剣禅一如!!沢庵禅師の「不動智神妙録」から「柳生新陰流の極意」をつかみ取れ!!
「自分に徹せよ!!」
さすれば、「己と世界は一致し、何ものにも振り回されることなし!!」
「自意識」に絶えず悩まされるのが、「人間」です。
もし、「心眼」を開眼できれば・・・
「勇気百倍」
「人生を何倍も楽しむことができる」
そのような「自分」に成長したいと思いませんか?
今回は、「柳生新陰流」の大本である「智慧」を学び
「免許皆伝」を目指そうということで、この本をご紹介します。
「不動智神妙録」 (沢庵著、池田諭訳、タチバナ教養文庫、2011年)
著者は、時代劇でも有名な「沢庵禅師」です。
柳生宗矩や柳生三厳(十兵衛)にも影響を与えた禅僧です。
柳生一族の剣術流派「新陰流」の大本の哲学が、
今回ご紹介する「不動智神妙録」です。
ちなみに、テレビの時代劇などで「沢庵禅師」と「宮本武蔵」
との出会いがよく描かれているようですが、
これは時代小説作家「吉川英治」のフィクションだとされています。
人間が生きていく上で、一番大切なことは「心の動き」を
コントロールすることです。
「欲望」とうまくつきあうコツをつかんだ者から、
「人生を迷うことなく前に進んでいく」ことが出来るようです。
「欲を滅却することは出来ない」
「欲を活かしきれ!!」と、著者は言います。
「欲=生命力を正しい方向に向かわせる力」
それが、「不動智」です。
言うまでもなく、「不動智」の「不動」とは
「不動明王」です。
「心を一カ所に止めることなく四方八方へ変幻自在に
操り、不安やおそれを断ち切る智」です。
こんな「力」を授かることが出来れば、「有り難い」と思いませんか?
混迷にある現代社会は、「戦国乱世」と同じく「心の乱世」の時代でもあります。
だからこそ、「不動智」を学ぼうということでこの本を取り上げてみました。
なお、この本にはメインの「不動智神妙録」以外に「玲瓏集」「太阿記」と
いった、いずれも「新陰流」に影響を与えた「論考」が集録されています。
自己に徹せよ!!
禅仏教では、「徹する」ことが厳しく要請されます。
「無念無想」
「無心無我」
の境地がイメージされますが、
その状態をあれこれ「頭で考えている」時点で、「喝!!」
「心が妄想にとらわれている」のです。
「莫妄想(妄想するなかれ)」
自分と世界を一体化する境地にまで高めていくのが、
禅の「修行」です。
「分別智から無分別智へ」
「身心一如」とも言います。
「自己に徹する」とは、単なる「自己中心主義・自己愛」のこと
ではありません。
自分の中にある「仏性=良心」に目覚めることにより、
「大慈悲心」を起こすことを意味するのです。
「大慈悲心」とは、「大欲・大願・大いなる愛」のことです。
この心を呼び覚ますことによって、「無分別」になるのです。
「無分別=無思慮・得手勝手」ではありません。
「小欲(煩悩)」にとらわれた心を、「大欲(菩提心)」へと
変化させていく修行が「人生の主眼」となってきます。
柳生新陰流は、戦国乱世から天下泰平の世に移り変わる「端境期」
に生まれ育った流儀です。
「人を殺す剣ではなく、人を活(生)かす剣」
「活人剣」とも言われています。
小さなことにとらわれたままでは、「迷い」が残ったまま・・・
「小欲」に執着して「人生の目的」を見失ってしまいます。
そのため、他人を傷つけても知らんぷりで通り過ぎてしまう
「小賢しい」だけの人間になってしまいます。
「他人を幸せにし、自分も幸せになる道」
そのためにも、まずは「自己に徹する」必要があるようです。
欲を活かし切れ!!
剣術では、「残心」ということに注意を払えと教えます。
勝ったと思って「油断」していると「痛い目」にあうよ、
という戒めです。
「最後まで気を抜かずに、細心の注意をして対処せよ」という
ことです。
短い人生において、「勝ち組・負け組」にこだわるのは
「愚の骨頂」
まさに「残心のない」卑怯者ということです。
一つの小さな成功に甘んじず、さらなる精進を積み重ねていく
ところに「人間の崇高さ」があるのだと思います。
そのためには、大いに「欲を活かす」ことが必要です。
「大欲」です。
人間は、「志の高さ」次第で何度でも生まれ変わることが
出来るのです。
「謙虚で卑屈・傲慢になることなく」自分の人生を
有意義に活かしていこうではありませんか?
「失敗しても、まだまだやれる!!」
軽薄な「成功哲学」で人生を終わらせることなく、
真の「成幸哲学」を手に入れようではありませんか?
世の中に流布する「成功哲学」は、ほとんどが「小欲」を
満たすだけの「曲者」です。
いかなる状況でも通用する強靱な哲学・・・
それが、「不動智」です。
言うまでもなく、「不動智神妙録」外にこの本に集録された
哲学は「実践知」です。
つまり、「頭で理解しているだけ」では落第してしまいます。
「体認・体得」していく「修行」が必要です。
「人生常住坐臥、これ修行なり!!」
それを実感していく過程でこそ、
「日々是好日、日々是平常心」を「体認・体得」することが
出来るのでしょう。
最後まで油断なく「残心を留める生き方」
その果てに、あなたも「柳生新陰流の極意」を授かり
無事「免許皆伝」となるのでしょう。
沢庵禅師の辞世の偈。
「夢」
生前も死後も「夢」を忘れない生き方ってかっこいいですよね?
「夢」は、「希望」でもあります。
管理人も、まだまだ「修行の身」
皆さんとともに切磋琢磨しながら技に磨きをかけていきたいと
思います。
なお、「沢庵禅師」について知りたい方にお薦めの小説が
あります。
作家自身も「禅寺での修行経験」がある「飢餓海峡」などで
おなじみの「水上勉」さんです。
「沢庵」(水上勉著、中公文庫、1997年)を
ご紹介しておきます。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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