諸富徹先生の「私たちはなぜ税金を納めるのか~租税の経済思想史」今一度、「代表なければ課税なし!!」の意義を確認しよう!!

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「私たちはなぜ税金を納めるのか~租税の経済思想史~」

諸富徹先生が、世界の租税史から見た国民経済思想の変遷や、

今後の国際経済における課税政策の動向などを、

解説されています。

先週末に、「伊勢志摩サミット」が閉幕しました。

サミット前からも総理ご自身の発言内容に

注目が集まっていましたが、意外な結末で、

驚いておられる方も多いことでしょう。

消費増税再延期!?

今回は、この本をご紹介します。

「私たちはなぜ税金を納めるのか~租税の経済思想史~」   (諸富徹著、新潮選書、2013年)

諸富徹先生(以下、著者)は、現在、京都大学大学院経済学研究科教授の他、

同大学公共政策大学院教授も務めておられる若手の有力研究者です。

ご専攻は、財政学や環境経済学であり、特に、「環境政策と租税理論」に

造詣が深い研究者です。

著者は、今回、本書にて、租税の経済思想史や進展していくことが予想される

今後のグローバル課税政策や金融取引税についても詳細に解説されています。

ことに、上記の京都大学公共政策大学院は、過去に前日本銀行総裁の

白川方明氏などとも縁が深く、日本政府の政策立案形成にも多大な影響力を及ぼすと

見られているだけに、現下の有力研究者がどのような見方をされているのかを

知っておくことは、今後の行く末を分析考察していくうえでも有意義な作業かと

思われます。

ところで、先週末、世界が、日本の指導力発揮に期待の目を向ける中で、

「伊勢志摩サミット」が閉幕しました。

その中でも、特に注目されていた提案内容に、

タックスヘイブン(無税天国!?)に対する

「課税逃れ(租税回避行為)」防止対策案や

自律的な「財政政策」運営、

「金融政策」の適度な規制ある運営など、

総じて、「社会的安全網(セーフティーネット)」構築へ向けた提言で

もって、一応の合意に達した「宣言」が世界に向けて発信されました。

「伊勢志摩サミット」の評価に対しては、賛否両論もありますが、

その中でも意外な展開だったのが、消費増税「再延期」を総理ご自身から

国内発表に先駆けて、世界へ発信されたことです。

政局動向や総理ご自身の常日頃の言動を追跡調査されておられるマスコミ関係者や

批評家なら、ある程度の事前予測もついたのでしょうが、

一般国民にとっては、これまで、総理が強く「再延期は行わない」と

明言されてこられただけに、「意外」な展開に驚かれた方も

多かったものと推察します。

管理人もこれまで、当ブログで経済関連の書籍のご紹介とともに、

追跡研究してきただけに、より一層感慨深く思われました。

ここでは、「一般的」な政治批評は、本書紹介の主題とも離れていきますので、

なるたけ避けさせて頂こうと思いますが、

一般国民の印象では、とりあえず「ひとまず安心!?」といったところでしょう。

とはいえ、租税政策論を「政争の具」として、

「その場しのぎの安易な決着」として済ませればよいという訳にも参りません。

現在、日本では、「税と社会保障の一体化」の方向で、改革も進められてきただけに

租税財政体系構築にも「財源」面で、大きな「穴」を空けてしまうのではないかと

一部では、懸念の声もありますので、無視し得ない論点であります。

「財源論」については、後ほど、本文内でも若干分析考察していく予定ですが、

今回のテーマとの関連では、「租税政策の行く末=民主主義の成熟度」とも重なるだけに

慎重な検討が望まれるところであります。

「近現代革命」の原点にも、「租税政策の方向性を巡る深刻な闘争劇」が

繰り広げられてきたことは、皆さんもご存じだと思います。

「代表なければ課税なし!!」

「(国王=君主)は、君臨すれども統治せず!!」などなど。

「近現代」の短期間に限らずとも、有史以来、人類の個別生活にも

強く影響してきただけに、「納税意識」にも、様々な思惑が積み重なってきました。

ということで、今回は、今もっともホットな話題でもある「租税思想」について

本書を紐解きながら、皆さんとともに考察していこうとの趣旨で、

この本を取り上げさせて頂きました。

「代表なければ課税なし」は、重く尊い「宣言」です!!(「民主主義原論」と絡めて考える)

本書内容の要約をご紹介しておきますね。

①「第1章 近代は租税から始まった-市民革命期のイギリス」

※古来より、税金は、戦争などの絶対権力と関係してきたこと。

本書では、「近代」以後に限定された「租税の経済思想史」では

ありますが、「権力移動の推進力」として、「租税論」が常に

綱引きの対象とされてきた模様が、わかりやすく提示されていきます。

特に、この「租税論争の綱引き効果」の論証については、

本書でも紹介されている「創造的破壊論」で有名なジョゼフ・シュンペンター

『租税国家の危機』が古典的名著であります。

(本書14~25頁ご参照のこと。)

イギリスの名誉革命によって、権利章典とともに有名になったテーゼが、

冒頭でもご紹介させて頂いた文句。

「代表なければ課税なし」

「国王は、君臨すれども統治せず」といった

近現代社会を成り立たせる暗黙の合意内容が確立されました。

意外にも、「消費税」の方が、「所得税」の発生よりも早かったようです。

イギリスの海洋政策(自由貿易という名の帝国主義的保護経済政策)には、

その対象となる植民地側からの「圧政への抵抗」がありました。

今日では、「新自由主義」の陰に隠れてしまって真意が

意図的に無視されているかの現状にあるアダム・スミスですが、

優れた「見識」を持っていました。

そのアダム・スミスも、消費税「反対」論者であったことは

もっと、世に知られてもいいでしょう。

(本書49~56頁は必読です。)

ここでは、俗称『国富論』が取り上げられていましたが、

道徳情操論』もご一読されたい古典的名著であります。

この他、「近代革命思想」の原理を創造したロックホッブズ

思想も、「租税論」と絡めて解説されていますが、

アダム・スミスも含めて、この「近代」の黎明期には、

「自由主義思想」の長所である「自主的納税倫理(納税者としての<権利>)」、

つまり、英語風に言うと、

「As  a  Taxpayer(アズ・ア・タックスペイヤー=納税者として)」

といった「権利者」意識に、より重点が置かれた「納税哲学思想」が

大いに議論されていたことは、21世紀を生きる私たちも忘れてはいけない

論点であります。

(この論点は、最重要テーマですので、後ほど、再度、検討し直します。)

ちなみに、「アメリカ独立革命」の世界史的意義については、

こちらの記事もご一読下さると幸いです。

②「第2章 国家にとって租税とは何か-19世紀ドイツの財政学」

※こちらは、日本の明治政府指導層に多大な影響を与えた

ドイツ財政学の三巨星の1人と目されるロレンツ・フォン・シュタイン

アドルフ・ワーグナーの「租税論」や「国民経済論」の紹介がされています。

とりわけ、ヘーゲルなどのドイツ公法学(制度思想)は、

今日でも日本の「社会福祉制度思想の<原点>」と解釈されているように、

今では、英米系の「新自由主義思想」に押され気味で、

「赤字削減」の面だけが、クローズアップされていますが、

もともとの「救貧施策」の原点には、深刻な「階級対立」といった

社会混乱を予防する大切な理念が組み込まれていたこともあって、

再評価する時期でもあります。

ドイツの社会制度改革は、後発的資本主義国としての立地条件から

常に、「自由主義」と「社会(共産)主義」の激しいつばぜり合いの過程で

制度設計・運営がなされていきました。

この「社会改良」思想は、漸進的な「社会主義」を伴うものであり、

後のイギリスにおけるフェビアン社会主義(イギリス労働党の「民主」社会主義にも

影響を与えた)や、現代経済学の「福利厚生」経済学の父ケインズ思想にも

多大な影響力を及ぼしたと見られているだけに、

今こそ、「原点」に立ち返った実りある議論を展開してもらえるヒントとして

ご一読して頂きたいテーマであります。

とりわけ、上記シュタインの「パリ留学の衝撃」を受けた模様は

再び、世界で「底辺競争」が促進されていく流れにある中で、

これ以上の多くの犠牲者が、生み出されないようにするためにも

確認しておきたいところであります。

当時のパリは、「急進的」な社会(共産)主義のメッカだったようですが、

現代フランスの「左派」トマ・ピケティ氏の「グローバル課税論」にも

見られるように、今後の「グローバル課税論」をバランスよく考案していく

手がかりとしても見つめておきたい場面です。

確かに、「悪質」な租税回避行為には、厳正なる処置が必要でありますが、

極端な方向へと突き進んでいくと、「自由の剥奪」にもつながりかねないだけに、

慎重な対応も望まれるところであります。

かえって、さらなる「階級闘争」にもつながり、世界に「大厄災」が

再び訪れるとも限らないからです。

この点は、管理人も心配性なのです。

「広く薄く」網をしかけるとともに「透明性(公平性)」の担保も必要であります。

そのあたりは、本書の「第6章」「終章」とも関連するテーマであります。

シュタインも1841年から3年ほど、パリに留学していたようですが、

日本との関連で言うと、管理人の母校の創設者でもあり、

「最後の元老」として知られ、第一次世界大戦後のパリ講和会議の「首席全権大使」

としても活躍された西園寺公望も若き日に「パリ留学」されています。

そこで見たものは、「パリ・コミューン」(1870年代)の

過激な「階級対立闘争」でありました。

このような深刻な状況を避けるためにも、ドイツと同じく後発国であった

日本でも早期の「社会福祉制度」の導入が待ち望まれていたところです。

現代に比べれば、もちろん、「自由主義」的要素の強かった時代で、

「社会福祉」も「恩典」扱いだったかもしれませんが、

そのような近視眼的見方は今の価値観で過去を安易に裁く「愚」であります。

昔の人の苦労に思いを馳せることが出来ない「想像の貧しさ」であります。

本書を読み進めてきて感じ、学んだことも、拙速に重要事を進めていく

危険性や困難さでありました。

(本書67~100頁は必読です。)

ですから、不平不満はあれども、前向きに一歩ずつ着実に「制度<改良>」を

推し進めていくしかないという当たり前の「現実」を直視することから

「生産的」議論を進めていく視点が大切だということは強調しておく必要が

あります。

③「第3章 公平課税を求めて-19・20世紀アメリカの所得税」

※イギリスの植民地から「自由解放」を求めて立ち上がっていった

アメリカ人には、もともと「独立革命の<理念>」の最上位に

「租税思想」が組み込まれていたようです。

アメリカの政治経済思想史と言えば、目下の大統領候補者の思想を

鑑みても、ご理解頂けるかと思いますが、「租税観の違い」が

絶えず、政治における「争点」ともなってきました。

「保守(共和党)」か「リベラル革新(民主党)」を問わずに、

経済的な貧富の差が、それぞれの政策背景思想にはあったといいます。

「保守」でも、こと「経済政策面」については、

「革新層」もいたことは、あまり知られていません。

これは、「中央銀行(連邦準備制度)問題」の「信用度」を巡っての争いとも

絡むだけに、現在でもしばしば熱い論争が展開されています。

これを、一般国民の「納税者」としての立場から見ると、

「共和党」も「民主党」も、「金権マシーン!?」に成り下がってしまったとの

根強い不信感から、「第3の道」を提唱する候補者に支持が集まっているようです

それが、次の④とも絡む「富の共有化運動」であります。

「陰謀論」としての不透明な解釈ではなく、実際の民衆の意識的行動史と

精確な「経済思想史」研究者の目で確認しておきましょう。

そのことで、アメリカでは、「所得税制度」導入の「裏面史」には、

慎重な動きがあったことも見えてきます。

「源泉徴収制度」に根強い「反対意見」が強いのも、「第1章」のテーマとも

関連する「自主的納税倫理観」に反すると直感的に思われているからのようです。

日本では、後ほど、項目を変えて検討する予定ですが、

「義務者」としての納税者の側面からでしか、

これまでイメージされてこなかったようですが、

こうした英米社会における「権利者」としての意識からも学び取りたいものです。

④「第4章 大恐慌の後で-ニューディール税制の挑戦」

※このように、アメリカでの「所得税」制度の導入は意外にも遅かったことが

判明してきたわけですが、第一次・第二次の「戦間期」を通じて、

深刻な状況が炙り出されていった「階級格差」から「世界大恐慌」への

「地獄の道」を突き進んでいく過程で、「義務化」の議論が

指導層の間で次第に高まっていきました。

それが、至上名高い「ニューディール政策」です。

この政策も、今日では、特に「保守層」の間では評判が悪いですが、

この政策に急進的な側面があったことは、事実だとしても、

こうした「公共政策」が、一般国民の生活を、

ある程度まで、「救済」していくことにつながっていったことは、

公平な観点からも再評価しておかなくてはなりません。

ただ、この「急進的」な面が、「リベラル革新層」の間でも、

「義務者」よりも「権利者」といった「自主申告」を重んじる

アメリカ人の間で、「第3の道」が支持されていったようです。

それが、21世紀現在の状況とも絡んでくる「ポピュリズム路線」を

掲げたヒューイ・ロング旋風でした。

管理人は、ここに、細かい点では、相違点も多々あれど、

トランプ現象と似たものを感じ取りました。

要するに、「エリート特権階層」は、イマイチ信頼の置けない存在だと。

とはいえ、この「ポピュリズム路線」も、日本では「大衆迎合主義」と

手垢にまみれた「悪訳??」がなされてきたこともあり、

「知識人」の間では、評判も悪いようですが、

こうした一般民衆の感情や背景思想を見失ってしまうことの弊害の方が

大きいので、慎重な論評が必要であります。

現に、日米ともに、今後の政策を巡って、深刻な懐疑的風潮も

出てきているために、ここは精確に「第3の道」路線が現れ出てきた

背景事情を確認しておく必要があります。

ところで、この「ニューディール政策」などの教訓が、

戦後の世界経済秩序形成にも寄与しています。

それが、ケインズなどの知見が実践面でも影響を与えた「ブレトン・ウッズ体制」で

あります。

この長らく続いた「固定相場制度」が、日本の「高度経済成長期」とも

重なっているだけに、現代の「変動相場制度」下における「為替介入調整」の

「水面下」でも意識しなければならない「制約」となっています。

つまり、極端な「介入」が、かえって、「不自然」な値動きを誘導するなどといった

批判があります。

だからといって、まったく「介入」なしで、困難な時代を楽々と乗り切ることも

出来ないでしょう。

⑤「第5章 世界税制史の一里塚-21世紀のEU金融取引税」

※前章における戦後の経済的帰結から浮かび上がってきたテーマが、

「金融政策」の不安定さと「金融」が「実体」経済に深刻な影響を

与え続けてきた点であります。

ここから、過度な「金融」の不安定さから、「実体」経済(とりわけ、国民経済)を

守ろうとの動きが出てきます。

しかも、現代資本主義経済は、まだまだ、

「規模の経済(活動範囲を拡張していくことで、利潤を増加させていく)」といった

経済行動がありますので、経済領域についても、

従来型の「狭い枠内」である「国内圏」だけで、自国内経済を支えきれるものでは

ありません。

そうしたことから、ヨーロッパでは、「共通経済圏」といった拡大路線へと進展。

今日のEUの経済思想へ発展していきましたが、

現在のイギリスの離脱問題とも絡んで、「国際」経済よりも、

まずは、「国民」経済を取り戻すことが先決だとの、一般国民層の

「突き上げ」からイギリスの指導層も困惑しているようです。

イギリスは、「ロンドンシティー経済」といって、「世界の金融市場」の

トップを担える地位にはあるのですが、アメリカと同様に、

これまで、あまりにも「金融」に依存してきたツケなのか、

「実体」経済という自国産業基盤が脆弱になっています。

そのことが、アメリカでも、トランプ氏の過激な発言ともつながっているのでしょう。

自国民の「生存確保」は、今や、どの世界でも共通する最大テーマであります。

かといって、このような「焦り」に振り回されるだけでは、危険度も

より一層高まるばかりで、不安定になる一方であります。

まずは、各国の現地住民の声を真摯に傾聴することで、

利害対立が深刻にならない方向性を探っていく必要があります。

こうした経済地盤の不安定さから、「国民」経済を守りきるために、

「金融取引税」が話題になっています。

⑥「第6章 近未来の税制-グローバルタックスの可能性」

※上記の「金融取引税」は、現在、世界経済を震撼させる

「租税回避行為」とも絡みます。

いかに、世界規模での「経済安定性=経済民主化」を実現させていくべきか、

その見通しの中で、著者も、「グローバルタックスの可能性」を

分析考察されています。

⑦「終章 国境を超えて」

※このように、本書では、「租税観(租税を通じた経済思想観)」を

探究してきたまとめとして、「財源調達手段」としての側面だけで

完結することのない、「政策課税」としての租税論を展開されています。

とりわけ、著者のご専門である「環境税制」とも「金融取引税」の

アイディアは「外部不経済の内部化(要するに、「負」の経済的成果物を

外部に垂れ流すことなく、最初から防壁を構築したうえでの安全経済圏の確立のこと)」

という観点(詳細は、本書215頁ご参照のこと)でも共通することになるので、

今後の世界的な「包括課税体系」の構築進展の方向性には、

注意を払っておく必要があるようです。

但し、著者も本書で強調されてきましたように、

私たち一般の「非富裕層(99%と表現される方もいますが・・・)」にとっては、

簡単に「国境」を乗り越えることも難しい「現実」が前に広がっています。

著者は、これからの「金融」を始めとする経済グローバル現象を民主的に

「直接」監視していく処方箋を提示されていますが、

これまでも散々な「現実場面」を見せられてきたこともあるなど、

国際政治における「国際機関」の「民主的」改革も遅々として進まないだけに

「楽観論」は禁物です。

だからといって、「悲観論」も禁物であります。

まとめますと、「民主主義」の成熟度も、「ゆっくり進む者は、確実に前進する!!」を

合い言葉にしながら、冷静に築き上げていく積極的姿勢が要求されるということです。

「通貨発行特権」の行使(100%マネー経済)で、「経済民主化」に挑戦する視点とは??

さて、本書から「租税の経済思想史」の概要と、

納税者意識にも、「義務者」としての立場だけではなく、

「権利者」としての立場から考察していく必要性を学んできました。

ここからは、残り少ない紙数で、本書でも提出されていた

「金融(為替)取引税(トービン税)」と今後の「通貨制度改革」とも

絡めた、あらたな租税制度改革案として、ある実業家の発想と憲法的視点から

考察していくことにします。

まずは、「トービン税」から。

「トービン税」とは、1981年にノーベル経済学賞を受賞した

経済学者ジェームズ・トービン氏の名にちなんで付けられた

「金融取引税」一般に対する通称のようです。

現在の「変動為替相場制度」下での、「金融取引」は、

短期的な超高速取引でもあり、先を予測することが困難であります。

つまり、「リスク取引(計算可能性は高い)」から

「不確実取引(計算可能性が低い)」へと進展してきたことから、

もはや「金融」経済自体が、「実体」経済の補助装置ではなく、

「投資」効果よりも、「投機」効果の方が、より高まっています。

そのために、従来のような、単純な「為替介入」では、自国通貨も

いとも容易く「目減り」するなど、リスクヘッジ(危険性回避)機能も

あまりうまく働いてくれないとの指摘があります。

にもかかわらず、現状では、「金融」取引が、「実体」取引よりも

優遇されていると考えられている税制になっています。

そこから、「投機」度数も高まり、「実体」経済にも多大な「損害」が

発生してきているところから、この「金融(為替)取引税(トービン税)」が

考案されてきました。

発想自体は、すでに「古典」の領域にありますが、

かつてのバブル経済期に、日本でも不動産「地価」税とともに、

取り上げられたことのある税制案であります。

「資産バブル」にも対応できる「優れもの」と考えられています。

(本書では、211~220頁あたりをご参照のこと)

それでは、このような「投機」的取引から、「実体」経済である

私たちの「国民経済(国富)」をいかに守るべきでしょうか?

ということで、ここに、現在は「日本人」でいらっしゃる

陽気かつ賢い「実業家」のビル・トッテン氏のアイディアを

ご紹介しておきましょう。

内容は、現在の「アベノミクス」のうち、

「第1の矢(未曾有の大規模な量的金融緩和)」と

「第2の矢(柔軟で機動的な国債発行依存型の財政政策)」よりも、

はるかに「リスク」が少ないようです。

また、現在のところ、政府の統制下に日本銀行を従属させていく方法論よりも、

腐敗(利益相反)状況も生じにくく、大変優れた見解のようです。

当記事末の参考文献にも掲げさせて頂きます、現在「売れっ子」の

三橋貴明さんの先をも行くような「先進的アイディア」のようであります。

両者に共通する視点は、ともに「実業家の目」であります。

『専門家支配から国民主導へと「経済主権」を取り戻そう!!』がモットーです。

もっとも、「専門家」が不要などと言っているわけではなく、

専門家の見解や理論構築から導き出されてきた実際の「政策内容」に

大きな問題はなかったかと、厳しくチェックしていく視点が必要だということです。

これまでのところ、やはり、「学者的」見解には、

「実業的」視点があまりにも欠けていたせいか、「理論先行」のところが

多々あったようで、それが、現下の政策の「足枷」にもなっているようです。

「政治家」は、「官僚」や「学者」とは異なり、

直接、一般国民との接点も多いはずでしょうから、「優れた嗅覚」が

大切になってきます。

しかも、「政策変更」するにせよ、説明責任が発生します。

そこが、マックス・ヴェーバーの論を持ち出すまでもなく、

「政治家」と「学者」の分水嶺であります。

総理も、消費増税「再延期」の指示を出された今だからこそ、

デフレ脱却の「最終局面」へ向けた提案を

ビル・トッテン氏のアイディアからご紹介させて頂きます。

内容の詳細は、記事末参考文献を是非ご一読して頂きたいのですが、

要点だけを、ごく簡潔にまとめておきます。

要するに、「実業重視」と「民主的統制(経済民主化)」と「投機抑止論」

の3本柱から成り立っています。

かなり、斬新で「革新」的アイディアなので、一驚する場面も

出てきましょうが、内容は筋の通った「貴重かつ有益な論考」であります。

まず、「税制改革案」の中身とは、

現在の「消費税」、「個人所得税」、「法人税」、「相続税」などの

国民生活に直結する、いわゆる「生活必需税」の「即時廃止!」と、

「地価税」、「株式売買税」、「外国為替取引税」などの、

いわゆる「奢侈(ぜいたく)税」の「新設!」」であります。

また、「通貨制度改革案」では、従来型の「国債」依存度を減らしていく

方向性を推奨する「政府紙幣」などの「通貨発行特権」をフル活用した

「100%マネー」の活用をご提案されています。

管理人も、学生時代から、小室直樹博士や、高橋是清高橋亀吉

リチャード・クー氏などとともにビル・トッテンさんのアイディアには

親しんできましたが、ここまで「通貨発行特権」を重視される論者は

少なかったようです。

現在のアベノミクスの方向性も「国債」の日銀による「全額引受け」と

連動させた「未曾有の量的金融緩和」ですが、

現在の処方箋では、景気の動向も不安定になる要素があると指摘されています。

どうも「資産バブル」を招きやすいようだと・・・

もっとも、公平を期して、現在も諸般の事情が複雑に入り組んで、

「デフレ脱却」を完全に果たし終えていないので、

その「結果論」のコメントも、しにくいのですが・・・

管理人は、専門家と違って、一国民の素人感覚しか持ち合わせていませんので、

優等生的な姿勢から、慎重に抑制しながら論評させて頂くことにします。

詳細は、本書に委ねさせて頂きますが、厳正な「民主的統制」下における

「国民」のための「経世済民」思想でもって書かれた「建白書」であります。

なお、課題を残してしまいましたが、

「憲法的視点」から見た分析考察は、紙数の関係上、下記のご参考文献などを

ご一読されながら、各自探究してみて下さい。

一点だけ強調させて頂きたいことは、

「私たちは、何のために税金を納めるのか」を、

各自真剣に考えていかなければならないということです。

「戦争」や「貧困」抑止のためにも、身近なところから

「主権者(社会)教育」という独習も進めておく必要があります。

「すべては、自分のためであると同時に他人のため」でもあるからです。

まさに、本書のテーマですが、社会参加費用として、各自の担税能力に

比例した「応能負担」は負わなければならないことは、社会的「責務」だとしても、

何も意識して考えなければ、単なる「義務感情」から嫌々「納税」することにもなり、

やがては、心理的な「租税回避行為」へと間違った道を歩み始めることにも

つながりかねません。

もちろん、「悪質」ではない「合法的節税」なら「権利」として容認も

されていますが、まずは日頃の「お金の使い方・使われ方」を自覚確認するうえでも

「権利者」としての納税者という視点は是非とも持っておきたいものです。

それが、「自主的納税倫理=確定申告制度」の原点でもあります。

今後、ますますテクノロジーによる「機械処理」が進展していくと

予想される中で、原理的思考を養っておくことは、

皆さん自身の「民主主義観」にも直結します。

そこに「憲法的視点」が役立つ理由があります。

今回は、このあたりで筆を擱かせて頂きますが、

今後とも皆さんにとって、有益な書籍をご紹介させて頂く所存ですので、

皆さんにおかれましても、健全な「納税者意識」を育てていって頂くことを

お願いしつつ、本書をご一読されることをお薦めさせて頂きます。

とにかく、「悲観論」は払拭していきたいものです。

ともに、極端な「楽観論」や「悲観論」に惑わされ、

誘導されることなく、「中道路線」を堅実に歩んで参りましょうね。

なお、三橋貴明さんの

「日本人がだまされ続けている税金のカラクリ」

(海竜社、2012年)

ビル・トッテンさんの

『アングロサクソン資本主義の正体

~「100%マネー」で日本経済は復活する~』

(東洋経済新報社、2010年)

『課税による略奪が日本経済を殺した

~「20年デフレ」の真犯人がついにわかった!~』

(ヒカルランド、2013年)

(ついでに、ビル・トッテンさんの「株式会社アシスト社」様も応援しておきますね。)

ビル・トッテンさんの「個人ブログ」は、こちらから。

小室直樹博士の

「消費税は民意を問うべし~自主課税なき処にデモクラシーなし~」

(ビジネス社、2012年)

「悪の民主主義~民主主義原論~」

(青春出版社、1997年)

「日本を滅ぼす消費税増税」

菊池英博著、講談社現代新書、2012年)

「増税が国を滅ぼす~保守派が語るアメリカ経済史~」

(アーサー・B・ラッファー他著、村井章子訳、日経BP社、2009年)

※アメリカのレーガン大統領時代の「レーガノミクス」の

税制案として急浮上してきた「ラッファー曲線」で著名な経済学者などが

「増税」の「負」の側面を検証されています。

とはいえ、プロのエコノミスト業界では、評判も悪いとのことで、

どこまで「真実性」が高いのか、その「レーガノミクス」自体の

評価も分かれ、中途終了した政策でもあったことから、

今でも、その実現度合については、百家争鳴であるようです。

参考までにということです。

最後に、こうした「ちょっと過激??」な提言では(ないと思いますが・・・)、

上記の一般向けビジネス書ではなく、学者(中でも、税法学者)の

好著をご紹介しておきます。

特に、日本では、憲法30条の文言自体「義務」の側面しか謳っていないために、

何かと誤解もあり、解釈にも多様な幅が指摘される中で、

早くから「権利者」としての「納税者意識」の観点から研究されてこられた

お2人の研究者をご紹介しておきます。

(ちなみに、憲法の文言確認は、こちらの「総務省法令データ提供システム

サイトからご確認下さいませ。)

「納税者の権利」(北野弘久著、岩波新書、1981年)

「よくわかる税法入門 第10版」(三木義一著、有斐閣選書、2016年)

をご紹介しておきます。

※懐かしいですなぁ~、母校で教鞭を執っておられた税法学者ですが、

難しい「税法理論」をあるべき法制面の観点から、

わかりやすく解説されてこられたことで、定評のある好著です。

これからのあるべき「税理士」像で悩んでおられる

若手の税理士(候補者)さんにもお薦めの1冊であります。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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