現代社会に警鐘を鳴らす文明批評論「パパラギ」!!フィクションですが、一読の価値はあります!!

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現代社会って、何でこんなに「生きづらい」のだろう?

私たちが生きている社会の「豊かさ」とは?

一度ならず疑ったことのある方も多いでしょう。

それでも、「便利さ」に取り囲まれた生活を送っていると

「時代を逆行」させることは出来ませんよね。

現代文明の恩恵を受けつつも、日々「理想」を追究しようと

することは決して矛盾しません。

今回は、文明批評「小説」であるこの本をご紹介します。

「パパラギ~はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集」(エーリッヒ・ショイルマン著、岡崎照男訳、ソフトバンク文庫、2009年)

※ 本書は、1981年に立風書房から単行本として発刊されたものを編集のうえ「文庫化」したものです。

著者は、ドイツ人で第一次世界大戦前に南洋諸島「サモア」に

渡り、かの地の風習に触れる中で現代文明の担い手である

「ヨーロッパ(白人)中心文明」への疑問が強まったようです。

その後、第一次世界大戦のさなか故国ドイツを離れ「新天地」

アメリカへ向かい、本書「パパラギ」を執筆します。

本書は、「サモア」の酋長ツイアビの演説集という形態を

取っているようですが、実際にこのようなことがあったのかは

不明で、著者の「偽書(フィクション)」とされています。

ただ、第一次世界大戦から第二次世界大戦に至る「戦間期」。

当時の「ヨーロッパ」社会では、未曾有の「不安感」からか

このような「文明批評論」が議論されたようです。

「西洋の没落」(オスヴァルト・シュペングラー

「職業としての学問」「職業としての政治」(マックス・ウェーバー

など・・・

これらの著作などを読むと、当時のヨーロッパ知識人の苦悩が

伝わってきます。

また、この時期は「東洋文化への憧れ」もあったようで、

「光は東方から」の古代回帰の思想からか、

神智学」などの「神秘思想」も生まれます。

著者が影響を受けた「ヘルマン・ヘッセ」もそのような一人です。

本書は、1920年が初版で1977年頃の「ヒッピームーブメント

などの影響からか「ベストセラー」として読まれ続けてきたようです。

本書は、西洋人から見た「現代西洋文明批評」ということでもあり、

「偽書(フィクション)」ではありますが一読する価値はあると

思いましたので、取り上げてみました。

文明・文化の多様性を謙虚に学ぼう!!

現代は、文化人類学の発達により「ヨーロッパ文明中心」の

見方も変わってきているようです。

しかし、私たち「東洋人」の目からすると

まだまだ偏見が多く残っているような感じもします。

21世紀に入り、互いの文明・文化が尊重されなければ

生きていけないことが徐々に認識されてきました。

本書のメインテーマでもありましたが、

特に「貨幣経済」のあり方については今後も改善の余地が

大いにありそうです。

先進国においてすら解決されていない問題です。

私たちの豊かな日本は、他国に比べて相当恵まれています。

そのことには、素直に感謝しなければなりません。

それでも、貧富の格差はありますし、自国内で未解決の

「貨幣経済の失敗」を他国へ押しつけることは出来ません。

20世紀までの「大教訓」が、十分に活かしきれていないようです。

悲しいことに、再び「不協和音」が鳴り始めているようです。

だからこそ、「多様性を認める大切さ」を皆さんとともに

考えていきたいのです。

真の豊かさとは何か?

本書では、「お金」の問題以外にも「時間の貴重さ」

について語られています。

私たち自称「文明人」は、「便利さ」を追求することにより

「生活の豊かさ」を取り戻そうとしてきたはずです。

それにもかかわらず、一向に「暮らしが楽にならない!!」

なぜでしょうか?

「時間を節約するために、さらなる働きが求められる」

「無限回廊」のようですね。

技術革新により恩恵を受けていることには感謝すべきでしょうが、

どこか「本来の目的」からどんどん離れていっているようです。

かといって、現代の「ラダイト運動(機械の打ち壊し)」をして

「時代を逆行」させることも出来ません。

現在は、ちょうど「産業革命」の時代に問題提起されたことが

再び甦ってきているようです。

各層で「労働時間や賃金の見直し」など改善策も取りざたされている

ようですが、根本の思想に「生き方の多様性」という視点が抜け落ちて

いるため、議論は絶えず「平行線」を辿ってしまいます。

これだけ、「生き方の多様性」が問われている時代に「旧態依然」とした

問題解決法だけでは今世紀を無事乗り切れそうにはありません。

多様な価値観を併存させていくには、「コミュニティーの分散化」と

「組織の簡素合理化・縮小化」が必要となってきます。

個人でもリスク少なく起業しやすくするための整備も不可欠です。

やはり、ネックになるのは「お金の問題」です。

「生計を立てる=稼ぐ」という時代が、あまりにも当然視され続けたので

「価値観の転換」にあたって「不安やおそれ」を感じてしまうのでしょうか?

歴史を見れば、そんなに「長くはない」ようですが・・・

「地域通貨」や「フェアトレード」など様々な取り組みもあるようですが、

一概にこれが「唯一の解決策」というのはないようです。

答えはすぐには見つかりませんが、

皆さんにも「真の豊かさとは何か?」をご一緒に考えて頂きたいのです。

人類に残された未解決課題は、たくさん存在しますが

「時間をかけてもいい」

無理しない範囲で、極端に走ることなく

「持続可能な社会」を維持発展させていくことで協力していきましょう。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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2 Responses to “現代社会に警鐘を鳴らす文明批評論「パパラギ」!!フィクションですが、一読の価値はあります!!”

M・B・グリーンの「ロビンソン・クルーソー物語」を読む!!冒険物語に潜む影の世界にも触れてみよう!! | 双龍天翔 へ返信する

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