鈴木光太郎先生の「ヒトの心はどう進化したのか」まだまだ進化し続ける脳と心??

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「ヒトの心はどう進化したのか」

チンパンジーとヒトは、ほとんどニアミス進化??

ヒトが、チンパンジーと共通の祖先から分かれて

約600万年といいます。

その後、ヒトが大きく発展的進化を遂げたのが、

狩猟採集時代から農耕牧畜時代にかけての約1万年前と

されています。

ヒトには、他の霊長類と異なる6つの大きな特徴がある。

その中でも、脳の大型進化が心に与えた影響は大きいと・・・

今回は、この本をご紹介します。

「ヒトの心はどう進化したのか~狩猟採集生活が生んだもの~」(鈴木光太郎著、ちくま新書、2013年)

鈴木光太郎先生(以下、著者)は、実験心理学がご専門の心理学者です。

進化心理学を中心として、ヒトの進化により社会環境に適応していく

心理過程を様々な角度から研究されています。

さて、現代社会は極端なまでに高度科学技術文明を享受する一方で、

「原始時代に戻ってしまった!!」という説が話題になっているようです。

つまり、急激な社会環境にヒトの進化が追いついていないようです。

そのため、社会環境に馴染めない「社会不適応現象」を起こしているヒトが

増殖中だとか・・・

脳の構造は、いまだ狩猟採集生活時代に最適化されている状態だともいいます。

今から、約1万年前に私たちの大方の祖先は、狩猟採集生活から

農耕牧畜生活に入っていったとされています。

その後、約200年前になり、ようやく工業化産業生活に突入し、

ここ数十年で高度情報化産業生活に突入していくという

人類史上最大のスピードで進化し続けています。

このような急激な進化が、ヒトの心に与えている影響には、

かなり大きなものがあると考えられます。

進化生物学では、主に身体的な側面を取り扱うようですが、

心の進化については、心理学が扱う対象のようです。

昨今、私たちが「社会不適応現象」を起こしているのは、何も各個体である

私たち一人一人だけの責任でもないようです。

いわれなき非難中傷や社会的差別で苦しまないためにも、知っておきたい知識が

今回ご紹介させて頂くテーマでもあります。

不安がいや増す現代社会において、ヒトの心はいかなる進化の道筋を

歩みつつあるのでしょうか?

果たして、最適化戦略はあるのでしょうか?

その辺りにご興味がおありの方も多くおられると思いましたので、

今回この本を取り上げさせて頂きました。

そもそもヒトとは、どんな種族だろうか??

著者は、ヒトとチンパンジーなど他の霊長類との大きな違いを

次の6つの特徴で区別されています。

①大きな脳

②直立二足歩行

③言語と言語能力

④道具の製作と使用

⑤火の使用

⑥文化

この中でも、③④⑤はヒトにとって最大の特徴とも言えるでしょう。

ヒトにとって、狩猟採集時代は人類史の中ではダントツに長い期間を

占めています。

冒頭でも語りましたが、その後の農耕牧畜時代から現代の高度情報化産業時代

までは、たったわずか1万年程度なのですね。

これが、どれほど驚異的なスピードでの進化なのか?

あらためて確認してみると、凄まじいとしか言いようがありませんね。

狩猟採集時代の名残が、脳に数多く残っている一方で

現代社会に身体も含めて心が追いついていかない・・・

そんな環境に、私たちは放り込まれてしまったようです。

私たちの当初の意図とは別にですが・・・

狩猟採集時代における①言語の発明②道具の発明③火の発明に至っては、

21世紀現在でも、まだまだうまく使いこなせていないようです。

また、農耕牧畜時代の最大の特徴は「社会階層組織化」だとされています。

この時代には、「貯蓄」という考えとともに、能力による差別も生まれていきました。

もっとも、最近の研究では

狩猟採集時代が、農耕牧畜時代に比べて必ずしも平和であったとは言い切れないという

調査結果も判明してきているようですが・・・

それでも、この農業牧畜時代から土地を始めとする「縄張り争い」が人間界でも

繰り広げられていったことは、特筆すべき現象だと思われます。

やがて、科学工業産業化の過程で、道具と火も人類を破滅させるほどの大躍進を

遂げ、今日に至ります。

21世紀初頭の現在では、高度情報化社会の進展とともに

言語と言語能力の獲得が大きく注目されるようになりました。

ところが、これも前に当ブログでもご紹介させて頂いたように

「コミュニケーション障害」の問題などで多くの方々が悩まされているようです。

進化に追いつけないヒト??

著者は、この本で狩猟採集時代に人類が手に入れたものに、

①家畜

②スポーツ(競争と遊び)

③分業

を挙げておられます。

現在の生物界では、「自然」も生のままではなく

人類が手を加えた「人工自然」だとされています。

「家畜化」は、人類社会にも「奴隷化」という悲惨な結果をもたらしました。

今もって、人類はこの苦しみを解決し得ていません。

「分業化」も便利さ・効率良さ・生産性の高度化などメリットももたらしましたが、

技術の進歩とともに、現在ではかえってリスクを抱えてしまったようですね。

2020年、日本でもオリンピックが開催される予定ですが、

本来スポーツは、「遊びだったのか、競争だったのか?」

その考え方の相違により、認識も大きく変わってくることでしょう。

古代ギリシャやローマでは、「競技(競争技術)」の要素が強かったようで、

映画でもあったようにローマのコロセウムでは、「人間同士の殺し合い」にまで

発展していきました。

特に、「奴隷人」を競技人口として「自由人」は高見の見物を決め込んでいた

残酷な時代でした。

この悲惨な状況は、21世紀現在でもあまり大きく変わっていません。

「いったい人類は本当に賢く進化しているのでしょうか??」

おそらく、自らの社会への最適化を放棄して「安易な」道を選択して

満足しているのが、現状ではないでしょうか?

最近の研究では、ヒト以外の霊長類であるサルやチンパンジーの方が

平和な社会を築いているらしいとも言われています。

『人類は、どこで道を間違い「迷子」になってしまったのでしょうか?』

この本を読んでいると、絶望的な気分になってきました。

しかし、希望もあるようです。

最近の「心の理論」研究(詳しい内容は、この本をお読み下さい)によると、

人間は、良くも悪くも「他者の視点」を獲得しており、相手の態度如何に

脳内のミラーニューロンが反応していることも判明してきたようです。

問題は、このミラーニューロンに何をインプットしていくか?

ここが、今後の「ヒトの心の進化」にも大きく影響が出てくるようです。

この一見「殺伐とした」世の中ですが、「心の理論」が教えてくれているのは、

言葉があるからこそ、芸術など人々の心を和ませてくれる文化が発展してきた

ことも確かな事実だということです。

ですから、心に良い種を蒔くことが大切だということでもあります。

最後に、著者の研究成果から、「希望の言葉」を皆さんにお送りさせて頂きます。

「あなたはひとりぼっちではない!!」

「あなたのことを思ってくれている人は必ずいる!!」

「あなたは心を介してほかの人とつながっている!!」・・・

ということが、「心の理論」でも裏付けられてきたということです。

皆さんも、この本で「ヒトの心の進化」の歴史などを学びながら、

「他者=自分」の心に呼びかけてみませんか?

社会適応に悩まれている方も、それは決して人類の進化過程からすると

「不自然ではない」ということも理解されるでしょう。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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4 Responses to “鈴木光太郎先生の「ヒトの心はどう進化したのか」まだまだ進化し続ける脳と心??”

  1. […] 前にも当ブログで考察しましたように、今から約1万年前に人類は […]

  2. […] 以下ご説明する「三段階」は、前にも当ブログでご紹介させて頂きましたが、 […]

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