

「<未来>のつくり方~シリコンバレーの航海する精神~」  (池田純一著、講談社現代新書、2015年)

池田純一さん(以下、著者)は、FERMAT Inc.の代表であるコンサルタントです。

メディアコミュニケーション分野の良質な情報普及に努めてこられた方です。

日米双方の大学・大学院にて、文理融合型学際教育の学位を受けられるとともに、

経営者としての視点をお持ちです。

さて、今回ご紹介させて頂く本書は、アメリカ西海岸カリフォルニア州北部に

位置するサンフランシスコ湾岸地帯周辺域の通称「シリコンバレー」に

根付くベンチャー精神に関する本の中でも、類書にはない一風変わった視点から、

「シリコンバレー精神」について分析考察されています。

特に、その「シリコンバレー精神土壌」について、アメリカ建国史や

アメリカ独立精神の観点も含めて幅広く論じられているところに魅力があります。

同時に、21世紀の世界経済を牽引する「情報革命」の中心地でもあり、

世界的に日頃お世話になっている有名企業が集中しているところでもあり、

今後こうした「情報通信企業」が、どこに向かって事業展開されていくかの

未来予想図も詳細に解説されています。

「I o H(Internet of Humans)からI o T(Internet of Things)へ」

つまり、「ヒトのインターネットからモノのインターネットへと

只今進化発展中!!」とのことです。

最近話題の自動運転車やドローンなど、あらたな「人工知能型ロボット」が

開発試験中であることも周知のとおりです。

物理学の世界でも、「モノからコトへ」の流れがこれまで促進されてきましたが、

現在は、一巡して心機一転「コトからモノへ」の流れに変化しつつあるようです。

「人はお金だけでは動かない!!」などと、行動(心理・神経)経済学の分野でも

度重なるデータが集約されてきたところ、今後の「未来経済」の大激変の中で

生き抜くためには、旧来の陋習である「勤労観」も転換しなくてはならない時期も

到来しつつあるようです。

「思想が経済生活をも革新する!!」

そのような時代に、私たちは巡り合わさったようです。

世界史的にも、18世紀産業革命以来の200年間の総括とともに、

20世紀末から大躍進を遂げてきた情報革命に道を譲ろうとしている昨今です。

起業家であろうとなかろうと、こうした「経済革命」の流れを

せき止めることは、もはや不可能です。

事前に「情報革命」の長所と短所を知ることで、今後の「未来経済」生活の中で

処世していく知恵も湧き出てきます。

本書は、前にもご紹介させて頂いた記事(記事①記事②)と重なる部分も

多少出てきますが、全体的には「シリコンバレー精神」を支える歴史的風土や

人間模様、思想背景や経営・経済土壌について様々な角度から考察されています。

基本的には、「楽観的なシリコンバレー精神」を活写されています。

そこで、皆さんとともに「シリコンバレーの航海する精神」を解読しながら、

明日の<未来経済>における処世術も探究していこうと思い、

この本を取り上げさせて頂きました。

シリコンバレー精神を促進させるプラグマティズム哲学

ところで、20世紀は、量子物理学とともにコンピュータ基礎技術が

開発されてきました。

20世紀の前半は、戦争など悲惨な事件を早期に解決すべく「暗号解読技術」が

鋭意磨かれてきましたが、冷戦終結後の1990年代になると、それまでの

「軍事利用技術」だった情報網が、「平和利用技術」へと転換される時期が到来しました。

その陰には、未来を明るく見通した楽観的な法則(仮説?)がありました。

それが、本書の冒頭で語られている「インテル入ってる!?」の宣伝広告でも

有名な企業Intelの創業者の一人であったゴードン・ムーア氏によって提唱された

ムーアの法則(1965年)でした。

去年で一応50年を迎えましたが、一般的には現在までのところ

この「法則(仮説?)」は破られていないといいます。

そんなこともあり、この法則(仮説?)は、科学的に証明可能な仮説とは異なり、

「楽観的な希望を持った事業促進剤」として活用されてきた「実践的積極思考(哲学)」の

位置づけを与えられてきました。

さらに、この「ムーアの法則」は、技術革新は飛躍的に高まり、急速な経済革新を

もたらすとの期待感から、多くの冒険的投資家や起業家の魂を魅了してきたようです。

現在のインターネット情報革命は、1993年(日本ではバブル崩壊の年)に

産声を上げました。

この年は、現在アメリカ大統領選挙における民主党候補ヒラリー・クリントン氏の

夫であるビル・クリントン氏のクリントン政権第一期でもあり、副大統領アル・ゴア氏

(『不都合な真実』でも有名)とともに、「情報スーパーハイウェイ構想」を実現させて、

一気に民間でのインターネット活用が普及していく土壌が芽生えました。

以後20数年間かけて2016年に至るまで、情報産業界では「楽観的な事業投資」が

なされてきました。

その思想背景には、「ムーアの法則」などを基にした「事業推進加速力」がありました。

ところで、この「情報通信技術」の進展は短期間で急速な上昇力につながっていくことが

予想されるだけに、従来の人間の「知的能力」を超える「臨界点(特異点)」である

「シンギュラリティポイント」を見越した事業計画の必要に迫られます。

そのことを指摘したのが、人工知能の研究者でもあるレイ・カーツワイル氏です。

このような革新的時代になれば、旧来型の人間知性に依存し過ぎる「専門家の時代」

だけでは、不安定になることが予測されます。

常に「先を見越した縦横無尽な経営判断」の予測が立てられないと、

経営的にも非常に厳しい状況へと追い込まれてしまいます。

そこで、こうした「仮説的な未来志向」を学ぶ機関として設立されたのが、

冒頭の記事からもご参照して頂ける『楽観主義者の未来予測(上)』でも

ご紹介させて頂いた、レイ・カーツワイル氏主宰の「シンギュラリティ大学」です。

ここには、Googleの創業者であるラリー・ペイジ氏など未来志向の事業家が、

支援されているといいます。

さて、こうした未来予想図が、にわかには予測しがたい時代においては、

常に「仮説を立て、試行錯誤しながら検証し、確信していく」決断思考が

強く要請されます。

こうした「積極的(楽観的)仮説思考法」が駆動力となって、「未来経済」は

推進されていくのです。

その源流にある哲学思想が、これまでも当ブログの数々の記事でも

ご紹介させて頂きました「プラグマティズム(実践的科学仮説思考)」と

「複雑系科学」の組み合わせであります。

大阪弁で言うたら、「とにかく、やってみなはれ!!」(サントリーの鳥居信治郎氏)の

精神です。

アメリカは、18世紀以来のイギリス発祥の産業革命から後れて発展してきたこともあり、

「科学から技術」よりも、「技術から科学」の流れによって、経済界は飛躍的な進化を

遂げていったといいます。

本書で管理人が面白いなぁ~と感じた点も、「科学=基礎研究」、「技術=応用研究」との

簡易な二分法が、原アメリカ的な「DIY(自分のことは自分でやる)精神」を抑圧されて

しまったとの分析考察です。

こんなところにも、アメリカの「実験精神」をかいま見られて、大変勉強になりました。

アメリカにおける「プラグマティズム」の歴史もこのような精神風土から創発していった

といいます。

主に、4人のプラグマティストを例に詳細な解説もされています。

詳細な解説は、本書をお読み頂くとしまして、

日本でも成功哲学書として親しまれ『自己信頼』などの著作のあるエマソンに始まって、

パース(科学者・数学者)

プラグマティズムの元祖です。

ジェイムズ(心理学者)

前回の当ブログでご紹介させて頂いたスエロ氏のコロラド大学時代の恩師

ブライアン・マハン博士は、ウィリアム・ジェイムズの研究者としても

著名だそうで、ジェイムズは「心霊研究」にも積極的に科学的な研究として

取り組んでいたといいます。

このあたりも日本では、とても考えられないですが、

とにかく「不思議な現象」は是が非でも解明してやるとの信念は、

もっと見習いたい姿勢でもあります。

この姿勢が、「プラグマティズム」の長所でもあります。

ホームズ(最高裁判事)

日本の法学徒の間では、「思想の自由市場説」で著名な裁判官です。

表現の自由論では、「明白かつ現在の差し迫った危険」に該当する場合に

限定して、なるたけ「言論・集会・結社などの表現の自由」を幅広く

容認していこうとの論者としても知られています。

デューイ(教育心理学者・社会活動家)

デューイに関しては、その「革新的教育論」が保守派にとっては、

日米ともに評判が悪い人物でもあるようですが、本書で学ばせて頂いた

範囲では誤解も多いようですね。

主に、この4人のプラグマティストの思想が、現在の「シリコンバレー精神」の

跳躍哲学として活用されてきたようです。

本書には、ジェイムズの哲学的実践行動を、技術革新の導入した果てには、

「技術そのものにも霊性(魂)が宿る!!」との、あらたな「人工生命論」も

導出されてくるだろうとの、面白い未来予想図も描写されていますが、

なるほど「技術と霊性」という視点は、「盲点」でした。

「科学と神秘の接点」を探究する管理人にとっては、大変興味深いテーマでも

あります。

著者によると、『パース(科学的真理の探究)とホームズ/デューイ(政治的・

法的実践)の間を結びつける媒介役がジェイムズ(信心の肯定)である。』(本書291頁)

だそうです。

まとめますと、このように積極的な探求心を必要としてきたのが、

「シリコンバレーの航海精神」ということです。

プラグマティズムとは、別名「可謬主義(間違ってもいいので、とにかく前に進もう!!)」

との考えを尊重する思想哲学であります。

ここから従来の教育改善法として学ぶべき点があります。

それは言うまでもなく、「減点主義から加点主義への成績評価法の転換」です。

その意味でも、本書は「学びどころ満載」の好著となっています。

2045年の未来予想図とより良き予言成就に向けて・・・

さて、著者によると、現代は「二周目の近代」だと総括されています。

「二周目の近代」とは、言い古された表現ですが、

18世紀以来から20世紀末まで続いてきた「産業革命の時代」から、

20世紀半ばから21世紀現在まで現在進行形の「情報革命の時代」を意味しています。

前者「産業革命の時代」から後者「情報革命の時代」の大きな違いは、

常にやり直しながら創造的更新を目指していく「有機的経済」であります。

『複製(コピー)から変異(ヴァリアント)に制作の力点が移り、「成長」や

「時間」への関心が高まる。その上で、I o Tとして任意のモノに知性が宿っていく。

だとすれば、次に控えているのは、自律性をもつ機械からなる

「器官の時代(オーガン・エイジ)」だといえるのだろう。』(本書280~281頁)

とのことです。

そうした未来予想図を設計した上で、その実現に向けては、

あと30年ほど時間がかかる見通しのようです。

現在は、冒頭での自動運転車の試運転段階であり、「コトのモノ化」が

試行錯誤されている検証中の時期に該当するようです。

最終的には、「人間の機械化!?」なんて、SF作家や陰謀論者が描くような

「悪夢の時代??」と思いきや、現実的には多くの心理的・物理的・倫理的歯止めも

あるでしょうから、実際のところは、穏便な「人間と機械の共生」が実現するという

ところでしょう。

ですから、あまり変な方向で心配されたり、恐怖感を抱かれることもないと

思われます。

「技術との付き合い方」は、20世紀の歴史的教訓もありますので、

それほど人類は愚かな存在ではないと信じています。

ですが、悪用されないためには「慎重論」も最大限に尊重しなければなりません。

ですから、価値観は違っても、相互信頼感を時間を掛けてでも醸成させる

努力を積み重ねるとともに、誤解を解くことを厭うてはなりません。

それも、「可謬主義」の一部であります。

このように、より良き未来経済へ向けて、管理人も微力ながら

多様な角度から硬軟織り交ぜた書籍をご紹介していきながら、

独自の視点も含めた「思考する習慣」を皆さんとともに広く社会に

醸成していくお手伝いをさせて頂く所存ですので、

これからもどうか温かくお見守り頂ければ幸いです。

そのような熱い想いも込めて、皆さんの「集合知(智)」をお借りしながら、

より良き予言が成就するべく念じながら書かせて頂いています。

ということで、

この『<未来>のつくり方~シリコンバレーの航海する精神~』は、

大変面白く、現在の「情報経済革命」の最前線がわかる好著となっていますので、

是非ご一読されることをお薦めさせて頂きます。

なお、著者の別著として、

「ウェブ×ソーシャル×アメリカ~<全球時代>の構想力~」

(講談社現代新書、2011年)

「シリコンバレー精神」について、

「シリコンバレー精神~グーグルを生むビジネス風土~」

(梅田望夫著、ちくま文庫、2006年)

をご紹介しておきます。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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