内井惣七先生の「空間の謎・時間の謎」は面白いよ!!宇宙の始まりに迫る物理学と哲学!!

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宇宙の始まりに迫る物理学と哲学!!

内井惣七先生の「空間の謎・時間の謎」は

難しく複雑な最新の宇宙物理学を学ぶに

最適な1冊です。

今、「宇宙論の最前線が熱い!!」です。

「宇宙論」を学ぶ実益は大いにあるようです。

この「閉じられた地球」内では、人類の相互無理解が

様々な悲劇をもたらしてきました。

現代社会の不条理の中で、いかに狭い視野にとらわれず

幸福な人生を歩んでいくことが出来るのか?

そのヒントを教えてくれるのが、「宇宙論」です。

「苦しい時には、宇宙をイメージしましょう!!」

今回はこの本をご紹介します。

「空間の謎・時間の謎~宇宙の始まりに迫る物理学と哲学~」(内井惣七著、中公新書、2006年)

内井惣七先生(以下、著者)は、科学哲学をご専門と

されている哲学者です。

物理学と哲学の接点を探り続けてこられました。

著者によると、「時間論」について

日本の哲学者(正確には、哲学学者?)は、

物理学の知見(空間論)を視野に入れない

主観的な「時間論」ばかりで、

今ひとつ「腑に落ちない」そうです。

すでに、時代は「文理融合思考」の出来る人財が

要請されています。

著者は、この本で「ライプニッツの宇宙哲学」を

再評価されています。

ライプニッツについては、

当ブログでもご紹介してきましたが、

その「モナド論」は、

なんと現代の最先端の宇宙物理学を

イメージする際にも「恐るべき威力」を

発揮し続けているようですね。

この本では、宇宙物理学の最先端を理解するための

知的道具がそろっています。

著者は、ライプニッツに比重を置きながら

ニュートンマッハアインシュタインから

最先端で活躍する物理学者の研究成果を眺めつつ、

宇宙論を考察する過程で、難解で複雑な

「力学の歴史」を学べる創意と工夫がこらされています。

理系志望の若者や「力学」に苦手意識のある方に

お薦めの1冊です。

「力学」は、ニュートンの「万有引力の法則」以来

現代の物理学に必須の知識ですが、どうしても苦手意識を

持ってしまわれる方が、多いようです。

この地球上で暮らす限り、日々の生活の中では

なかなか実感がともなわないようで(管理人だけでしょうか?)

どうしてもイメージしにくいところにも原因がありそうです。

現代社会は、地球上における「生存空間」という生活環境システムが

複雑になりすぎた結果、多くの問題を抱えてしまったようです。

そのため、日々の生活でもストレスを抱え込む状況に

私たちは取り囲まれています。

「憂鬱で絶望的な気分の時は、宇宙をイメージしましょう!!」

「宇宙論」のメリットは、普段の日常生活では見落としてしまう

人間の「認識の限界」を知らしめてくれる点にあります。

謙虚に前向きに相互に尊重しながらこの「美しい星」で

ともに楽しく生きていくヒントも宇宙には満載です。

今回この本を取り上げさせて頂いたのは、

そんな「宇宙の魅力」を「物理学と哲学の接点」から

「時空の謎」を旅することで、

現代社会の「重苦しい雰囲気」を

少しでも軽減していこうとの思いからです。

それでは、「時空の旅」へワープしていきましょう!!

ライプニッツの「時空関係説」が、最新宇宙論を予告していた!?

著者の問題意識は、ライプニッツの「哲学的宇宙論」が

今も解明途上にある「宇宙物理学」の謎(間隙)を埋める

うえで、なお有効性を失っていない点に感激を覚えられた

ところから始まりました。

「宇宙論」を考察していくには、

「時間と空間」の二つの視点が通常は必要になると

考えられているようです。

著者は、まず冒頭で

「ライプニッツとクラークとの往復書簡」を

取り上げるところから考察を始めます。

クラークは、ニュートンを擁護した人です。

つまり、この往復書簡は「ライプニッツ的世界観」と

「ニュートン的世界観」の見解の相違をうまく表現した

手紙だとイメージして頂ければよいでしょう。

さて、ニュートン力学とは、私たちが義務教育の段階で

必ず触れる「熱力学第1法則=エネルギー(質量)保存の法則」ですね。

ニュートンは、「絶対時間と絶対空間」を前提として

「力学」を考察していきました。

このニュートン力学は、後のアインシュタインの「相対性理論」などで

修正を余儀なくされていきますが、日常生活では十分に通用する考え方です。

いわゆる「閉じられた世界(地球)」における「力学」として有効です。

アインシュタインの「特殊相対性理論」は、

この「静止系(不動・固定型)の閉じた世界」を想定した

ニュートン力学を応用修正して拡張させた理論だと

イメージして頂ければ理解しやすいでしょう。

この「閉じた理論」をマクロに「開かれた宇宙空間」に

適用させていくにあたり、「限界」が発見されたことから

「重力」も考慮に入れた「一般相対性理論」に発展していきました。

アインシュタインの仕事は、ニュートンに対して

「相対時間と相対空間」を生み出したことにあります。

この一般相対性理論こそ、宇宙の始まりを解く鍵として

つい最近まで有効だとされてきました。

いわゆる「ビッグバン理論」です。

「果たして、宇宙の始まりはいかなる状態だったのか?」

様々な先人が、考察を進めてきましたが、

基本的に大方の学者は、「無から有が生じる特異点」をイメージして

いたようです。

「一般相対性理論」は、この「特異点」を導き出してしまう点に

大きな特徴があるようです。

その後、アインシュタインも

天文学者ハッブルの「宇宙はどうも膨張し続けているらしい」との

発見から「生涯で一番悔やまれるのは、<宇宙項>を導入したことだ!!」

と自らの見解を修正せざるを得ない状況になっていきました。

もっとも、「一般相対性理論」自体からは「宇宙の膨張と収縮」は導かれる

ため問題はないようですが、この「宇宙項」は<静的に安定した宇宙>を

想定していたため、現実の「膨張し続ける宇宙」とは相容れないところに

「限界」があったようです。

つまり、どうしても「特異点」を想定しなくてはならないと・・・

また、前にもご紹介させて頂いた

「車椅子の宇宙物理学者」ホーキング博士などの考察から、必ずしも

「宇宙の始まり」を「無から有が生じた」ことを前提に

考察し始める必要はないのではないか?

また、「特異点」は「無限大にして無限小」(いわば<永遠のゼロ!!>)を

イメージすると「物理学体系が完全に破綻!!」しかねないことから、

現代の多くの学者は、量子力学の知見も含めた「特異点なし」の「宇宙論」を

展開しているようです。

まとめますと、「特異点」は「今ある私たちがいるこの世界(狭い閉じられた宇宙!!)

の始まりしか説明出来ないのではないか?」との疑問も提起されていったということです。

そして、現在では「時間なし」での宇宙空間始原論が主流になりつつあるようです。

「宇宙は絶えず生成と消滅を繰り返している!!」

これは、まさにブッダの「宇宙論」にも通じるようですが、

「空」とは「有も無も含めた包括的なゼロ」です。

著者もこの本で、「インフレーション宇宙論とエネルギー収支論」として

宇宙空間全体では「エネルギー収支(プラスマイナス=ゼロ!!)」との

論考を提出されています。

これが、「時間にとらわれない」物理学として現在も研究が進められています。

このことが、「ライプニッツの時空関係宇宙論」とも親和性があり、

その「哲学的」考察に先見性ありとの著者の持論が展開されています。

絶えざる膨張と収縮を繰り返す無限宇宙論

要約すると、ニュートンからアインシュタインを経て

量子力学も加えた「力学の歴史」は、

「静的世界から動的世界への展開過程」だったようです。

この間の「歴史的展開」の詳細は煩瑣になり、「力学に苦手意識ある」

管理人にとっても手に負えませんので、著者の解説に委ねたいと思います。

アインシュタイン(古典的世界観)も「静的・安定的秩序観」に重点を置いていました。

一方で、「量子的世界観」は「確率・統計的・不安定秩序観」をもたらしてしまいました。

この点に、アインシュタインも「漠然たる(本人としては確固たる)不安」を

抱かれたのでしょう。

有名な「神はサイコロを振り賜わず!!」の言葉に表されているようです。

確かに、人間にとって「無秩序で不安定な世界観」は

不安やおそれを感じさせますね。

こうした人類一般にとっての「宇宙の実在感覚」といった視点から

読み直すと、アインシュタインが何を問題視していたかもイメージしやすくなり、

難解で複雑かつ退屈に見える「力学(物理学)」にも親しみを感じることが

出来るのではないでしょうか?

「動的世界観」を説明するのに、ライプニッツ哲学(関係性宇宙論やモナド論)は

今も燦然と輝く星のようですね。

ちなみに、ライプニッツの「モナド論」は「極小粒子論の果ては、原子否定論」であり、

「真空否定論」に特色があるようです。

著者のライプニッツ哲学の解析で、以前よく理解できなかった視野も少しですが、

拡がったようです。

この本は、ライプニッツ哲学から、マッハなどの「関係性力学」を経て

「現代最先端宇宙論」へと導く好著です。

ライプニッツ哲学が、今ひとつ理解しづらい(管理人のことですが・・・)方にも

この本を通して読み直すと、イメージしやすくなると思います。

また、理系の方で「力学の勉強」が行き詰まってしまっている方にもお薦めです。

「関係性力学」によると、「時間の等しさは距離の等しさに還元される」とのことです。

つまり、「時間は空間の中に畳み込まれている」ということなので、

「時空一体化論」だということです。

時間と空間を別々のものとして扱う必要はないということです。

ニュートンは、「閉じた部分的な局所(有限)的宇宙」

ライプニッツは、「開かれた遍在的な無限宇宙」をそれぞれ説明することが

出来るようです。

こうして、「ニュートン(アインシュタインも?)的古典派」と

「ライプニッツ(量子的)世界観」との調停が成り立ったようだとも

著者は解説されています。

「宇宙空間での情報のやりとり」を説明するのにも、ライプニッツには

先見性があったようですね。

「宇宙は生きている!!」

「宇宙も意識を持っているらしい!!」

将来的には、こうしたことも判明していくことでしょう。

「時間を抜きにした無限界の宇宙論」が、最新の宇宙物理学の主題だそうです。

人類は、「閉ざされた有限の地球の中のさらなる狭い世界」に住んでいます。

「宇宙から見れば、なんと人類は些細なことで争っているのか?」

こうして「無限に視野を広げて」この世界をあらためて眺めると

何だか憂鬱な気分も軽くなるように思われませんか?

「宇宙論」を学ぶことには、たくさんのメリットがあるようです。

皆さんも「視野を広げるイメージトレーニング」として「宇宙論」を

学んでみませんか?

きっと、有益な人生に誘ってくれることでしょう。

なお、著者の別著として、

「うそとパラドックス(ゲーデル論理学への道)」

(講談社現代新書、1987年)

「パズルとパラドックス」

(講談社現代新書、1989年)

「推理と論理~シャーロック・ホームズとルイス・キャロル~」

(ミネルヴァ書房、2004年)

※大学時代に「論理学」の授業が退屈で面白くなかったのを

興味ある方向へと導いてくれた「天啓の書」です。

また、2016年1月に発刊予定とのことですが、

「ライプニッツの情報物理学~実体と現象をコードでつなぐ~」

をご紹介しておきます。

※奇しくも現在(大阪版だけ?)産経新聞のコラムにて「数学の時代」が

連載されています。

それによると、今後ますます「情報数学」が重要になるようですよ。

ちょうど、「元素周期表」も書き加えられたそうですし、

日本人の「ノーベル物理学賞受賞者」も増加し続けています。

そんなこんなで、今後とも「理数系の世界」から目を離せないようですね。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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