リリアン・R・リーバー氏の「数学は世界を変える」調和のための美的探究こそ、数学の魅力だ!!これからの人類のために・・・

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「数学は世界を変える」

第二次世界大戦中に、リリアン・R・リーバー氏が、

人類の未来を憂慮されながら、

一般人向けに数学の考え方をやさしく説かれた

数学入門書の古典です。

世界に調和と愛を復活されようと尽力された

かのアインシュタイン博士も絶賛した名著です。

21世紀現在、再び、世界に暗雲が漂いつつあるからこそ、

多くの人びとに是非ご一読願いたい1冊です。

今回は、この本をご紹介します。

「数学は世界を変える~あなたにとっての現代数学~」(リリアン・R・リーバー著、ヒュー・グレイ・リーバー絵、水谷淳訳、ソフトバンククリエイティブ、2011年)

リリアン・R・リーバー氏(以下、著者)は、

20世紀に米国のロングアイランド大学の数学科長を

務められた数学研究者です。

日本で入手可能な専門書には、『ガロアと群論』(みすず書房)

『相対論の詩』(東京図書)があります。

本書『数学は世界を変える』は、

『数学は相対論を語る』(ソフトバンククリエイティブ、2012年)

『数学は無限を創る』(同上、2013年)とともに、

一般人向けにわかりやすく解説された数学「入門書」に該当します。

本書以下の2冊は、管理人未読のため、

「入門レベル」に当てはまるのか否かは、

現段階では、わかりかねますが、

本書は、まさしく、最先端の現代数学(とはいえ、本書原書初版は、

第二次世界大戦中の1942年に書かれたものであるため、

時代的制約はありますが、21世紀現在でも十二分に通用する内容であります。)

の紹介とともに、楽しく数学を学びたいとの知的欲求に駆られる好著であります。

本書の米国版は、<訳者まえがき=素晴らしくわかりやすい本書の要約>によれば、

2007年にペーパーバック版として、「復刊」された書とのことです。

本書の挿絵も大変かわいらしい図柄ですが、

著者の夫も、上記ロングアイランド大学の美術学科長を務められていたことから、

共同制作となったようです。

著者は、女性的視点から、数学的世界観を世界中の子供たちに

わかりやすく伝えようとの愛の想いも込められているためか、

数学の魅力が余すところなく語られています。

文体は、「散文」というよりも、ある種の「現代詩」のようですが、

また、これが、心の琴線に心地よく響きます。

数学と聞いただけで眠たくなってしまうのが、

今日日の青少年(学生時代のかつての管理人もそうでしたが・・・)の

大方の現状であるようですが、

本書をご一読されると、

学校教育的な数学的世界観が根本から一変させられ、

文字通り、目が覚める思いに満たされることでしょう。

本書の魅力は、そんな現代の<理数離れ>の現状を少しでも変化させようとの

生命エネルギーに満ち溢れているとともに、数学的世界観を学ぶことを通じて、

世界の政治経済文化への参与のあり方に至るまで考えさせられる点に

あります。

管理人は、社会人を経て、すでに30代半ばになりますが、

今ようやく、文系的「哲学」の世界から飛翔し始めながら、

理数系の数理的世界観の魅力に取り憑かれてしまったようです。

学生時代が、まるで魔法にかけられていたかのように、

数理嫌いの心理的暗示へと誘い込まれていたのが、

ウソに思われてくるから、<不思議>です。

とはいえ、本格的に、数理的世界観への探究の旅に出かけようとすれば、

初学者なら、まず間違いなく、数式記号などの数学的専門用語の羅列で、

ダウンしてしまうことでしょう。

幸いなことに、本書では、一切、難しい「数式」などの数学的記号は

用いられていませんので、

そのあたりは、皆さんにも、すぐに馴染んで頂けるものと確信しています。

ということで、手頃な数学的世界への入口を探しておられる方に

お薦めの1冊ということで、

この本を取り上げさせて頂きました。

本書扉書きによると、

かのアインシュタイン博士も大絶賛していたとか・・・

『リーバーの新著を楽しく読んだ。

美しい例と啓発的な内容。

彼女の独創的な試みは、

必ずや大きな賞賛を得るだろう。』と。

本書を読み進められるにつれて、

数学には、「信念の魔術」が含まれているような

不思議な感覚に誘われることでしょう。

また、数学史に関する書籍『数学をつくった人びと Ⅰ~Ⅲ』

(田中勇・銀林浩共訳、早川書房、2003年)

著者である数学史家E.T.ベル氏も本書を大絶賛されるなど

斯界の著名人も一押しの古典的名著であります。

現代数学は、理性の「限界」を大前提に、何度も突破を図ろうと「再挑戦」する過程で、人類に「知的謙虚さの重要性」を示唆している!!

さて、本書ご紹介に入らせて頂く前に、

管理人が、数理的思考の世界観に開眼させられた

きっかけについて、先に触れさせて頂きましょう。

(<数理的世界観>に苦手意識を持つ後進の方々にも、

微力ながら、「お力」にもなれるかと思いますので・・・)

それは、「言語」情報の多様・多義性に

絶えず、惑わされてきたことに由来する

心理的不安の歴史(人生行路)から始まりました。

文系思考の「限界点」は、もともと、多義性の含まれる言語情報を

当然と見なす(自明視する)傾向を強めてしまうように

思われてきたことが、

管理人自身における問題意識の出発地点でありました。

管理人が、学生時代から親しんできた法律学の世界でも、

言語の意味を「限定」しながら、緻密に分析考察(解釈)を

進行させていく姿勢を養うために、

「議論の大前提として、<定義>付けから始めることが肝要!!」との

視点を学んできたわけですが、

法律学は、<社会科学>であるため、

どうしても、<価値観>を含まざるを得ないという「限界」があります。

そのことは、現代哲学思想の分野でも、大きな論点として、

21世紀現在に至るまで、精緻な議論が展開されてきました。

これまでも、語ってきましたが、

現代哲学は、大きく、この言語的操作をどう処理すべきを巡る

道具立てとして、「現象学」や「分析哲学」などの

メタ認知次元での処理法を工夫してきた歴史でもあったのです。

その過程で、現代社会科学の大きな論点ですが、

「価値」と「事実」の区別をいかに決着させ得るかについて、

幾通りもの方法論が提示されていきました。

その結果、私たち現代人に導かれた世界観とは、

「<絶対的>真理の崩壊」でありました。

その<絶対的>真理の崩壊は、

本書「13.常識」、「14.自由と野放図」、

「19.覚悟」などの「現代」数学がもたらした

新たな世界観とともに生み出されました。

ですから、現在では、

「この世に<絶対的>真理などない!!」ものと

覚悟しながら、生きる意味を、

絶えず、模索する決断力と実行力が強く要求されます。

20世紀以後の文系的思考にも、

上記のように、こうした数理的世界観の大転換が

強く反映されることにはなったのですが、

数理思考で要求される「一般化」「抽象化」という

言語操作法が、今ひとつ厳密には、理解されていないようです。

このあたりは、日々、「言語」情報に触れ、発信させて頂いている

管理人自身の大いなる課題であり反省点でもありますが、

いかに誤解なく、精確に「言語」描写するかという課題は

本当に難しいことですね。

そんな仕事上の問題意識と、

先にも触れさせて頂いた人生上の心理的不安を

何とか軽減解消させ得る道はないものかと、

真剣に求道する過程で、

再び、数理的世界観との邂逅が始まったのが、

管理人の数理的人生遍歴でありました。

要するに、アインシュタイン博士も、

離散的世界観をもたらしたとされる量子論

最期まで安住出来なかったとされるように、

何らかの安心感をもって、

<この世>を快適に過ごすための処方箋が欲しかった

いうことです。

「神はサイコロを振り賜わず!!」

アインシュタインの<神>は、

彼自身の独特な信仰的世界観による

<サムシング・グレイト>だったそうですが、

その<神>を近現代のタブーである<絶対的>真理の

言い換え表現だとしたら、

ここに、アインシュタインならずとも、

現代人の心の不安が隠されているとも言えるでしょう。

現代数学や現代哲学を含め、

現代のあらゆる学問の最前線では、

「もはや、<絶対的>真理を自明視してはならない!!」との

不文律が確立されてきているようですが、

だとするならば、

その「正解(世界観)」は、各人に問い返された難問(重荷)だと

いうことになります。

このことは、現代人を、

誠に、深刻な心理的事態へと直面させます。

その「重荷」に耐えられないことが心理的要因となって、

現代人を、安易な「結論(わかりやすいイデオロギー的世界観)」へと

飛びつかせる社会的風潮ともなっています。

著者も本書内の<教訓>で、

『結論に飛びつくな。』(本書15頁、101頁)にて、

強調されています。

とはいえ、このことは、

管理人とて、決して、「他人事」ではありません。

心の弱さから、こうした「社会的同調圧力」に屈するような

事態もたびたび経験する(させられる)からですね。

そんな心の弱い時に、どうすれば、力強さを得ることが叶い、

安定した世界観をもって、調和ある理想像を日々探究する過程で、

「自明視」を超越した視点(次元)での

人生を乗り切るための知恵として、

あらためて、数理的思考の大切さに、

開眼させられることになりました。

その学びの過程で、本書に出会うことになったという次第です。

ということで、ここで、

本書の内容構成を要約させて頂くことにします。

まずは、<はしがき>と本書に登場する主人公の

性格紹介から、本書が指し示していく問題意識について

語り始められています。

主人公のT.C.MITS氏は、

いわば、「街なかにいる求道の人!?」というイメージのようで、

「賢者にまでは至らずとも、常に、人間的成長を志す

道理をある程度わきまえた、知的探究することの出来る勇者」を

意味する<社会人>であります。

そんな一般的な良識志向を大切にする<社会人>である主人公とともに、

著者との知的論争を楽しみながら、ともに考察しながら、

世界と人生に対する洞察力を深めていこうという願いが、

本書には込められています。

下記は、目次です。

<PartⅠ 古い事柄>

1.『5000万人が間違っていることもある』

2.『天井にぶつからないように』

3.『ティッシュの思考』

4.『一般化』

5.『わたしたちのトーテムポール』

6.『トーテムポール(続)』

7.『抽象化』

8.『「用語を定義せよ」』

9.『結婚』

10.『子供』

11.『PartⅠのまとめ』

※<PartⅠ 古い事柄>では、

いずれも日々の身近な生活事例に寄り添う形で、

数学的な問題意識へと自然に導かれるような工夫が凝らされています。

<古い事柄>とあるように、

ここでは、現代に至るまでの数学史を振り返りながら、

私たちが初等中等教育の義務教育段階で学ぶ

ユークリッド幾何学的世界観に激震を与えることになった

ロバチェフスキーボーヤイガウスなどの

何人もの数学者による19世紀初頭の「数学革命」に至るまでの

「(数学)前史」について、わかりやすく解説されています。

要約すると、義務教育段階で学んだ公理公式定理)体系も

現在では、もはや、「暗黙」の大前提ではなく、

すべての事象に当てはまる「完全」体系というものでもなく、

「仮定」としての一つの世界観にしかすぎないということが

判明してきた歴史でもあったということです。

つまり、現実の世界では、教科書的な厳密な意味での「正解」が、

もはや、存在しないということであります。

ここまでの数学「前史」を評すると、

代数学と幾何学が17世紀のデカルトによって、

「解析幾何学」という形で結婚することで、

現代数学という名の新しい扉が開かれる諸条件が

整っていったということになります。

ここから、やがて、数理「論理学」が、

続々と創出されていくことになります。

<PartⅡ 新しい事柄>

12.『新しい教育』

13.『常識』

14.『自由と野放図』

15.『高慢と偏見』

16.『2+2=4でない!』

17.『抽象化-現代的な方法』

18.『第4の次元』

19.『覚悟』

20.『この現代』

※<PartⅡ 新しい事柄>では、

前章の「数学革命」がさらに前進していく過程で、

「固定」的な世界観に対する「高慢と偏見」を超克していくための

ヒントが、数学的問題意識を通じて、わかりやすく展開されていきます。

先程来から、現代数学が導き出した世界観は、

「<自明>なもの(こと)など、もはや存在しない!!」ということでしたが、

このことは、本書では、触れられていませんでしたが、

前にもご紹介させて頂いたゲーデルの「不完全性定理」ならびに

「完全性定理」などの証明で、

人間的理性の限界についても指し示されたところです。

ここでも、「証明」の意味が、数学「前史」(つまり、義務教育段階で

習わせられるような証明問題)とは異なり、大きく変化しています。

互いに矛盾しない一つの「公理」体系の内においては、

その「公理」体系自体が、正しい(真)か間違っている(偽)かを

「完全」証明することなど不可能だ・・・

という観点から、「同一次元」に踏みとどまるだけでは、

世界に生起する諸問題の解決も困難だということでもあります。

そこで、「次元」をずらす操作技法を、

現代数学を学んでいく過程で身につけていくことが、

「大人の知恵」としても、大変有益になってくるというわけです。

本書で紹介されている細かい数学的諸問題の解説については、

ご一読して頂くとしまして、

本書では、このような「不安定」な世界観の中で

生きていく他ない現代人一般の処世訓に至るまで

自ら考えるための道具立てが整えられています。

<教訓>

ここでは、本書で展開された現代数学の知見が示唆してくれた

<教訓>について、まとめられています。

ですので、この<教訓>が、

<PartⅠ 古い事柄>と<PartⅡ 新しい事柄>の

全体像を要約した章ということになります。

まとめますと、現代数学が、

私たち現代人に与えてくれた最大の恩恵は、

人間の「理性」には、知的「限界」が、常に付きまとうがために、

「高慢と偏見」を捨てる訓練を日々の生活実践を通じて養われるとともに、

謙虚になることの大切さを示唆してくれているということになります。

つまり、数学的世界観に触れることで、

人間的成長の手がかりをつかむヒントが得られるということですね。

「(すぐに)役に立たない」もの(こと)こそ、世界を救う鍵を握る!!

本書で著者が、一般人向けに最大限に発信したかった

メッセージこそが、

『(すぐに)役に立たない<もの>や<こと>にこそ、

もっと、光を当ててみましょう!!』との圧倒的な願いであります。

(ちなみに、この「(すぐに)役に立たないもの(こと)にこそ、栄光を!!」に

関するテーマは、こちらの記事もご一読下さると幸いです。)

そのことが、イメージ出来る象徴的像が、

本書<PartⅠ 古い事柄>における

『5.わたしたちのトーテムポール』

『6.トーテムポール(続)』にて描写されています。

究極のところ、本書で展開されている難しい数学的話題が理解できなくとも、

このテーマについて、

腑に落とし込むレベルにまで至れば、

「人間らしさ」を回復させ得るきっかけが掴めることになります。

それが、「世界平和」にも、「心の平安」にもつながります。

数学を学ぶメリットは、「言語」表現の「限界」を突き止めるとともに、

厳密な思考を可能にするための道筋を掴み取るところにあります。

思考の「限界」の狭間領域にて、

「諦めて、諦めず!!」の皮膚感覚も体感出来るようになるようです。

この数学が有する「より確からしさ(真偽探究証明問題)」と

「美的探究」については、今後とも折に触れて、

追跡させて頂く重要テーマとさせて頂きますので、

まずは、数学に苦手意識ある方には、

本書を「入門書」とされながら、

「数学的世界観って、こんなに奥深いんだなぁ~」というイメージ像を

体感して頂くと、少しずつ、苦手意識も軽減されていくのではないかと

思います。

そんな想いを、理数系分野には興味関心がありつつも、

学生時代の受験勉強で、挫折してしまい、

典型的な「文系人間」に成り果ててしまっていた(と強く思い込んでいた)

管理人だったからこそ、

同じような悔しい体験をされてこられた読者にこそ、

是非とも、数学の魅力を「再発見」して頂きたいのです。

「文理融合思考(志向)を自由自在に展開し得る人間は、

必ずや、世界と己自身の心に調和をもたらすことでしょう!!」

「分離」ではなくて、「(文理)融合」が、

今後の人類の行く末の決め手となることでしょう。

最後に、本書に掲載されている<教訓>を

一節引用させて頂きながら、筆を擱くことにします。

『現代の見方では、より柔軟な精神と変化に対する覚悟が必要だ。

泥だらけの古いわだちから、自分の精神を解き放て!

そして、絶えず変わり続ける世界に順応せよ。』(本書184頁)

ということで、本書をご一読されることをお薦めさせて頂きます。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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