石川幹人先生の『「超常現象」を本気で科学する』詐欺被害予防法としての「賢者の知恵」を身につけよう!!

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『「超常現象」を本気で科学する』

日本における「超」心理学研究の

第一人者と目されている石川幹人先生が、

「科学と擬似科学の相違点」や

「超常現象」から得られる知見を

日常生活において現実的に有効活用するための

注意点について解説されています。

「科学的思考法」を身につけておくことは、

「情動訴求型経済社会」における詐欺被害から

あなたの身を守るためにも必要です。

今回は、この本をご紹介します。

『「超常現象」を本気で科学する』            (石川幹人著、新潮新書、2014年)

石川幹人先生(以下、著者)は、日本における

「超」心理学研究の第一人者として知られており、

近年は、派生論点である「無意識と創造性」の研究から

実用的な「人工知能問題」などにも積極的な提言を

されてこられた「科学者」であります。

ご専門は、認知情報論、科学基礎論などで、

明治大学情報コミュニケーション学部教授として、

活躍されています。

もともとは、松下電器産業(現パナソニック)にて、

「人工知能」などの研究開発に従事される技術者だった

ようです。

そうしたご経歴から、

科学分野における基礎研究と応用研究の両面を見据えることの

重要性を教育現場でも伝授されておられます。

さて、本書を世に問うきっかけは、2013年夏に行われた

雑誌『新潮45』での「超心理学」をテーマにした

ビートたけし氏との対談からだったといいます。

現在、科学研究は、あらたな局面を迎えています。

ことに、「人工知能」研究は、今後の人類史に

大きな転換を要請すると、様々な場で強調されてきただけに、

今もっともホットな話題であります。

また、「脳科学」や「行動(心理・神経)経済学」などの学際研究からは、

人間の「意識」や「無意識」、「情動反応」など、

長らく「神秘のベール」に包まれていた世界が、

徐々に解明されてきているようです。

とはいえ、現時点では、「未解明」の領域も広範囲に存在しています。

ようやく、人類が、その世界へと本格的に立ち入ろうとしている時期に

あるとされています。

そこで、「今現状<科学>は、どこまで解明されてきたのか?」や

「科学的思考法(<科学>には、何ができ、何ができないのか?)」などを

知っておくことは、私たちの判断を日々歪ませようとする

現代社会における「罠」から少しでも脱出するための良質な知識や知恵を

身につけることに役立ちます。

現代政治経済は、「情動訴求型宣伝技法」が、

ますます巧妙に洗練されてきたようで、私たちの人生にとっても、

危機的な状況にあると警告されておられる識者も数多くいます。

そんな「情動訴求型宣伝技法(よくわからないモノやコト)」から、

あなたの身を守るためにも、是非知っておいて頂きたい知見が、

今回ご紹介する本書にはあります。

ということで、皆さんの日頃の疑問や悩み(生活被害から抜け出す知恵など)を

本書をご一読されることによって、解消して頂こうとの趣旨で、

この本を取り上げさせて頂きました。

「科学」と「擬似(ニセ)科学」の違いを見破るヒント

本書は、あくまで「科学的啓蒙書」であります。

とはいえ、これまで科学界で敬遠されてきた「超常現象」について、

可能な限り「科学的検証を続けていこう!!」との趣旨で、

長年、真面目に調査研究や一般向け科学的啓蒙活動に

勤しんでこられた研究者が、本気で世に問うた衝撃の書であります。

「科学」と「擬似(ニセ)科学」の違いについては、

前にも当ブログでご紹介させて頂いたことのある菊池誠さんの

『科学と神秘のあいだ』の記事もご一読下さると幸いです。

(ちなみに、本書巻末参考文献一覧にも挙げられています。)

本書でも、著者は、菊池誠さんと同じような趣旨で、

社会的に有害な情報洪水や広告宣伝、

また、ニセ情報による詐欺被害などからわが身を守る術に関して

「科学的思考法」を活用することで撃退する方法論などが紹介されています。

「科学的思考法」は、必ず下記の過程を踏まえた手順で思考されていきます。

「観察→仮説→検証→理論化」というような確認手続きの流れの中で、

矛盾衝突が生じた際には、最初から「再検討」し直すことが要請されるとともに、

「教条化」を防ぐ手だてが容認されています。

それはまた、「事実」から「理論」を探り出す過程であります。

「仮説」や「理論」に都合よく予定調和的な「事実」を見つけ出すことを

許しません。

ここが、「宗教」やその他のイデオロギーなどとの大きな相違点のように

考えられています。

著者の表現によると、

『(前略)科学とは、先に理論や何かの正解があるのではなくて、経験から

出発して私たちを取り巻く世界を理解していくための実績ある方法なんです』

(本書13頁)

また、「宗教」と「科学」の違いについては、

『宗教が「信じる」ことから出発するとすれば、科学は「信じずに距離をおく」

ことから出発するという原則』(本書17頁)だとのことです。

ですから、「科学的にありえない」を考えることは、

きわめて生活防衛上の知識・知恵としても重要な課題であります。

そのうえ、「科学的にありえない」と問い続けることの意味は、

「<超常現象>を、単に肯定したり否定するだけで思考停止」するレベルとは、

まったく異なる視点を提供してくれる利点があります。

とにかく、「思考停止」しないことが重要になります。

このあたりの基本知識が、驚くほど世の中に浸透していないことに

危険性を感じられてこられたこともあり、

著者は、大学などで、オカルトやニセ科学から「擬似科学」の「非科学性」や

「反社会性」などを考えさせる「科学リテラシー」の講義を担当されてこられました。

ちなみに、先に掲げさせて頂いた前回の記事でも語りましたが、

「擬似科学」は、その後の経過で「科学」へと昇格することもあるので、

ここでは、まったくの「擬似」科学を「ニセ」科学として考察させて頂きます。

詳細を知りたい方には、本書巻末参考文献や前掲書で確認して頂くことを

お薦めさせて頂くことにします。

「科学にも<限界>がある!!」や「科学も一種の<宗教>である!!」などと

世間一般には、相当な「誤解」もあるようですが、まずは、

このような柔軟な検証手続きが容認されているという点を確認することが、

最重要な基本知識となります。

そうした混同誤認を一つひとつしらみつぶし的な厳密手続きを経て、

ようやく「科学」として認められるのだということです。

つまり、「科学」とは、「再現性」の強さと「反証性」の許容度が

何よりも大切な視点だとも言い換えることが出来ます。

意外にも、私たちは、こうした角度から世間に流布する情報に

接し切れていないところがあります。

オカルトやニセ科学の怖さは、人間の「思考認識の<盲点>」を突く点にあり、

思慮深く生活していても、紛れ込んでくるところにあります。

そして、人間の本能に直結した「情動反応」に強く働きかける点から、

現実的にも、完全に防ぎきることが難しいことにあります。

「不安」などに、こうしたインチキ情報がつけ込むという訳です。

国民生活センターなどの消費者啓発活動や調査研究などを参考にさせて頂いても、

こうしたオカルトやニセ科学などに由来する詐欺被害は、後を絶つどころか、

年々「上昇」し続けているようです。

現代社会は、ますます人々の心理のうちでも「無意識」に向けた

広告宣伝手法が高度化していっています。

そのため、日頃から、このような「科学的思考法」や「知的生涯学習」を

繰り返し続けていくことが、個人的な被害を最小限に食い止めるとともに、

「個人」から「社会」へと悪質なデマが拡散していくことを抑止することにも

寄与することになります。

「完全撲滅」は、人間に「欲望」がある限り難しいですが、

より一層注意深くなる目を持つことで、こうした被害を最小限に抑えることが

叶います。

ですから、皆さんも様々な広告宣伝などに触れる機会も多いかと思いますが、

調査データやサンプル結果だけに吸い寄せられることなく、

「比較検討のクセ付け」を強くお薦めさせて頂きます。

仮に、被害に遭遇された際には、「早期に」上記国民生活センターなど

信頼のおける公的機関にご相談されるとともに、著者も指摘されておられますように

『本当は効かないのだ。高額を支払ってしまったが、それも勉強のうちだ』と

考えることで、次回からの教訓とすることであります。(本書66~67頁ご参照)

いずれにせよ、ご自身の不適切な判断を「正当化」しないことが大切になります。

こうした心理学上の有益なアドバイスが、最新の行動(心理・神経)経済学などの

知見の紹介とともに、わかりやすく解説されています。

著者は、「幽霊現象」や「ESP(テレパシー)」、「念力」なども

調査研究されてこられましたが、これらも現時点では、

「科学と擬似科学の境界事例」にあたり、実際上の「再現性」や「反証性」も

少ないようですので、今後とも慎重に分析考察していく必要があります。

いずれにせよ、「科学」が現時点で「説明できること」と「説明できないこと」を

知っておくことで、無用な恐怖感や詐欺被害、過剰な期待感などを軽減することが

本書の実益であります。

とはいえ、著者も、こうした「<超常現象>こそ科学の対象とすべき」との信条を

お持ちで、「超常現象」の存在自体をただ単に肯定も否定もされている訳ではありません。

あくまで、「生真面目に<超常現象>を科学する」との姿勢で、

真摯に研究活動されています。

問題は、そうした「超常現象」が、日常生活上で「どれほど役立つ」ものかとする

「意味のレベル」に注目しながら、うまく活用していくことが大切だということです。

「存在」の「意味のレベル」についても、

①心理的存在(個人的に想定した存在)から

②社会的存在(人間集団で了解している存在)、

③物理的存在(人類に普遍的な存在)といった

3段階で、「超常現象」の「存在の意味」を考えていくことが

混同誤認を防ぐためにも有益な視点だとされています。

本書は、そんな「超常現象」の「実体」を面白くわかりやすく詳細に

解説されている「科学的啓蒙書」であります。

「超常現象」の最新研究結果から見えてきた「無意識と創造性の世界」

さて、このように真面目に真摯に「本気」で、

「超常現象」を科学されてこられた著者ですが、

ようやく著者のような「超」心理学を科学的に研究されるとともに、

積極的な学際研究にまで進展してきた学会状況にはエールを送りたい

思います。

本書でも語られていますように、「超」心理学史には、諸外国とわが国では

比較にならないほど、「断絶」があるように思われます。

「よくわからない世界」だからと言って、良心的な研究を放棄する態度も

問題ですし、「学問のスキャンダル化」に追い込む姿勢も論外でありましょう。

また、「よくわからない世界」だからこそ、

通常科学以上に取り扱い注意の分野であります。

つまり、何よりも「倫理的視座」が不可欠だということです。

本書でも触れられていますように、英米では18世紀から「超」心理学研究が

「学問」として扱われてきました。

時に、「いかがわしさ」などの諸問題にも遭遇していたようですが、

「超」心理学に正当な学問的位置づけを与えられたのは、

20世紀も半ば過ぎ頃だともされているようです。

18世紀には、「心霊主義」研究が盛んだったそうで、スウェーデンボルグ

『シャーロックホームズシリーズ』で有名なコナン・ドイル

そうした一人だったようです。

第二次世界大戦後には、皮肉なことに東西冷戦の影響もあり、

軍事的な観点からの「超」心理学研究の進展もあったようです。

例えば、リモートビューイング(念視)やUFO研究など、

その安全保障・治安(社会心理)上の配慮もあってか、

「真相」は不明ですが、まことしやかに囁かれてきたことで、

一般にも知られるようになったようです。

もっとも、何度も強調させて頂きますが、その「真偽」は、

研究当事者でもない管理人には、よくわかりませんが・・・

日本では、エドガー・ケイシーのリーディングなども

20世紀後半には、興味本位な姿勢から紹介されたりもしていました。

しかし、あくまで「興味本位」のレベルにあり、まともに真正面から

学問研究されている事実が、世に紹介されることは少なかったようです。

どうやら、日本では、明治以来、「超」心理学に関する学問研究は

長らくタブー視されてきたようです。

「超」心理学については、前にもご紹介させて頂きましたが、

日本では「心理学者(哲学者)」と「物理学者(科学者)」との間で、

相互不信感があったようです。

その「スキャンダル」の「真相」も、今もって不明のところがあるようですが、

きちんとした学問研究が続けられなくなったことは、誠に残念でした。

つまり、この時の教訓が、良心的な研究者に対する「心理的ブレーキ」として

働いてきたようです。

とはいえ、「意識」や「無意識」、「心」や「霊(エネルギー体)??」といった

「あまりにも人間的な」分野が、今や世界的な研究テーマとなっていく中で、

日本だけ、斯界における研究水準が低すぎるという事態は、

もはや、人類の発展のためにも看過しがたい状況にあります。

その中で、今回、著者のような研究者が現れたことは、朗報であります。

大いに研究して頂きたいと思います。

心より応援申し上げます。

ところで、「念視」や「念写」といった「念力」は、

その道の??「超」能力者でも非常に難しく稀な現象だといいます。

管理人は、もとより、研究当事者として立ち会った訳ではないので、

正確な場面をお伝えすることなど出来ませんが、

良心的な研究者であれば、「再現性」の点でも、

万人に納得させ得る段階にはないようです。

著者も、本書で、そのことを指摘されています。

しかし、「わからないことは、わからない」としながらも、

とにかく、その「わからないこと」を「本気」で科学していく姿勢は、

著者ならずとも、人類への知的貢献としても大切であります。

だからこそ、そうした「超常現象」を無視して「こと足れり!!」とする

怠惰な姿勢は、「非科学的」だとも強調されています。

著者は、そうした中で、数少ない「科学者」として「超」心理学の分野を

研究されてこられました。

中でも、ユングが提唱したような「シンクロニシティ」や

昨今知られるようになった「セレンディピティ」といった

「意味のある偶然の一致現象」や

「ひらめき現象」は、「無意識と創造性」にも関わるだけに

科学研究の対象としても有望だとされています。

また、宗教的な「祈り」も科学的に研究していく時期が到来しているようです。

残念ながら、管理人も含めて大多数の方々にとって、これまでの人生で

ご経験されたであろう実感では、「祈りの効力」自体が「不安定」で弱いようです。

著者によると、『ほとんど効力のない祈りが世の中に蔓延していることは

確実です。仮に効力があるとしても、それはほんの少ししかないと思えます。』

(本書178頁)とのことです。

だからといって、著者も「人の子」であります。

「祈り」は、「創造性」と通じるものがあり、もし「成功する秘訣」が

あるとすれば、『「人事を尽くして天命を待つ」心境、それこそが

「効力のある祈り」に位置づけられるのかもしれません。』(同頁)だと

されています。

また、前にもご紹介させて頂いた「病気平癒祈願」で昔から庶民に

親しまれてきた「延命十句観音経」などの「祈り方」でも、

「純粋で誠実な想念」が、決め手になるようですね。

確かに、「病は気から」ですから、「気の持ちよう」とは、

よく言ったもので、「念力」にかけるエネルギー力や志向性が

効果の方向性に影響があるようです。

これも「科学的」に研究することが叶えば、

最近注目されている臨床宗教師との協働活動の場も広がることでしょう。

これこそ、「実用の最たる事例」ですから。

何はともあれ、「祈りの力」を論じる際にも、

「安定性(再現性)」の視点が重要になります。

いずれにせよ、「何もせず」突然「天啓」のごとくわき出してくるのが、

「超」能力ではないということです。

そして、こうした「超能力=創造性の現れ」を発揮させるためには、

社会性(倫理的感覚など)も身につけなくてはならないとも指摘されます。

とはいえ、こうした「無意識と創造性」といった研究も、

まだ始まったばかりのようです。

今後の「人工知能」開発などと協同歩調を合わせながら進展していく

新興分野でもあります。

ですから、この「超常現象」の実益も、「無意識と創造性の世界」を

開拓していくための呼び水になる点にあるともいいます。

今のところは、そうした志向性で、「超常現象」を

科学的に研究していくのが、斯界の最前線でもあるようですね。

また、この「無意識の創造性」研究が、「生物進化史の流れ」に

あらたな「跳躍点」をもたらすものではないかとも期待されています。

それが、今後のあらたな「進化論」に大いなるヒントを与えるのではないかと。

まとめますと、「世界観」自体は、各人各様「自由」でありますが、

「科学的」に研究していく限りでは、

「神(神類似のサムシンググレイト??)」といった「あいまいな要素」を

乗り越えていく必要があります。

そのことによって、変な方向へと逸れずに済みますし、生物の知恵を

各種分野での「実用化」へと拡大していく突破口にもなる利点があります。

最後に、著者は、読者に向けた「超常現象とのうまい付き合い方」について、

アドバイスされています。

①幽霊(超常現象など)を生活に役立てる。

②幽霊の人格は消えてもよい。

(<幽霊>ではなく、「無意識による創造的な結果」に着目)

③多様な存在を段階的に認める。

④超能力や霊能力の類は<創造的>な実績で判断する。

⑤日頃から「意味」のレベルに注目する。(本書196~201頁)

として、本書の「結び」でまとめられています。

「信念よりも実用性」こそ、大切な視点だと言います。

これが、良心的な「超」心理学研究者からの皆さんへのプレゼントです。

皆さんも、騙されないための「<超常現象>を本気で科学!!」して

頂くためのヒントとして、本書をご活用願えれば幸いであります。

ということで、皆さんに本書をお薦めさせて頂きます。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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