植島啓司さんの「きみと地球を幸せにする方法」新時代に適したライフスタイルを探ろう!!

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「きみと地球を幸せにする方法」

宗教人類学者でもある植島啓司さんは、

新時代に相応しいライフスタイルを

この本で提案されています。

新時代の鍵を握る言葉は、

「贈与」「シェア」「共感」「歓待」

だと・・・

多くの現代人が、否応なしに迫り来る社会の

スピードに不安感を抱いています。

このような時代には、逆説的ですが

一度落ち着いて「今ある常識」を整理整頓する

必要がありそうです。

今回は、この本をご紹介します。

「きみと地球を幸せにする方法」              (植島啓司著、集英社インターナショナル、2015年)

植島啓司さん(以下、著者)は、京都造形芸術大学の教授にして

宗教人類学がご専門です。

世界各地を旅しながら、フィールドワークの手法で

様々な民俗文化を取材調査研究されています。

21世紀現在、日本を始めとした先進国では、

「交換経済」を主流とした生活が大半を占めています。

著者は、世界各地の民俗文化を調査する過程で、

「交換経済」とは異なるもう一つの「経済社会」を

見出してきました。

それが、「贈与経済」です。

もちろん、日本を含む先進国でも「贈与経済」が

まったく廃れた訳ではありません。

この本では、あくまで現代主流となっている

「交換経済生活」から生じる様々な問題を

いかにして克服していくのかについて、

4つの視点で考察されています。

すなわち、「贈与」「シェア」「共感」「歓待」の

4つの視点です。

近現代文明社会は概ね「貨幣」を媒体とした

「交換経済」の仕組みを大前提にして発展してきましたが、

すでに飽和状態に達してしまったのではないか、という

疑問が出発点になっています。

人類史における「貨幣経済」の進展とともに

さらなる「飛躍的発展」が望まれる一方で、

様々な難題が降りかかってきたことも事実です。

貨幣の増殖過程は、そのまま人類の生存空間を拡張させてきた

歴史でもありました。

もともと、貨幣は物々交換の代替手段として発明されたものです。

しかし、その交換を調整する手段であった貨幣によって、

目的である生業(なりわい)の領域は侵食されていくことになりました。

皮肉なことに、便利さが追求されればされるほど

人々との間に意図せぬコミュニケーションギャップも

開いていったようです。

現代日本では、21世紀に相応しい「地方と都市の格差解消」の

ために、従来の「地方再生」を超えた「地方創生」が待望されています。

その「成功の鍵」を握るのも「貨幣」との付き合い方次第であるようです。

20世紀における1960年代以降の高度経済成長下でも、

「日本列島改造論」が唱えられていました。

この時も、「地方と都会の格差解消」を大前提に「開発事業政策」は

なされてきましたが、当時は「貨幣経済」に比重が置かれた

「開発モデル」だったようです。

その問題は、「バブル崩壊」から「失われた20年」を経て

現在まで持ち越されてきた課題でもあります。

この度の「地方創生」が「一部の成功だけに自足しない」ためにも

欠かせない視点が、「貨幣だけに偏らない経済生活」です。

その突破口のヒントを、この本から学んでいこうということで

取り上げさせて頂きました。

経済生活とは、貨幣経済だけなのか??

著者は、世界各地を旅する過程で

「経済的豊かさとは何か?」について探究されてこられました。

日本でも有名になったブータンの「GDH(国民総幸福量)」などを

紹介しながら、現在先進国で主流の経済指標とされている

「GDP(国民総生産)」に対する問題提起をされています。

世界各地には、まだまだ私たちが知らない世界観があります。

こうした新たな視点が得られることも、「旅の醍醐味」だと

著者は語ります。

私たちが、普段の生活で当たり前と考えていることでも

世界を見回してみるだけでも、様々な知見が得られます。

先進国にとっては、「未開」だと思われている文化にせよ

その中には、「生き抜くための豊富な知恵」があります。

著者は、「贈与経済と祝祭文化」との関係についても

考察されています。

ある種の「蕩尽理論」に基づいたエネルギーの解放が、

その「祝祭の場」には用意されているそうです。

そうした「祝祭の場」も立派な「経済市場」であるようですね。

自分たちが予想外に稼ぎすぎた「貨幣」を、

あえて「祝祭空間」に散在させるという知恵は、

人々の「経済格差解消」を民間の力で公的に実現させるという

「セーフティーネット」を提供します。

ここに、21世紀に生きる私たちが学ぶべき視点があります。

「貨幣空間だけを経済生活空間としない叡智」です。

これからの「地方創生」や「都会再生」にも活かせる知恵です。

21世紀に相応しい「社会福祉制度」でもあります。

著者は、この本でインターネット革命が果たした意義についても

考察されています。

「フリー・シェア・グローバル」

何だか「日本版金融ビッグバン」のスローガンみたいですが、

ここにインターネット革命の理念も反映されています。

もっとも、あまり過度に楽観視するのも問題がありますが、

私たちが生きている「経済社会」では、

もはや「インターネット革命の恩恵」を無視することは出来ません。

「インターネット革命以前以後」とでは、「経済社会に対する認識」も

変えざるを得ません。

豊かな経済生活は、快適な居場所から・・・

こうした技術進歩が、人々のコミュニケーション姿勢を

変化させていったことも、すでに多くの方が論じられています。

あまりにも便利なため、かえって「快適すぎる自足空間」が

歪んだ人間関係をもたらしてしまっているのではないかとの

「消極的な見方」もある一方で、

20世紀までには、予想だにしなかった「豊かな言語空間」が

生み出されてきたとする「積極的な見方」まで幅広く批評されてきました。

問題は、今も昔もいかに「快適な居場所」を社会に生み出せるか?

という視点です。

「無縁社会」と言われて久しいですが、一人一人が孤立せずに

いかにして「有縁社会」に造り替えていくかが重要となってきます。

「快適な居場所作りは、共同作業」であります。

この本でも、人間にはもともと「ミラーニューロン」という

「共感覚装置」が組み込まれていることが語られています。

「弱い者には弱い者なりの生存戦術・戦略があった!!」ようです。

前にも当ブログでご紹介させて頂きましたが、

ヒトとチンパンジーの違いは、ほとんど僅差らしいことも

判明してきたようです。

悲しいかな、ヒトは「言葉と道具の使い方」に未だ慣れていないようです。

この難問に、どう答えていくかに人類の未来はかかっているようです。

管理人は、この本から様々なことを学ばせて頂きましたが、

正直若干「楽観的すぎやしないかなぁ~」と感じたことも事実です。

というのも、この本に描かれた世界が、

まだまだ「万人共通の社会」とまでは言えないのではないか?

と感じたからです。

それでも、著者がこの本で強調されてきた

「生きることは旅すること」という言葉には、

「旅人(管理人は<射手座>なんです・・・)」を

理想視して生きている者にとって、共感を覚えました。

何はともあれ、皆さんにも「各々得るところ」があると思いますので、

是非ご一読してみてはいかがでしょうか?

普段の「ものの見方」が少しずつ変化していくことに

気付かれることでしょう。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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