『寅さんに学ぶ日本人の「生き方」』世の中、銭金、勝ち負けだけじゃ哀しい!!寅さんの心を語り継いでいきましょう!!
『寅さんに学ぶ日本人の「生き方」』
2015年現在、年々歳々「寅さんの心」が
世の中から忘れ去られようとしています。
「義理と人情」
それは、世知辛い生き方の代名詞でもありますが、
これなくして人間に生まれた深い喜びを味わえないのも
事実のようですね。
世の中が、目に見える価値基準だけで評価されていく時代・・・
安定感が失われていく不安やおそれに襲われる時代こそ、
「フーテンの寅さんの心」にあやかりたいものです。
今回は、この本をご紹介します。
『寅さんに学ぶ日本人の「生き方」~世の中、銭金、勝ち負けだけじゃ哀しい~』(志村史夫著、扶桑社、2008年)
志村史夫さん(以下、著者)は、長きにわたり半導体結晶の研究に
勤しんでこられた研究者です。
研究の傍ら、理系・文系の分野にとらわれずに
一般向けの啓蒙書を数多く手がけてこられました。
そんな著者が、敬愛されている人物が3人いるそうです。
「アインシュタイン・夏目漱石・フーテンの寅さん」です。
共通しているのは、世間を超越した孤高の歩みを生きたことです。
2015年現在、世界ではあらたなる大激動のうねりが、
日本にもひしひしと押し寄せてきているようです。
このような閉塞感に覆われた時代を、いかに「飄々と」生き抜いていくのか?
皆さんにおかれましても、興味関心を集められているテーマだと思われます。
「風天」
山田洋次監督の映画「男はつらいよ」で寅さんを演じられた
渥美清さんの俳号でもあります。
安定から不安定な時代転換・・・
このような大変革期をうまく乗り切る「生き方のコツ」とは?
安定した時代における思考法を上手に手放すことから始まります。
渥美清さんは、寅さんと同じような人生を送られたといいます。
「愛と勇気だけが友達さ!!」(アンパンマンのテーマ曲)
寅さんも、旅に生きる孤独な中で「義理と人情」を大切にしながら、
人々の愛に触れ、勇気ある一生を送りました。
この昭和の日本人に親しまれた「寅さんの心」を、これからも
語り継ぎたい・・・
何が起きるかわからない世の中だからこそ、皆さんとともに
「寅さんの心」を共有したくて、今回はこの本を取り上げさせて頂きました。
愛に生きた「フーテン」の寅さん
寅さんは、東京葛飾柴又の帝釈天の門前町で生まれ育ちました。
管理人は、未だ「男はつらいよ」の全作品を観賞していないので、
細かい描写はよくわかりません。
この本で、初めて全48作にもなることを知りました。
ちょうど、1995年の12月で終了しているようですね。
渥美清さんご自身も、翌年にお亡くなりになっています。
本年で、20年になります。
この20年間は、「寅さんや渥美清さんのいなくなった20年」でも
ありました。
世の中から、次第に活気が無くなりゆとりも失われていく・・・
まるで、その「危機の20年」を予兆するかのような旅立ちでした。
来年以降は、どうなっていくんでしょうか?
是非とも、明るい新年を迎えたいものですね。
皆さんも、年末年始「男はつらいよ」シリーズで
「活」を入れてみてはいかがでしょうか?
さて、寅さんは「旅に生きた」人生を送りました。
「旅人」は、気楽に見えて哀愁に満ちた人間でもあります。
「風のごとく来たりて、風のごとく去る」
管理人の人生のモットーでもありますが、多くの日本人にとっても
昔から「理想的な生き方」とされていたようです。
現実は、なかなか「飄々と」生きることもままならないのですが・・・
「人生はご縁により生かされる」
というように、自分のあずかり知らないところで「動かされている」ようです。
意識して人生を過ごそうと計画したところで、風の吹き回し次第で
右へ左へ転々と転がされてしまいます。
世知辛いしがらみからの脱却を願っても、人は一人で生きることは
許されないようです。
誰しも心の奥深い場所には、他人にはうまく伝えることの出来ない
「孤独」を抱えているものです。
だからこそ、より一層「愛が欲しい!!」という渇望感に
悶え悩まされるのが人間の本当の姿のようです。
寅さんは、終生「プラトニック・ラブ=忍ぶ恋」を貫かれたそうです。
映画を一度見るだけでは、わからない寅さんの真実の姿がそこにはあります。
このしがらみに満ちた世の中で、何を縁(よすが)として
生きる心の支えとしていけばよいのか?
愛は、一面「執着や争い」をもたらす元でもあることから、
その付き合い方にも工夫がいるようですね。
寅さんは、それを「忍ぶ恋」として「密かな想い」を墓場まで
持ち去っていったのでしょうか?
「寅さん」は、帝釈天の化身か??
寅さんの名前の由来は、管理人が調べたところわかりませんでした。
あえて仮説を立てるなら、
「柴又帝釈天」を護る四天王の一人「多聞天=毘沙門天」でしょうか?
毘沙門天の象徴は、「寅」です。
帝釈天は、天部の仏で「悪を退治する最強の仏」です。
天部の仏は、「欲界」にいて
それぞれ「現世利益」をもたらしてくれるとされています。
宇宙を司る最強の仏「梵天」とともに、宇宙の森羅万象を災難から
四天王とともに守り抜く役目を果たすのが、「帝釈天」とされています。
寅さんも、苦難に満ちた人生でしたが、
ひょっとすれば、寅さんを通じて「帝釈天」の助っ人として
人々を守り抜きたい、安らぎをもたらしてあげたい・・・
山田洋次監督は、そんな秘やかな想いを「男はつらいよ」に
込められたのかもしれません。
「男はつらいよ」のもう一つの大きなテーマが、
「人は何のために学ぶのか?」です。
「生きる意味を問い続けることによって、日々新たな思いで
軽やかに生きる術を身につける」ことが、本来の「学問の目的」ではないか?
「すぐ役に立つものや、名誉や地位といった社会的評価に結びつくものの
ために学ぶのではない!!」
寅さんと周りの人々の会話から、そのようなメッセージが
私たちに届けられているような気もします。
渥美清さんご自身も、苦学の末「人間学」を随所で学び
大変な教養を身につけられた方でもあります。
お亡くなりになる直前に、「学校」(1993年)という西田敏行さんらが
出演された映画があります。
忘れもしない管理人が、中学2年だった頃の映画です。
奇しくも、「男はつらいよ」と同じ山田洋次監督の作品です。
厳しい社会人生活を送りながらも、様々な人間模様を通じて
「学ぶ喜び」を深めていく・・・
その映画に、晩年の渥美清さんが出演されていました。
今から考えれば、思春期の14歳でこの映画に触れることが出来たことは、
管理人にとっても「一生の財産」だったようです。
寅さんや渥美清さんの生き様は、現代日本人が忘れつつある
人間にとって、もっとも大切なものを思い出させてくれます。
著者も、この本を通じて様々な「現代日本人への提言」をされていますが、
その辺りは省略させて頂きます。
渥美清さんの終生の大親友が、前にも当ブログでご紹介させて頂いた
早坂暁さんだったといいます。
共に苦労された方です。
この苦しいしがらみに満ちた欲望渦巻く世の中にあって、
いかに己を失うことなく最期まで生き抜くか?
一つの姿勢として、「フーテンの寅さん」のように
「飄々と旅人のごとく生きる」渡世術があります。
「この世に、しばらく客人として参ったと思えば
憂え悩むことも少なくなろう!!」(伊達政宗:管理人の意訳)
とイメージしながら生き抜く方法もあるようです。
この本の巻末には、テレビ版「男はつらいよ」を演出した
フジテレビの小林俊一さんと著者との対談も掲載されています。
皆さんも、年末年始「寅さん」を見ながら
「良い年」を迎えられることを願ってやみません。
なお、「寅さん」について詳細な映画分析から生まれた珠玉の1冊
『ヘタな人生論より「寅さん」のひと言~人間にとって
本当に大切なものって、なんだろう?』
(吉村英夫著、河出文庫、2008年)
もご紹介しておきます。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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[…] 前にもご紹介(記事①、記事②)させて頂きましたように、 […]
[…] (記事①『寅さんに学ぶ日本人の「生き方」』) […]