キャロル・S・ドゥエック博士の『マインドセット「やればできる!」の研究』能力を開花させるマインドセットの力を借りよう!!

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『マインドセット「やればできる!」の研究』

スタンフォード大学心理学教授の

キャロル・S・ドゥエック博士が、能力を開花させる

マインドセットの力を伝授して下さいます。

昨今の教育手法に「ほめて伸ばす」がありますが、

育て方によっては、あまり芳しくないようです。

「能力そのものにではなく、成長という伸びしろに

着目した教育メソッド」こそ、潜在能力を引き出す。

今回は、この本をご紹介します。

『マインドセット「やればできる!」の研究~能力を開花させるマインドセットの力』(キャロル・S・ドゥエック著、今西康子訳、草思社、2015年第5刷)

2016年1月の直近に、「新装完全版」も出版されているようです。

これからご購入または読まれる予定のある方には、こちらの方をお薦めさせて頂きます。

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キャロル・S・ドゥエック博士(以下、著者)は、

スタンフォード大学心理学教授として、

人間の思考様式について、多角的な視点から

研究されてこられました。

世界的にも著名な心理学研究者だそうです。

さて、4月といえば、新入生や新入社員などの

あらたな門出が始まる季節でありますが、

教育という観点から見ると、先輩(先生)や新人の

双方に、相当な緊張感が強いられることになります。

それほど、「教育」ということは難問であります。

もともと、教育とは、「共育」とも表現されるように、

ともに学び、ともに育ち、成長する過程のことを意味します。

ところが、人間心理とは、複雑で厄介なもの・・・

ついつい、初心を忘れて、「立場」や「肩書き」といった

外形的判断で、接してしまう傾向にあります。

そのため、「コミュニケーション不足」が次第に積み重なり、

やがては、心身面で深刻な事態にも発展していきます。

近年の脳科学研究では、いわゆる「ミラーニューロン仮説」、

通俗的には、「鏡の法則」が知られるようになってきましたが、

人間心理は、相互を映し出す鏡であるようです。

ここから、人間心理には「伝染性」もあるとされ、

人間ひとりの個人的能力だけでは、立ち直れないほど

深刻な事態に陥ることもあります。

逆に、双方とも「より良き」共感覚でもって、ともに成長しながら、

相乗効果を共有し合える機会に恵まれることもあります。

そのように、人間心理とは、「二面性」があるようです。

本書は、そんな複雑な人間心理を様々な角度から、

長年月かけて研究されてこられた成果を一般向けに

わかりやすく解説されたものです。

皆さんの学校や企業での「新人研修」などでも、

ご活用して頂きやすい教材だと思います。

ということで、教える側・教わる側といった外形的立場に

とらわれず、どのような心理的方向性でもって

「マインドセット(思いの力)」を活用していけば、双方にとって

より良き方向へと飛翔していくことが叶うのかを、皆さんとともに

考察していこうと、この本を取り上げさせて頂きました。

「能力至上主義(精神的根性論)」一辺倒では、やがて深刻な事態にも発展しかねない!!

本書の内容構成は、以下のとおりです。

①第1章「マインドセットとは何か」

②第2章「マインドセットが違うとこんなに違う」

③第3章「能力と実績のウソホント」

④第4章「人間関係のマインドセット」

⑤第5章「親と教師:マインドセットを培う」

⑥第6章「マインドセットをしなやかにしよう」

ところで、最近では、世の軽薄な風潮や成果至上主義の

影響なのか、「やればできる!」を歪めたキーワードとして

「自己啓発書」などでは取り扱われているようです。

また、10数年ほど前には、日本のトップ層までが、

「やればできるは、魔法の言葉!!」と絶叫され、

多くの人々を白けさせてしまった事例もあるようです。

言葉そのものは、「中立的」に解釈出来ても、

その言葉が、どのような文脈で活用されるかによって、

良くも悪くも変化していくのが、

この「やればできる!!」には備わっているようです。

「ブラック企業」などでは、マイルドな心理操作技法としても

悪用されているとも聞きます。

そのような世の悪しき風潮に抗いながら、「王道」を地道に

歩んでいこうと静かに呼びかけるのが、当ブログであり、

本書の趣旨でもあります。

それはさておき、能力は「先天的(生まれながらのもの)」なのか、

「後天的(生まれた後の育ちによるもの)」なのかという古くからの

論争があります。

前者は、遺伝子学や脳科学などの「理系学者」に多いとされ、

後者は、教育学や心理学などの「文系学者」に多いとされているようです。

とはいえ、そのような「一般化」も出来ないとされています。

おそらく、真相は、その中間にあるのだと思われますが、

少なくとも、どちらの研究成果も無視し得ない知見ではあります。

但し、教育効果や、人生の幸福感などの観点からすると、

後者の立場の考えを主軸に、人生街道を歩むのが、

心理的にも良いだろうことは否めません。

いずれ、人間の「能力」が、どこかの地点で

厳しく「選別」されていくにせよ、人生とは「能力がすべて!!」では

ありません。

しかも、その「選別」は、あくまで、「他者評価」によるもの。

一番大切なことは、「本人の自覚と信念」といった「自己評価」であります。

言うまでもなく、「人間」は、その名のとおり、「人と人の間=社会」の中で

生きていることには相違ありませんが、最後は、自分自身との真剣勝負であります。

その際に、心の拠り所となるのが、「思い込みの力」。

とりわけ、どのような「志向性」と「イメージ像」をもって、

世に処していくかということであります。

それが、本書の「マインドセット」の考えにもつながってきます。

著者によると、人間には、便宜上わかりやすく二つのタイプが

存在するといいます。

もっとも、これは、ある程度の「心理的傾向性」のことであり、

実際には、この双方とも混じり合いながら、人間の性格は形成されています。

本書では、

①生真面目で頑なな完璧主義者の心理的能力を「こちこちマインドセット」

②時と立場と機会に応じて臨機応変に対処していける機会主義者の

心理的能力を「しなやかなマインドセット」として解説されています。

このように便宜的に区分けされながら解説されていますが、

現実の人間における心理状態は、

「スペクトラム傾向(虹の光彩のような多層構造)」で、絶えず揺れ動いています。

とはいえ、人間の生まれや育ちといった「生育(生活)環境」によって、

人間は、後天的にも日々「深層心理」が積み重ねられていくだけに、

複雑であります。

意識的に、心理調整することは、理性で考えるほど簡単ではないからです。

無意識の力が、曖昧模糊としているだけに、その時分における気分によって、

左右させられるからです。

本書でも、「抑鬱状態」の改善法の事例として、「認知(論理)療法」が

紹介されていましたが、人間は「理性」だけで、

複雑な心理感覚を抑制することが難しいだけに、限界もあります。

(本書219~223頁ご参照)

結局は、「内面の頑なな信念(悪い思いこみ)」を変えなければ、

「認知(論理)療法」では、如何ともなし難いようです。

本書では、「抑鬱」や「いじめ」などによって受けたトラウマ(精神的外傷)を

克服していくためのヒントも詳細に解説されていますが、

管理人の経験では、

無理に、自己心理を変化させなくても良いと思っています。

その意味で言うなら、「抑鬱」も「<悪い>思い込みのなせる業」と

考える必要もないのかもしれません。

というのも、最近の「抑鬱」との自分なりの接し方から考えると、

「友だち感覚」で生涯付き合っていくと決心した方が、

むしろ楽なのかもと思えるようになったからです。

もっとも、こんな心境は、抑鬱が「小康状態」の時期だけですが・・・

だから、専門医などが推奨する「積極的治癒法」には、

あまりこだわりすぎないようになりました。

この自分なりの、実験例では、「お天気療法」と勝手に名付けていますが、

この「お天気療法」は、「人生晴れたり曇ったり!!」をモットーに生き抜く手法の

ため、絶大な精神的効果があるようです。

また、現在の日々の「ライフワーク」が一定のリズムを維持してくれているようです。

もちろん、日によって、急激な「荒れ模様」も経験しますが、

その時は「お休み」させて頂くことにしています。

ところで、先程の「こちこちマインドセット」「しなやかマインドセット」ですが、

これも、著者が語るほど、極端に「何が何でも<こちこち>から<しなやか>に変化

させなければならない!!」と無理に思い込む必要もないだろうと、

個人的には解釈しています。

また、社会人として日々生き抜く過程では、著者も指摘されていますように、

必要以上に「他人の言葉や態度」を真に受けない方が「精神的リハビリ効果」も

あるようです。

著者によると、本書の最後の方で、

『マインドセットが変化するということは、ものごとの見方が根底から

変化することなのだ。』(本書263頁)と一応の「意味づけ」を

されていますが、時間をかけながら腰を据えた取り組みを強調されています。

ですから、タイトルにも掲げさせて頂きましたように、教える方も教わる方も

普段からの「対話」を大切にして頂くと、「不機嫌な職場」環境も

少しは改善されていくものと思われます。

従業員の心理状態を無視した指導法で、企業教育を推し進めていくと

結局は、物理的コスト(労災認定や社会的損害など)の点でも

重くのしかかってくるからです。

場合によっては、倒産に追い込まれたり、自他ともに路頭に迷わせる

ことにもなりかねず、悲惨な事態をも招きかねないからです。

このことは、「法と経済学」の研究成果からも明らかであります。

最近は、ひどい労務管理も多いだけに、法的・会計的な「短期利益」の

観点からだけではなく、倫理的な「長期利益」をも考慮した

「経営判断の原則」をお願いしたいところです。

そのことは、学校などの教育現場にも当てはまります。

「能力」査定に、「努力プロセス」を加味した柔軟な評価体制を!!

本書との関連に話題を戻しますと、

「やる気」を引き出す教育法に、

「能力そのもの」ではなく、「努力の過程そのもの」を肯定評価した方が、

成長度合は高まるようです。

ですから、著者によると、「あなたは、頭が良い、良く仕事が出来る!!」などと

いった、一見すると「肯定(好感)的表現」でさえ、

環境が激変した際には、相手を追いつめることにもなりかねず、

十二分に「教育的配慮」をされるよう呼びかけられています。

そのような「一般的・抽象的」なメッセージを発信するよりも、

「個別・具体的」なメッセージで、「仕事の中身(アイディアなど)そのもの」を

肯定評価した方が良いようです。

なぜなら、前者の「能力(結果・成果)」が、不安定なのに対して、

後者の「プロセス評価」は、不安定も踏まえたうえでの「体感的肯定評価」が

含まれていると考えられるからです

近現代的学校(企業)教育は、「理性偏重型記号教育」であるために、

なかなか共感覚能力や共進化能力を相互に高めるまでには至りません。

そのため、精神的・肉体的に脱落していく人びとが後を絶ちません。

結果として、全体の士気(モラール)も倫理観(モラル)も低下してしまい、

社会に多大な損害を与えることになってしまいます。

それと同時に、「管理」という考えが、21世紀現在すでに、

「適齢期」を過ぎているようです。

「他者評価」から「自己評価」へと、短絡的な流れではなく、

「相互評価」という「第3の道」も世の中にはあります。

すでに、大学教育においても、こうした「相互査定」は導入されていますが、

社会の直接的利害関係から「防御壁」が用意されている教育機関では、

多少は「自由裁量(安全装置)」を働かせることで、

相互に傷つく機会が軽減される工夫もなされているようですが、

「純利益」を追求する民間企業では、まだまだ「一方通行型査定」が

多々見られるようです。

このあたりの論考に入ると、本書の趣旨から外れていきますので、

今回はこれ以上深入りはしませんが、「会社は誰のものか??」という

現代的課題も、各自考察して頂ければ幸いであります。

このように、本書では、教育的観点から「やればできる!」の研究成果が

発表されていますが、ますます社会の流動性が高まっていく中、

「自己評価」の重要度もいや増しに高まっていくことでしょう。

そうは言っても、「自己評価」は、「甘くなりがちなもの」ですから、

何らかの「精神的歯止め」も、「内面」に組み込む知恵と工夫が

必要となってきます。

つまりは、「絶えざる自己学習の繰り返し」が、「やればできる!」の

原動力になるということです。

昨今、「努力(修養)論」は、時代遅れとされ、目に見える「功利」だけが

ひたすら追求されていく中で、どうすれば「自己充足感」が得られるのか、

また、「努力(修養)論」自体が、悪用されていく中で、

いかに自らの精神的危機を回避していくべきか、

その知恵と工夫も問われています。

まとめますと、この「やればできる!」も「他者評価」視点からの見方に

偏りがちなために、この言葉そのものが「無責任な言説」に転化しやすいという

特徴があるようです。

自らの視点に置き換えた、自己暗示効果として「やればできる!」を活用すれば、

相当な威力を発揮してくれるのも確かですが、

これも、「甘い自己評価」という「認知バイアス(メタ認知限界問題)」が

あるために、なかなか難しいようです。

まさしく、「やればできるは、魔法の言葉!!」というところで、

話の「オチ」になってしまいましたが、

それだけに、この言葉にはご用心といったところでしょうか・・・

いずれにせよ、「自己(他者)目標」と「現時点における自己能力」とのズレを

いかに克服していくのか?

ここに、「社会」人としての「人間」の難しさ・悲しさが含まれていることは

確かなことであります。

本書には、そんな「人間」の様々な悩みを解決してくれるヒントが満載です。

その意味で、「教育的配慮」のあるマインドセットの教科書です。

管理人も、学生時代やサラリーマン時代、また絶えざる自己学習といった

自他ともにする「教育手法」に日々悩んでいるだけに、

「自信喪失からの脱却術」については、ことさら興味関心があるテーマです。

「人を教え導くことは難しいこと」ですし、ましてや、

「自己教育は、なおさら険しい道」であります。

管理人も、今後とも精進を積み重ねていく所存ですが、

皆さんも、この「絶えざる自己教育」が大切になってくる中、

良質な「自己啓発書」として、本書をご活用下さることを

お薦めさせて頂きます。

なお、「マインドセット」について、

未来予測の観点から学びたい方には、

「マインドセット~ものを考える力 未来を読むための11の法則~」

(ジョン・ネスビッツ著、本田直之監訳、門田美鈴訳、

ダイヤモンド社、2008年)

もご紹介しておきます。

※「未来予測」は、言うまでもなく難しいですが、

この混迷状態にある時代に、どのような視点を持てば、

「自己モチベーション」を高めながら、日々を有意義に

過ごしていくことが出来るのかを考えさせてくれる本です。

こうした「ライフハック(生活の知恵)系」に

ご興味ある方には、お薦めの1冊です。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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